私が落ち込みながら、彰君の遅い昼食を作っていると、
彰君が私の元へやってきて、私の頭をなでなでした。
「どうした?元気がなさそうだけど。」
「今日ね病院行ってきたの。産婦人科。」
「えっ?何をしに?」
「結婚もしたでしょ?彰君、子供好きだから…。」
そこまで言うとまた涙がこぼれてきた。
「検査してきたの?」
私は黙ってうなずいた。
でもこのまま何も言わなかったら、今日病院に行った意味がない。
「先生が言うには『子宮内膜ポリープによる着床障害』かもしれないって。」
「何?その長ったらしい病名は。」
「私も病院では動揺しちゃったから先生には聞いてないけど、ネットで調べたの。
で、詳しい専門的な言葉はわからなかったけど、子宮にポリープ出来ちゃってて妊娠しても
子宮に受精卵が着床しにくんだって。だから私って生理痛がひどいのかもしれない。」
彰君はキッチンからリビングに移り座り込んでしまった。
キッチンからリビングは見える様、になってたからそんな彰君の姿を見るのは辛かった。
でも、彰君は煙草を一本吸うと、
「大丈夫だよ。要はそのポリープを取り除けばいいんだろ?」
「ごめん。そんな話を聞く余裕がなくって、何も聞いてない。」
「じゃぁ、俺も話を聞きたいから今度、また先生のとこ行くよ。」
「彰君は私が妊娠できなくても奥さんでいいの?」
「別に俺は子供が欲しいだけで佳那と結婚した訳じゃない。
佳那が好きだから結婚したんだ。子供はコウノトリが運んでくるって言うだろ?
いつかそんな日が来るよ。」
「ごめんね…。彰君、子供好きなのに。」
「そりゃいたら楽しいかもしれないけど
いないならいないで佳那と二人っきりの生活が出来ればそれでいい。」