スーパーに行くと、
「何が食べたい?」
と、まず彰君のリクエストを聞いた。
「そうだなぁ…。コロッケ。」
「オッケー。」
私はジャガイモやひき肉などを買った。
「ねぇ、彰君の部屋って油とかある?」
「ない。」
「じゃぁ、それも買わないとね。」
一通りコロッケとサラダの食材を買うと、再び彰君の部屋に戻った。
「すぐ、できるから待っててね。」
「うん。」
彰君はまた、顧客リストを見ながらうなずいた。
簡単に作ったから30分程で出来上がった。
「じゃぁ、佳那の初料理食べさせてもらおうかな。」
二人でテーブルに座り、食事を始めた。
「へぇ、一著前に出来るじゃないか。」
「私も自炊だからね。」
「でもこしょうが多くないか?」
「味、濃かった?」
「いや、これはこれで旨いけどさ。俺さ、おふくろが作ったコロッケが好きなんだ。
でも佳那が作ったのも旨いな。」
「良かった。」
「今日、泊まってくんだろ?」
「うん。」
「じゃぁさ、仕事の話になるけど、お前の欠点を上げていこうか。」
「え~。」
「受付はうまいと思うよ。でもお客さんに料理を運ぶ時が危なっかしんだよ。」
「どんな所が?」
彰君は3枚のお皿を持ってきて、お客様に出す時みたいに持った。
「ほら、俺が持つと全部の皿が平衡になってるだろ?」
「うん。」
「佳那はさ、バランスが悪いんだよ。ほら持ってみろ。」
言われた通りに持ってみた。確かに左手に持ってる2つのお皿が少し斜めになってる。
「ゼリー寄せの料理とかだと、滑ってせっかく並べた料理が滑ってしまうんだ。」
「そうかも。滑りやすい料理は苦手。」
「これからはワインの注ぎ方と一緒に皿の持ち方も練習した方がいいな。」
「そうする。」
彰君は私からお皿を受け取ると元の位置にしまった。
彰君もこうやって練習してたのかなぁ。