「でも、紗由理が引っ越す所ってセキュリティがしっかりしてる所なんでしょ。
そんな家賃の高い所だったら、家賃を折半出来ない。
紗由理は女優なんだから、それなりの生活をしなって。
私はただのOL。身にふさわしい生活をするわ。
あの記事がいいきっかけかもね。
いい加減、別々の生活をするべきなのよ。」
「ざぁんねんでした。これはあの記事を出した、友梨香ちゃんへの御仕置きよ。
何度も言う様に私と友梨香ちゃんは別々になんて生きていけないのよ。」
勝ち誇った様に紗由理は私に指を指しながら笑った。
その指を押しのけ、
「確かに、今回は迷惑をかけて悪かったわ。
でも、そこまで勝ち誇らなくてもいいんじゃない?」
私はちょっとムッとしながら、
「私、明日会社なんだけど。」
しても無駄な抵抗をしてみた。案の定、紗由理は、
「大丈夫、うちの事務所の人間が『派遣』って偽って1人行くから。」
…さすが芸能界で一番大手の事務所OYカンパニーだけある。
そんな裏工作まで出来るなんて。