友梨香ちゃんの動きが止まる気配が判る。そうだよね。
女優が、妊娠ってマズイよね。絶対、怒られる…。
「ホント?武内さんは知ってるの?事務所は?…。いつ産まれるの?
って事は武内さんと結婚するの?おめでとう!私も嬉しいわ。」
まさかの祝福に私は少し動転したけど、正直に友梨香ちゃんに話した。
「友梨香ちゃん、ちょっと待って。
まだ、妊娠してるか分からないの。『もしかしたら』なの。」
「えっ?妊娠を確認してないの?」
「うん。怖くって。」
「怖くってじゃないよ!もし、妊娠してたら今もお腹の中で育ってるんだよ。
産むか堕ろすかは紗由理と武内さんにかかってるんだよ。
今からでもいいから、私が妊娠検査薬買って来るから、検査しなさい。」
「…。」
「まさか、武内さんにも話てないの?」
「携帯電話貸して!武内さんに私から連絡するから。」
友梨香ちゃんは私のバックの中から携帯電話を探し出そうとしたけど、
私がその手を止めて、
「龍雄さんには、私が話す。だって、私達の問題だもの。」