左手の記憶 | After15-20 years

左手の記憶

今でも左手には、
 彼女の手の感触が残っている。
いつも繋いでくれる彼女の右手。
 ずーっと繋ぎ続けているかのように。


「この手を持って帰りたい」
「何、バカなこと言っているの!」
 いつも何度も繰り返すやり取り。
彼女の手の温もりは、
 僕を優しく癒し続ける。
 僕の心の醜さを全て取り去っていく。


あとどれぐらいの時間、
 残っているのだろうか。
 少しずつ残照のように消えていくのだろうけれど。
消えたら、
 また再び繋いでもらおう。

そうやって、
 やがて彼女は

 僕の身体の一部に、なっていくのかな?