病院、どうしよう。どこに行ったら芸能記者にバレないかな…。
近所だと噂が立つのも早いしな。
やっぱり紗由理に相談しよう。私は意を決して、紗由理の携帯に電話を入れた。
紗由理はまだ、仕事に行く前だったらしく自宅にいた。
まぁ、前に私も住んでたマンションだけど。
「紗由理、今いい？」
「大丈夫だよ。まだ仕事行く前だし。龍雄さんは仕事にもう行っちゃったし。」
なんとなく私は武内さんがいなくてほっとした。
「あのね…。言いにくいんだけど…。」
私が黙り込んでしまうと、紗由理は心配気に声を潜めた。
「どうしたの？光君、そばにいないの？喧嘩でもした？」
「あぁ…。光はもう、今日のリハに行っちゃったの。
大丈夫、喧嘩なんてしてないから。」
喧嘩の方がまだ良かったかもしれない。
まさか、この私が母親になるなんて考えられない。
しかも以前の紗由理の妊娠疑惑の時、私って散々紗由理を叱ったんだっけ…。