Landmark English Communication 3 Lesson 10 の和訳・解説プリントができました。三養基高校の生徒さんには既に郵送をしておりますので、お手元に届いているかと思います。

期間限定には、和訳の一部を公開します。

 

Lesson 10: The Poorest President in the World
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 ウルグアイは南米の小さな国です。前大統領のホセ・ムヒカは「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれていました。それは、彼は自分の給料の90%を貧しい人への慈善事業に寄付し、1か月に約1000ドルで暮らしていたからです。彼は、政治家は一般人と同様に質素に暮らすべきだと信じていたので、大統領宮殿の代わりに小さな農場の家に暮らしていました。彼の小さな家には水道がありませんでした。それで、彼は井戸から水を手に入れました。
 ある日、テレビ番組で、ムヒカ大統領はこう尋ねられました。「いつも「貧しい大統領」と呼ばれることにうんざりしませんか。」彼はこう答えました、「私は貧しくありません。貧しい人とは、あまりお金を持たない人のことではなく、ますます多くものを欲しがる人のことです。」彼はまた、こう付け加えました。「私はただの質素な人間です。自分が持っているものだけで、豊かな生活を送ることができます。」
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 ムヒカを世界的に有名にしたのは、2012年のブラジル、リオデジャネイロで開催された国連会議での彼の演説でした。世界中の政治的指導者が持続可能な発展について演説を行いました。そして、その最後の演説者がムヒカでした。彼が演説を終えるとすぐに、全ての聴衆が立ち上がり、拍手をしました。彼の演説は「最も衝撃的な演説」と呼ばれ、世界中に知られるようになりました。
 会議では、演説者の多くが環境問題に焦点を合わせました。しかしながら、ムヒカは、最大の問題は環境の危機ではなく、私達の消費社会であると主張しました。彼は更にこう主張しました。「消費が社会の原動力である世界において、私達はもっと多く、もっと速いペースで消費しなければなりません。もし消費が減少すると、経済は停滞します。そして経済が停滞すれば、私達は不況に苦しみます。この問題の主な原因は、消費社会という社会構造のモデルそれ自体なのです。」
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 ムヒカは演説を以下の言葉で締めくくりました。「私が言いたいことはとても簡単です。発展は、幸福に反してはなりません。発展は愛を育んだり、人との間に関係を築いたり、子供達の世話をしたり、友人を持ったり、私達の基本的ニーズを満たすという幸福を私達にもたらさなければなりません。幸福は私達の最も貴重な宝物です。環境のために戦うときには、私達は自分達の幸福のため戦うのだということを覚えていなければなりません。御清聴、有り難うございます。」
 彼の演説は環境問題に対する具体的な政策を含んでいませんでした。しかしながら、彼の演説は、これらの問題の根本的原因と人間にとって本当の幸福が何であるかを明らかにしました。彼の演説は世界中で知られるようになりましたが、人々はムヒカ自身のことをほとんど知りませんでした。英国放送協会が「ホセ・ムヒカ、世界で一番貧しい大統領」と呼ばれる記事を書いて初めて、人々は彼について知るようになりました。彼の演説が彼の実際の生き方に基づいていたことがわかって、人々は驚きました。