◆今日の一言
No.452(07/7/4)
『日本こそ、ソ連や中国がお手本にすべき社会主義国です』(リクルート創業者・江副浩正)
いきなりですが、ある新聞記事の引用を。
http://www.sankei.co.jp/shakai/wadai/070703/wdi070703000.htm
…考えさせられますね。
野村資本市場研究所・関志雄主任研究員の、「10年後に中国の学生がマルクス経済学を勉強しようと思ったら、日本の大学に行くしかない」という言葉は、ジョークとしても一流です。
わが国の義務教育が、社会主義的発想を注入する継続的訓練の性格を持っているということは、本メルマガでも何度か扱ってきましたが、その集大成と言えば、社会人が発するこの言葉に集約されているでしょう。
「給料を払ってくれるのは、会社だ」。
まさに、「洗脳ここに極まれり」と言ってよい、見事な教育の成果です。
思い起こせば、本メルマガ『内定への一言』の第7号では、「給料を払ってくれるのは、会社ではない」という一言を扱いました。
それは、現役の学生の中にも、あまりに共産主義を信奉する若者が多かったからです。この思想的ウイルスに感染したままでは、とてもじゃないがまともな就活なんてできない…と感じたからです。
いえいえ、まともな就活ができないどころではありません。たとえ社会人になったとしても、まともな仕事さえできないのです。
①給料の出所が分からない
②福利厚生を何より重視する
③仕事が好きでもないのに会社に居座りたがる
という日本人サラリーマンの特性を観察して、学生時代に学生新聞の求人広告事業を開始し、わが国最大の就職情報サービス会社を作った人と言えば、リクルート創業者の江副浩正さんです。
江副さんは、『面白すぎる大物たちの頭の使い方』(竹村健一/太陽企画出版)の中で、「日本こそ、ソ連や中国がお手本にすべき社会主義国です」と言っていますが、よく日本の教育の性質を見ていたのだと思います。
「給料を払ってくれるのは会社だ」というのは全くの間違いで、会社は一円たりとも給料を払いません。
給料を払ってくれるのは、お客さんです。会社はただ預かり、受け渡すだけの存在でしかありません。
会社にお金が入ってくるのは、会社が顧客の問題を解決した時だけに限られ、この一次収益がないところに、いかなる給料も存在しません。
それを、「給料を払ってくれるのは、会社だ」と時代錯誤な認識が思考の前提になったら、どうなるでしょう。
学生であれば、初任給や勤務条件を何より大事な判断基準にして、会社を選ぶようになるでしょう。
仕事にはそもそも「やりがい」など存在せず、嫌々ながら働いて給料はできるだけ多めにもらい、喜びはプライベートに求めようと錯覚して、「仕事とプライベートのどちらを優先すべきか?」などと、意味不明な悩みを持つようになるでしょう。
社会人であれば、顧客の問題を解決することではなく、自分の悩みを解決することが昇給の条件であると勘違いします。
そして、どうやって上司に気にいられればよいか、どうやってストレスをなくせばよいか、どうやって昇進路線に食い入ったらいいか、仕事の本義とは何ら関係ない事ばかりにこだわるようになるでしょう。
そして、自分の無能は棚に上げて、「会社が給料上げてくれない」などと、これまた意味不明な弁解や不満をもらすようになります。
僕は若年者の再就職支援を行う時は、その大半を経済教育、会計教育に使います。
それは、「給料は誰が払うのか」を分かっていなければ、とてもじゃないですが、まともな仕事など不可能だからです。
また、「給料は会社が払うもの」という共産主義思想にかぶれた社員を抱えた会社の社長は、社外で顧客を相手にする以前に、社内の「未開人対策」に手間を取られ、膨大な時間、お金、エネルギーのロスに苦しむようになるからです。
会計教育とは、いわば最高のリスクマネジメントで、民間企業が利益の保全のために行う「予防注射」か、人事リスク対策で加入する「人事損害保険」のようなものだというのが、僕の考えです。
この注射を忘れ、保険に入り忘れた会社は、後日、社員が労働組合を結成して経営陣に反旗を翻し、「給料上げろ」などと未開人バリバリの要求を提出してくるリスクを負わねばなりません。
社員の意欲をどう上げるか、どうやって離職を減らすか、どうやって顧客をフォローするか、どうやって次代の幹部社員を育てるか…そういう、砂に水を蒔くような人事対策に膨大なエネルギーを費やさねばなりません。
もし、「給料を払ってくれるのは、お客様だ」というまともな認識が思考の前提になっていれば、社内のコミュニケーションは自動的に修正され、商品企画や営業対策も、仮にミスがあったとしても、自然に理想的なものに集約されていくでしょう。
給料を上げたいという自然な欲求に対しても、労使対立ではなく、労使協調の雰囲気の中、合理的な対策を行うことができるでしょう。
組合との相談は、社員の意欲を引き出し、顧客の利益も守るための労働条件の改善や、昇給額の見直しにつながるでしょう。
社員が「給料はどこから出るか?」を知っているかどうかは、まさに社運を左右するほどの重大なコンセンサス事項だと言えるでしょう。
今では「会社が払ってくれる」などと考える骨董品のような人は減りましたが、こういう社員が侵入社員となった会社は、上司は研修でエネルギーを奪われ、同僚はフォローで時間を奪われ、友達は飲み会で時間とお金を奪われます。
ほんと、社会主義の洗脳って、恐ろしいですね。本人だけならまだしも、他人にまで損害を与え、際限なく負の連鎖を生み出すなんて…。
まさしく、日本は、旧ソ連や共産中国がお手本にすべき、「社会主義国家」だったのです、一時期は。
本メルマガ読者の方には、まさか「給料を払ってくれるのは会社だ」などと考える時代錯誤な若者はいないでしょうが、世の中にはまだ、こういう「Windows55」みたいな発想を行う人がいるので、注意しておきましょう。
国立大学を中心に「経済考古学」を教え込んできた慣れの果てが、今の国家の姿です。
1945~2050年の日本史は、将来の日本人に、「国策と教育が誤った見本」として、貴重な教訓とされる時代になるでしょう。ほんと、英蘭戦争に負けた後のオランダみたいです。こういうお手本になるのは屈辱的ですが、やむをえません。
これからは十八歳人口が減り、大学は二極化して、既に東京の有名私学でも、授業のレベルが「旧制高校」より低いものとなっているように、一部の大学では、「中学校の復習」などを行うことになるでしょう。
やる気のない若者たちは続々と会社を辞め続け、若年者をどう働かせるかは、社会的関心事となっていくはずです。
内定ごときで学びをやめず、生活のためと財産のため、二つの仕事を持ち、着々と将来の安定と成功の基盤を築いていきましょう。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
ただ今、教育・学校部門217位、就職・アルバイト部門132位です。
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