私の彼、紹介します 35話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

「私の彼、紹介します」 第1話から読まれる方はこちらから


30分経っても彰君は帰ってこなかった。


契約手続きが長引いてるのかな。


私は今度はちゃんと映画のタイトルが出てるDVDを観ていた。


泣ける話の映画で一人でポロポロ泣いてしまった。


映画が半分位になった頃、彰君は帰ってきた。


「ごめん、ごめん。遅くなっちゃって。」


彰君の肩には雨に濡れた後があった。


「雨降ってるの?」


「いや、ちょっと降っただけ。佳那は何してた?」


「彰君のDVD借りてみてた。」


「どれ観てたの?」


「これ。」


私はさっきまで泣きながら観ていた映画のパッケージを見せた。


「あぁ、それね。結構泣けるだろ。」


「うん、一人でぐすぐす泣いちゃった。」


「…。他のは観てない?」


きっとあのアダルトビデオの事だろうな。


「観てないよ。」


一応知らんぷりをしておいた。彰君だってこんなの見てるのがバレたら嫌だもんね。


彰君は煙草を出して満足気に吸っていた。


「ホテルの契約、うまくいった?」


「うん。ずっと煙草我慢してたんだ。でも収入も今の所より全然いいし、


スタッフも紹介されたけど、いい人だったよ。まぁ入ってみないとわかんないけどね。」