武が出て行ってから2週間が経とうとしていた。
浩之との事は誤解を解こうと思い、何度も武の携帯に電話を入れた。
だが、何度かけても武は電話に出ようとはせず
このまま小川家は自然消滅で
離婚してしまうのではないかと美奈は危惧した。
一番の危惧は浩之が武に、香が武の子供ではなく浩之の子供と言う事を
告げる事だった。
今まで必死になって隠していた事が浩之の
出現によってどんどん暴かれていく。
香は香で、父親が家にいない事を不審がっていて、
「ママ、パパは出張に行っちゃったの?いつ帰ってくるの?」
何度も聞いてきた。
「パパもお仕事忙しいから、きっと大変なのよ。」
まさか自分のせいで父親が帰ってこないなんて言えなかった。
(…もう限界かもしれない。本当の事をあの人に話すしかない。)
日を追う事にその考えは膨らんでいった。
だが、美奈はまだ知らなかった。
武が香の事を自分の子供ではない事に気づいている事に。