ぼけ~っとそんな事を考えていたらお母さんが、
「琴音、ご飯出来たわよ。」
私は重い腰を上げて普段着に着替えると、リビングに行った。
今日はお母さんの得意料理、コロッケだった。
私もこのコロッケが好きだったけど、さっきの守の言ってた事が頭から離れず
箸でコロッケを突くだけだった。
「どうしたの?食欲ないの?あっ、正也君達と喧嘩でもした?」
「そうなんじゃないけど…。」
「じゃぁどうしたのよ。」
「お母さん、正也の事どう思う?」
「いい子だと思ってるわよ。妙子さんとはあなたと正也君が付き合ってくれたらいいなって言ってるけど
これは冗談の範囲だからね。」
「…。そこなんだよねぇ。」
コロッケをぼそぼそと食べながら、正也の事を思い出した。
「変よ。今日琴音。」
「べっつに~。」
「そう言えば今日の学校どうだった?」
あ…。それもあったんだ。
「お母さん、私が転校したいって言ったら怒る?」
「怒りはしないけど、やっぱり男の子ばっかりの学校は嫌なの?」
「ん~。今日の授業でこれから三年間、やりづらいなって思っただけ。」
「だから言ったでしょ?高校選びは慎重にしなさいって。
ただ単に通学距離が近いってだけで決めちゃったんだもの。先生おっしゃってたじゃない。
真吾君や正也君と同じ高校でもやっていけるって。」
「こういうのを後悔先に立たずって言うんだよね。」
「妙子さんには相談したの?」
「一ヶ月は様子を見ろだって。」
「…。そう。転校したいんだったら早い方がいいとお母さんは思うけど。」
「何で?」
「授業が真吾君達の高校の方が早いかもしれないじゃない。」
「あ~。そう言う意味ね。」
半分位食べたけど、これ以上食べる気にはなれず私は好物であるはずのコロッケを残した。
「ご馳走様。」
「もういいの?」
「うん。」
私は部屋に戻るとベットに座り込み、守に言われた事を思い出した。
『あいつの事もかんがえてやれよ。』
『井上って奴が気になってるのか?』
正也と井上君、タイプが全然違うんだよね。
正也は中国史の事になったら他の人が聞いてないのに熱心に話すし、
井上君は…。まだ少ししか話してないけど女の子を引っ張ってくれるタイプの様な気がする。
それぞれ個性があるのはわかる。でもあの二人は違い過ぎる様な…。
明日、学校に行ったら井上君、また声かけてくるのかなぁ。
ありうる事だよね。
そして正也に会った時どんな顔をすればいいんだろう。
守にあんな事聞かされて、平然としてられるだろうか。
あ~!面倒くさい。寝ちゃお。