Tomorrow is another day 53話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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「おはよ~ございま~す。」


「おはよう。」


静は携帯をポケットにしまいながら、真亜子の顔を見た。


「あれ?店長休みですか?」


真亜子はすぐに山下の所在を確認する。それで静も真亜子の気持ちに気付いたのだ。


肝心の山下は気づいてない様だが。


「さっき連絡があったわ。有給だそうよ。」


「えぇ~。せっかくクッキー焼いてきたのに。」


こんな状態だと静じゃなくても気付く。


「ここの所、徹夜が続いたからね。店長だって休みを取るわ。それに…。」


「それに?」


「大事な人も出来たみたいだしね。」


静のいい点は何事もすぐに見抜く事。悪い点は人を観察しすぎる事…かもしれない。


真亜子はその言葉に沈んだ様子になり、それでもクッキーが入っているであろう


袋をぎゅっと握りしめて、


「…私もなんとなくそうなのかなぁって思ってました。」


その言葉は静にとって意外だった。山下一筋で何も見えていない様に見えたから。


だが、仕事にそれ以上、上司のプライベートの話をするつもりはなく、


真亜子の言葉を無視する様に今日のスケジュールを確認した。


今日は平日でもあるし、そう客は来ないだろう。


とりあえず、ディスプレイを変えるか…。そんな事を考えていた。


横目に沈んだ様子で自分のデスクに座る真亜子を見ながら。