OLと女優 26 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

すると、紗由理はパタパタと涙を零し、


「なんで、友梨香ちゃんはそんな悲しい事を言うの?


今まで一緒だったじゃない…。私は女優になっても紗由理よ。


友梨香ちゃんまで私を芸能人って見るの?」


私は紗由理の涙を見てハッとした。


そうだ。いつだって紗由理は、家では紗由理のまんまだった。


休みの日には芸能会の話なんてしなかった。私は紗由理を抱き締め、


「そうね、紗由理は私の前では紗由理のまんまだもんね。


ごめんねでも、出来るだけ家賃の低い所にしよう。


プールの所をパスするとしてもセキュリティー十分だよ。


私は会社員だけど、芸能人はいつなにがあるか


わからない仕事だから、贅沢は出来ないよ。」


「うんうん。だけど、友梨香ちゃんはこんな時まで堅実だね。


さすが会社員は違うね。」


私は涙でくしゃくしゃになっている紗由理の鼻をつつくと、


「一般人と芸能人の違いだよ。私からお金の使い方を学ぶべきね。


マンションは任せるわ。一緒に住むんだもの。TV局とかに近い方がいいでしょ。」


紗由理はさらに私に抱きついて、


「ありがとう。慎重に決めるから。」


「そうして。決めたら私に一回見せてね。」


「うん。わかってる。」


紗由理は嬉しげにマンションの物件を書いてある紙を見ていた。