私は光の袖を握って、
「ねぇ、ホントなの?私と結婚したらブルムンを辞めさせられるって。」
光は手を縦に降って笑いながら、
「ちゃう、ちゃう。上杉が大げさに言ってるだけ。
俺がブルムンを抜けたら人気は急下降だろ?そんなバカな事しないって。」
私の手を握り締めた。
確かに今のブルムンから光が抜けたら大きな痛手になると思う。
だけど、事務所は簡単に許してくれないと思う。
なんてったって私は、一般ピープルのOL。結婚してもいいとこ専業主婦。
仕事は難しいだろうな。
母は暗い表情をしている私にすぐ気がつき、パンパンと手を叩き、
「さぁ、難しい話は明日。もう夜何時だと思ってるの。
今、お風呂の準備するから入ったらさっさと寝る!
上杉さんもね。着る物がないなら、お父さんのパジャマがあるから。
はい、行動開始!」
上杉さんは『パジャマを用意する』と、言われてうろたえていた。
その日は久しぶりに紗由理とお風呂に入って、紗由理とお布団を並べて寝た。
紗由理は私と光の結婚話の興奮が覚めないらしく、
お布団に入ってもその話題を振ってくるしつこさだった。
「ねぇ、ねぇ。光君と結婚する時ウェディングドレス?和装?
最近の和装も可愛いよね。結婚したら、仕事辞めちゃうの?
せっかく部長まで行ったのにもったいないね。ねぇてっば。聞いてる?」
「うっさいな~。疲れてるの。お・や・す・み!!」