Tomorrow is another day 88話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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数日後、優人は真亜子を連れて『SNOW living』に行った。


そこにはすでに麻子が待っており書類らし物を見ていた。


「麻子さん、お待たせ。こちら、加山 真亜子さん。」


書類をバックにしまうと、立ち上がり真亜子に向かってお辞儀をした。


「はじめまして。小林 麻子です。」


「はじめまして。すみません、お忙しいお仕事なのに時間を作って下さって。」


「とりあえず、座りましょ。何か飲むでしょ?」


「ありがとうございます。じゃぁ、レモンティを。」


優人は麻子の隣に座り、真亜子は麻子の正面に座った。


「優人さんのサロンでお仕事をされてるんですってね。何回も面接をお願いして


就職できたそうね。凄いわ。」


「…。」


真亜子が口を開かないので、優人の方から話題を出した。


「彼女、頑張ってるんだよ。カラーコーディネーターの資格まで取って。」


「そうなの。カラーコーディネーターの資格って難しいのかしら。」


「頑張って3ヶ月で取りました。でも…。」


「どうしたの?」


「今のサロンに就職した本当の理由は、ブライダルに関心があったからじゃないんです。」


「就職難だから難しかったでしょ?」


「半年位前に、今のサロンの前を通りかかって…。ガラス越しに店長の姿が見えたんです。」


優人も初めて聞く話だったらしく驚いていた。


「そうだったんだ。」


「…それで、一目惚れしちゃって。」


「えっと…。それは僕に?」


「だって他に女性スタッフしかいませんよ。店長だけしか男性はいません。


どうしても店長のそばにいたくて、何回も面接をお願いしたんです。」


ここまで正直に告白をされるとは思ってもいなかったので優人は何を言えばいいのか


わからなかった。そして、麻子もまた何を言えばいいのかわからなかった。


真亜子は麻子の顔を見ると一大決心をしたのだろう。頭を下げながら頼み込んだ。


「お二人がご結婚されるのは知ってます。でも…、私にチャンスを下さい。」


「チャンス?」


「1ヶ月…、いえ1週間でいいんです。店長を譲ってくれませんか。」


この言葉は優人も麻子も予想もしなかった言葉だった。