すると、紗由理はパタパタと涙を零し、
「なんで、友梨香ちゃんはそんな悲しい事を言うの?
今まで一緒だったじゃない…。私は女優になっても紗由理よ。
友梨香ちゃんまで私を芸能人って見るの?」
私は紗由理の涙を見てハッとした。
そうだ。いつだって紗由理は、家では紗由理のまんまだった。
休みの日には芸能会の話なんてしなかった。私は紗由理を抱き締め、
「そうね、紗由理は私の前では紗由理のまんまだもんね。
ごめんねでも、出来るだけ家賃の低い所にしよう。
プールの所をパスするとしてもセキュリティー十分だよ。
私は会社員だけど、芸能人はいつなにがあるか
わからない仕事だから、贅沢は出来ないよ。」
「うんうん。だけど、友梨香ちゃんはこんな時まで堅実だね。
さすが会社員は違うね。」
私は涙でくしゃくしゃになっている紗由理の鼻をつつくと、
「一般人と芸能人の違いだよ。私からお金の使い方を学ぶべきね。
マンションは任せるわ。一緒に住むんだもの。TV局とかに近い方がいいでしょ。」
紗由理はさらに私に抱きついて、
「ありがとう。慎重に決めるから。」
「そうして。決めたら私に一回見せてね。」
「うん。わかってる。」