「判ってくれたらいいのよ。あれだけ自分の意思を
出して選んだ仕事なんだもの。
がんばりな。今まであんなに紗由理が自分の意思を出したのは後にも先にも、
あの時位だもんね。妊娠の事は武内さんに紗由理からきちんと謝るんだよ。」
「うん。」
「さっ、今日は珍しく2人共仕事が早く終わったから、外食でもする?」
「珍しいね。友梨香ちゃんから外食の誘いがあるなんて。」
「紗由理が、ようやく『女優』って仕事がどんなに大変か
再認識してくれたからよ。
軽いお祝い。紗由理は、重大な事が重大ってなかなか判ってくれないからね。」
「ごめんなさ~い。」
「判ってくれたから、もういいの。武内さんや光も呼ぶ?」
「いいの?」
「今日はね。光も今日はオフだから。光が私の仕事中に『会いたい』って
メールしつこくって。早めに仕事切り上げたの。
ほら、私達ってなかなか会えないでしょ。武内さんは?」
「う~ん。レコーディング中かもしれないけど、食事位なら大丈夫かな?」
その日はそれぞれの彼氏を呼んで、
私達行き付けのイタリアンのお店でご飯を食べた。
その日の晩、私は幸せだった。