Tomorrow is another day 第2章 36話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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麻子は封筒を取ると、


「失礼します。」


と、了承を得てから中を見た。


その中は中島とホテルで会っている写真や、麻子と中島の行動記録だった。


おそらく、千夏が優人の実家を調べてポストに投函したのだろう。


最後に会った時、


『あなたの事調べさせてもらったわ』


と、言っていた。


今まで温厚な空気が流れていたのが、一瞬にして冷や汗が出る。


「これ・・・。」


「先日、うちのポストに入っていたわ。切手は貼ってなかった。きっと直接ポストに入れたんでしょうね。」


喋り方が温厚なだけに言い訳をする隙もない。


優人も隣でその中身を見て、思わず母親を見てしまった。


「母さん、これは誤解なんだ。」


「どういう誤解なのかしら?」


「この男性は麻子さんの昔の同僚で、離婚するかもしれないからって相談をしていたんだ。」


「それで、二人っきりでホテルの部屋に入る必要があるかしら。」


「・・・。」


「やっぱり、人前で話せる内容の話じゃなかったから、部屋を取ったんじゃないかな?」


「一晩も一緒にいて?」


優人もこれ以上の嘘は限界を感じたのか黙ってしまった。


「さっきから優人からばっかり、弁明があるけど麻子さんからは何もないのかしら?」


「・・・。その男性は以前、私が結婚を考えていた方です。先日、10年ぶりに会いました。


それで、もう離婚をされてしまいましたが、奥様の事で相談に乗って欲しいと言われました。


確かに一晩、同じ部屋にいたのは事実です。でも彼とは何もありませんでした。


ずっと彼の話を聞き、お子さんもいらっしゃいましたから、親権の事などを話してました。」


「それは信用に価する事なのかしら?」


「はい。」


「僕も彼と会った事はあったけど、麻子さんとはそんな関係じゃなかったはずだよ。」


「『はず』って事は確定ではないのね。麻子さん、正直に話して頂戴。」


麻子は出された麦茶を一口飲んだ。


そのまましばらく沈黙が続いた。


その姿を優人はじっと見ている。