私はたっか~いオレンジジュース代を払って、ホテルに向かった。
すでに綾香が来ていて、物珍しそうにホテルを見上げてた。
1階のラウンジで待ち合わせしてたけど、綾香は何か注文してるみたいだった。
私は二杯目はごめんだった。絶対ここのコーヒーも高いに決まってる。
綾香は私を見つけると手を振った。
立ち上がり、清算を済ませると私の元へ駆け寄ってきた。
「ねぇ、この服で大丈夫?」
「大丈夫過ぎる位よ。あんた、何でこんなブランド品の服持ってるの?」
「旦那のボーナスが出る度に一着づつ買ってきてるの。」
綾香はヴィトンのシャツに、シャネルの黒いロングスカート、グッチのスカーフをしてた。
しかもバックはエルメスのバーキン。
「ご主人、何も言わないの?」
一回しか会った事ないけど、物静かな人だった気がする。
「全部ユニクロって言ってる。」
「それを信じてるの?このタグが付いてて。しかもバックなんて超有名ブランド品じゃない。」
私はスカーフに付いてる、グッチのマークのタグを引っ張った。
「ちょっと、やめてよ。せっかく綺麗にしたのに崩れちゃう。」
綾香はスカーフを元の位置に戻すと笑ってた。
「信じてるから、今まで私がちょくちょくこういう服を買えるんでしょ。」
「ご主人が気の毒になってきた。」
「そんな事どうでもいいから行こ。」
この期に及んで彰君の職場に行くのが嫌になってきた。
なんだか彼氏を自慢してるみたいで…。いや、自慢の彼なんだけど
彼の職場を自慢してるみたいで嫌なんだ。