今どき、「給料を払ってくれるのは会社」と思っている人がいるなんて。
◆今日の一言
No.437(07/5/5)
『労働組合は、共産主義の学校である』(レーニン)
FUNで最も人気がある『マネー塾』の中でも、特に学生さんが青ざめる回は、第⑦回の「世の中で一番高い買い物~赤信号、みんなで渡ればみんな死ぬ~」です。
この中で、「給料を払ってくれるのは、会社ではない」という事実を説明しているのですが、そこでは誰もが学校で習ったある言葉が登場し、「一体、私たちは何を教わってきたのか?」と教育に疑問を抱くきます。
僕が社会主義や共産主義が嫌いであることは、長年の読者の方であればよくご存知だと思います。
今日は「給料」に対する見方から、就職や仕事のあり方を考えてみましょう。
今どき、「給料を払ってくれるのは、会社だ」などと考えている時代遅れな若者はほとんどいないでしょうが、ちょっと前は、かなり多くの人がそう誤解していました。
まともな常識を持っている人であれば、お金はお客様の要望を満たした時以外に生まれないことを知っているでしょう。
会社はそのような「売上金」や、株主から預かった出資金、金融機関から借り入れた負債を一括して預かり、定期的に「分配」するだけの存在でしかないことは、お金を使ったことがある人なら、誰もが知る事実です。
つまり、「給料を払ってくれるのは、お客さんだ」というのが正しい認識です。全ての収益は、解決者たる企業と問題保有者たる顧客の合意が成り立った瞬間に生まれ、それが貨幣によって数値化されます。
会社は確かに現金を手渡してはくれますが、「給料」という名のその現金は、別に問題を解決したり合意を生んだりしたから生まれたのではなく、既に解決済みの問題から生まれた収益金を、「給料日」という期日に手渡しているだけに過ぎません。
よって、「給料を払ってくれるのはお客」で、「給料を手渡してくれるのは会社」ということは、子供でも理解できることです。
しかし、過去には、大学に進学したくせにこんな単純な常識を理解できず、「モノ」でしかない硬貨や紙幣に幻惑されて、「給料を払ってくれるのは、会社だ」と錯覚した未開人が多く存在した時期があったのです。
そして、「会社が払ってくれる」と誤解したばかりに会社に頭を下げ、会社から解雇されないために胃薬を飲み続けてストレスに耐え、給料が低ければ会社、とりわけ経営者や資本家を恨む、という倒錯心理に陥った人々もいました。
俗に、「共産主義者」と呼ばれる人たちです。僕は、この「経済未開人」を観察するのが好きなので、今までに色々と文献を読んできました。
わが国の教育や行政はこの未開人に握られており、その影響は子供の頃から繰り返し、繰り返し、「義務教育」という名の調教によって浸透しています。
たとえば、「マネー塾」では、「労働三権」のバカバカしい倒錯心理について説明します。
中学校の頃、「労働者の権利を保障し、幸福を増大するための素晴らしい権利だ」と太字で覚えこまされた「団結権、団体争議権、団体交渉権」の総称です。
「労働三権」は、要するに、「給料を払ってくれるのは会社」、「労働者を搾取しているのは経営者や資本家」、「自分たちは多く取り、労働者には少なくしか与えないのは悪い」という思考基盤がなければ成り立たない発想です。
経営者や地主、資本家などの「金持ち」は悪人でずるがしこいから、労働者は団結して「組合」を結成し、組織力で経営陣と争い、交渉していかねばならない。
「そのための権利を、憲法ではしっかりと保障しているので、みんなも覚えておけよ」。
そういう位置付けで、蛍光ペンでマークさせるわけです。よくできた洗脳教育です、ほんと。
…面白すぎる。
どうやら、本気で「給料を払ってくれるのは、会社だ」と思っているようです。
会社が独自でお金を生み出すことができるなら、それは「偽造」か「資産処分」しかありえないはずですが、経済未開人には、そんな単純な事実も理解できないのです。
専門用語で説明してもあまりにバカバカしいこの話を、マネー塾ではある動物と昆虫を使って説明しています。
~あるところに、犬がいました。犬は勤勉で、毎日朝早くに起きて食べ物を探し、自力で生活していました。
その犬の背中には、数匹のダニが寄生していました。ダニたちは犬の血を吸って生活していました。
ダニたちは長い間同じ量の血を吸っていて、そろそろ、自分たちの分け前を増やしてほしいと思うようになりました。
ボスダニの説得でダニたちは団結し、犬と交渉することに決めました。
「おい、犬!もっと多くの血を吸わせてほしいが、それは可能か?」。
犬は、「それは、ちょっと待ってほしい。最近はエサを探すのも大変で、今までの量ならよいが、増やすのはかなり難しい」と答えました。
ダニは、「何だと!おまえ、たくさんの血を持っているくせに、さては、オレたちに分けたくないばかりに、隠してやがるな!」とたたみかけました。
子分のダニたちも、「犬はその気になれば、もっと多くの血をオレたちに支払えるはずだ。犬と闘争して、もっと多くの分け前にあずかろう!」とけしかけました。
ダニにとって、犬がどれだけ苦労してエサを探し、栄養を補充して命を保っているかなど、どうでもいいことでした。
だってダニには、「血の出る場所」だけが大事で、血の保有者である犬がその量を計算して、少なくしか与えてくれないと思えていたからです。
ダニたちは5月1日に犬に向かって闘争を挑み、強気の交渉を経て、今までの2倍の血を吸わせてもらう契約を結びました。
ボスダニは「犬との闘争に我々は勝利した。我々の団結、団体交渉、団体争議が実を結んだのだ。明日からはもっと多くの血を取り戻すことができる」と宣言し、子分ダニたちも、「勝利だ!」と喜びました。
翌月からダニたちは今までの2倍の血を吸い始め、犬はみるみる衰弱し、数ヵ月後、体力を維持させるに足る量の血液を確保することができず、死んでしまいました。
「やった!ついに我らの敵、犬は死んだぞ!」と喜んだダニたちは、瀕死の犬の体から競って血を吸いはじめましたが、犬が死んだ後は血が補充されなくなり、ダニたちも後を追うように全滅してしまいました。
寄生虫に過ぎなかったダニたちは、自分たちの死を目の前にして初めて、犬がエサを取ってこそ、血が生まれていたという当たり前の事実に気が付いたのですが、既に手遅れで、ダニたちも死んでしまいました。
おしまい。~
というだけの話です。
要するに、「給料を払ってくれるのは、会社だ」などと考えている人は、このダニと全く同じだということです。
口では「我らの敵、金持ちを打倒するぞ!」と勇ましいことを言っていますが、やっているのはただの「集団自殺」です。僕たちのような経営者には、「みんなで仲良く死ぬぞ!」としか聞こえません。
赤信号をみんなで渡れば、みんな確実に死ぬだけのことです。
「未開人は、矛盾に鈍感である」というレヴィ・ストロースの言葉は、わが国にもよく当てはまる一言だと感じずにはいられません。
血液は、外部から摂取した食物や栄養によって初めて確保されるもので、本当に血液の総量を増やし、その純度を高めたいなら、背中に乗っているだけでよいダニの役割は、犬にエサの居場所を教えるか、犬が活動しやすいように応援することであるべきでしょう。
ダニはダニらしく、ダニの本分を尽くせば、それでよいのです。
しかし、経済未開人のダニには、そんな簡単なことも理解できません。だって、「労働三権」という「ダニ憲法」を頭脳に徹底的に注入されているからです。
労働三権を正しく翻訳するなら、「団体恐喝術」とか「タカリ交渉術」とでも言っておけばよく、「労働者の権利」などと呼ぶのは、わが国一流のジョークでしかありません。
まさに、「スーツを着た暴力団」と呼ぶほかありません。
ソ連が崩壊し、バブルが崩壊して、お金に関する本が一般書店でも多く販売されるようになって、本当によかったと思っています。バブルで損したのは、金持ちの見かけを真似した貧乏人だけだというのも、面白いポイントです。
「金持ちは悪いことばかりしてる」
「金持ちは貧乏人から搾取している」
「労働者は団結して資本家から富を奪回せよ」
ダニのこのような口ぐせを理論化し、壮大な思想体系にまとめたレーニンは、「労働組合は、共産主義の学校である」という言葉を残しています。
「経済的に恵まれておらず、思想的に未開である賃金労働者を宣伝・煽動であおり、資本家を倒す兵隊として調教せよ」という教えです。
その理論によって実験国家を作ったソ連、中国、東欧、北朝鮮は、その後、どうなったでしょうか。
日本ではここまで過激な理屈が社会を覆うことはありませんでしたが、義務教育や経済観念には社会主義的価値観が膨大に流れ込み、今もって、「給料を払ってくれるのは、会社だ」、つまり「I am ダニ」と言う人が多いのがユニークなところです。
本メルマガの読者たる賢明な学生の皆さんには、まさか、「給料を払ってくれるのは、会社だ」などというダニ思想を信奉している人はいないでしょうが、世の中、こういう矛盾に陥って有害情報を振りまく人もいるので、注意しましょうね。
こういう未開心理は、就職以前の問題です。
給料は、お客様の悩みに共感し、お客様の問題を解決し、お客様の喜びを創造した時に、初めて支払われる有り難い報酬です。卑しいのは利益ではなく損失です。
正々堂々と、明るく素直に収入を稼ぎ、自信を持って健全に将来設計を行えるよう、内定後は、ぜひ会計や経済思想を学んでみてはいかがでしょうか。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
ただ今、教育・学校部門85位、就職・アルバイト部門53位です。
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