警察に連絡を受けた高田君は警察の方に連れて行かれ、
騒動は一段落した。
だけど、私は私に向けられた刃物のイメージが消えず早退する事にした。
マンションに帰ると光がいて、私は何故かホッとした。
だけど光は私の顔色が悪い事に気がついて、
「友梨香、こんなに早く帰ってくるなんてどうしたんだ?
午後出勤だから遅くなるかもしれないって言ってたじゃないか。
それにその、顔色。真っ青だぞ。会社で何かあったのか?」
「うん…。ちょっとね。」
「ちょっとって顔色じゃないぞ。俺に隠し事が出来ると思ってるのか?
バレバレだぞ。さぁ、正直に言うんだ。」
「…。高田君って覚えてる?」
「あぁ、俺とどっちが友梨香に相応しいかなんて、
ふざけた事言ってた奴だな。そいつがどうしたんだ?」
「話していたら人が変わったみたいになって
カッターナイフで襲ってきたの。」
「はあ?何、ふざけた事してんだ、あいつ。
締めてやろうか。今どこだ?」
「冗談でも止めて。今、彼は警察よ。部下の男性陣が助けてくれたの。」
「そっか。怖かっただろ。」
そう言いながら、私を抱きしめた。
その途端に私は気が抜けた様に涙がポロポロ出て来た。
そして、光につかまり子供の様に泣いた。