Tomorrow is another day 第2章 71話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

最初から読む方はこちらから


Tomorrow is another day 第2章 始めからの方はこちらから


中島が退院してから初出勤の前の日に秋口が訪ねて来た。


「どうだ。体調は。」


「まぁ、ぼちぼちです。」


中島はインスタントのコーヒーを入れながら話した。


「だけど驚いたなぁ。お前が入院してるって報告をあっちゃんから聞かされた時は。」


「あぁ・・・。」


「お前達は付き合っていたのを隠してたつもりだろうけど、俺達にはバレバレだったからなぁ。」


「あいつも言ってました。俺は気付かなかったけど。」


「なんで今さら、あっちゃんと付き合いがあるんだ?」


「色々ありまして。」


「いいけどな。深くは追求しないよ。あっちゃんも、もうすぐ結婚らしいからな。」


「そうみたいですね。」


「お前は離婚して、あっちゃんは結婚か。人の人生とはわからんものだな。」


「そうですね。でもあいつの相手の男はいい奴ですよ。」


コーヒーを差し出しながら少し笑いながら中島は言った。


「会ったのか?」


「えぇ。俺が倒れたのを気付いてくれたのも麻子の相手の男でした。


最初の頃は麻子をめぐって争ってましたが、今はいい友人です。」


「そうか。あっちゃんも幸せになってくれるといいな。もちろん、お前もだ。


まだまだ若いんだから、再婚も考えろよ。」


「若いって言っても30代半ばですよ。」


「俺から見たら若いよ。明日から仕事だな。無理はするな。社長もそう言ってたから。」


「ありがとうございます。」


秋口は出されたコーヒーを一口だけ飲むと立ち上がった。


どうやらコーヒーはインスタントではなくドリップされた方が好きらしい。


「じゃぁ、俺は帰るから。今日はゆっくりしてろよ。」


「はい。」


マンションの下まで秋口を見送ると、中島は部屋に戻りウィスキーのボトルに手を伸ばした。


だが、一瞬考えて辞めておいた。明日からは仕事だからだ。