私は彼の腕の中から離れると、この不安を打ち明けるべきか悩んだ。
だけど、この不安は膨れ上がっていくばかりだったし、
あの高田君の粘着質な告白に嫌な予感がして、
彼にこの不安を打ち明ける事にした。
「ねぇ、私思うんだけど、やっぱり高田君には私達の事は
言わない方がいいと思うのよ。変に1人だけ打ち明けると
違った方に噂が流れたりしない?」
「でも、俺もあいつも『男同士の決着』はつけた方がいいと思ってるんだぜ。
この際はっきりした方がいいと、俺は思うね。」
「貴方はそれでいいかもしれないけど、噂が流れて
私の会社名とかがわかっちゃったらどうするの?
もう少し、私の立場も考えて。」
「有名税と思って軽く流せよ。俺と結婚したら、こんな事しょっちゅうだぜ。」
「…。」
やっぱり芸能人と一般人は考え方が違うのかしら。
迷惑をかけるのは私だけじゃないのに…。
こういう言うのを『価値観の違い』って言うのね。
それで離婚する人も多い訳だし。
私のお母さんだってそれで離婚したのよね。私は子供だったから、
その時は『価値観』って事自体判らなかったけど。今なら判る気がする。
現実に彼と『価値観』が違ってきてるのが日に日に大きくなっていく。
こんなので結婚してもいいのかしら。