その時、上島さんがしていたブローチが光に反射して光った。
その瞬間、高田君に襲われた時の事が
フラッシュバックの様に頭を駆け巡った。
私は頭を両手で押さえ屈みこんでしまった。
「部長!」
皆が駆け寄る。
「頭が…。高田君が…。」
呻く様に何度も同じセリフをつぶやいていると、全てを思い出した。
…そうだ。私は高田君にカッターナイフで襲われたんだ。
それで高田君は警察に…。
私はフラフラと立ち上がると皆を見渡し、
デスクに手を置くと一息ついてから背筋を伸ばした。そして皆に、
「もういいの。もう誤魔化さなくていいの。私、思い出したわ。
私、高田君に襲われたのね。
それで高田君は警察に連れて行かれたのよね。」
「…部長。」
「ごめんなさいね。皆に気を使わせて。そしてありがとう。」
「大丈夫なんですか?あんな事思い出して。」
「そりゃ、辛いわ。でも、これを乗り越えないと前に進めないもの。」
確かにあの時の恐怖はまだ残っている。
でも、これを抜け出さないと私は光と同じ立場に立てない気がする。