それと入れ違う様に救急隊の人達が光の元へやってきた。
私は慌てて光の元に戻り、光の耳元で囁いた。
「光、光。もう、大丈夫よ。救急隊の人達が来て来れたから、
しっかりして。ねぇ、目を開けてよ、光ってば。」
だけど光は目を覚ますどころかぴくりとも動かなかった。
私はこのまま光が目を覚まさないのではないだろうかと
おもうと心臓をわしづかみされた様になり
武内さんが静止するのも振りほどいて、
応急処置されている光にしがみついた。
「光!嫌よ。こんな事で死んじゃうなんて。
私が許さないんだから。私を一生守ってくれるんでしょ。
お願いだから目を覚まして!」
そして救急隊の人にも、
「お願いです。この人を助けて下さい。
この人は私だけじゃなく国民のみんなに愛されてる人なんです。
お願いです。お願いします。」
しがみついて懇願した。
すると救急隊の人は私の手をゆっくりとほどくと
力強く私の両手を持って、
「大丈夫ですよ。落ち着いて下さい。
出血のわりには傷は浅いし、命に別状はないでしょう。
最初の止血が良かったんでしょう。頑張りましたね。
綺麗な衣装を台無しにしてまで…。」
その言葉に私は身体の力が抜ける様に座り込み、
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
泣き崩れた。