◆今日の一言
No.432(07/4/27)
『できない営業マンは自分を特別だと言い、

できる営業マンは相手を特別にする』





昨日ご案内した「韓国語塾」に、早速10人以上から申込みが。学生時代にバイリンガル、トリリンガルを目指したい方がたくさんいて、心強い限りです。


また、僕の本にご注文をいただいた皆様、本当にありがとうございます。といっても、学生さんより、人事担当や営業担当の社会人の方の方が多いのが不思議なところです。


2,000社以上の営業、600社以上の取材を通じて見えた「できる人の仕事のとらえ方」をご説明しているので、学生の方も、社会人の方も、どうぞお楽しみに。採用はもちろん、営業研修にも役立ちます。



さて、3月末に開始して以来、数名の学生さんから「私も行きたい」という声をいただいてきた、毎週月曜の「トップセールス研究会」は、5月から学生さんも参加可能になります。


場所はオンワード福岡支店と西鉄グランドホテルの間にある「青年センター」で、5月7日(月)の第⑦回の発表担当は、営業成績が全国トップ10に入って表彰されたこともある、損保ジャパンのMさんです。


参加費は学生さんなら100円なので、就活で「あと一歩」の考え方を得たい方、内定後の先取りを目指したい方は、ぜひご参加下さい。申込は今日の号の始めにリンクがあるので、そちらからどうぞ。




さて、入社2年目を迎えたくらいの社会人の皆様から、「営業がきつい」、「成績が上がらない」というメールを頂くことがあります。


ということで、今日はFUNではいつも話している「できる営業マンの心得」のうち、相手との向き合い方について考えてみます。



まず、「できない営業マン」の特徴を挙げてみましょう。面接も同じですが、「すごいこと」をやる前に「タブー」を減らすのも大切ですからね。


できない営業マンは…


①「契約」が目標である
②営業とは「モノを売ること」だと考えている
③月末は新規開拓で忙しい
④自分で「安い」、「すごい」、「お得」と言う
⑤自社、商品、自分を「特別」と言う


という特徴があります。要するに、相手のことなど、これっぽっちも考えていないため、毎月、相も変わらず「お願いします!」と頭を下げまくっているわけです。



今日はこのうち、⑤の「特別なのは誰か」について考えてみましょう。


例えば、僕が経済誌の記者として見てきた幾多の会社の事例として、経営状態も良く、社員も仲が良く、取引先からも人気がある会社は、必ずと言っていいほど、社長さんが社員に対して「君たちは特別だ」と感謝していました。


また、取引先に対しても「○○さんとお取引できて幸せです」、「○○さんはわが社にとって特別なお客様です」という態度を習慣化させていました。



これは、後に独立してフリーターの再就職支援を行ってきた中で、保護者の方もまじえた面談を行う際でも、共通して見られた事例でした。


危機の察知が早く、復活も早い家族では、親が子供に「あなたは特別」と言い、子供も親に対して尊敬、感謝の念を持ち、「親は特別な存在」と考えていました。



一方、営業成績が悪い会社や内紛が絶えない会社、社員が定着しない会社や、親子の関係が悪い家族、子供が放蕩気味の家族では、こちらも必ずと言っていいほど、「自分は特別」、「なぜ相手は分かってくれないんだ」と考えていました。


「オレは社長の仕事をしているんだ。おまえらにオレの苦しみが分かってたまるか」と社長が言えば、社員は「現場を担当しているのは私たちだ。管理職に現場の苦労が分かるはずがない」と、お互い、自らを「特別扱い」していました。


子供が家にいることをもって「邪魔者」扱いし、自分の世間体を取り繕うために子供を追い出すことが「再就職」だと考えている親も、「親の気持ちなんて分かるはずもないから期待しないけど」と言い、子供も「世代が違う親なんて当てにしていない」と言います。



「分かってほしい」という気持ちは誰もが持つものですが、その前に、それは「分かってあげた」分だけ返ってくるものだ、ということを考えないといけません。


「特別なんだ」という思い入れを持つのは、それ自体結構なことですが、その対象を間違えては、悲劇的な結果を招くことがあります。



恋愛でも、「オレは特別」、「あたしは特別」と譲り合うことを知らないカップルは、ケンカばかりして、お互い、相手を説得し、屈服させようと張り合うものです。


一方、仲が良くいつもニコニコしているカップルは、お互いが相手を「特別な人」だと考え、そう言い、態度で示すものです。


恋愛の相談を受けることは、僕のキャラ上ほとんどありませんが、今まで何度か聞いてきたうちでは、「相手がどれだけかわいいか」、「相手がどれだけ大切か」、「相手がどれだけ可能性に満ちているか」、「相手のおかげでどれだけ人生が充実しているか」を話題にしたらいいよ、と言っています。



それは何も、好かれるためにそうするような打算的な言動ではありません。


相手の不満は自分の態度に由来するものであり、自分の幸せは相手の幸せによって決まるからには、自分を忘れるほど相手を特別にするのが大事です。


自分が「かわいい」と言われれば、女の子はどんどんかわいくなるでしょうし、

自分が「できる」と言われれば子供はどんどん頑張ってもっとできるようになるでしょうし、

自分が「特別だ」と言われた社員は、そう言ってくれる社長のために、もっと努力したいと感じるでしょう。



営業に限らず、コミュニケーションがうまくいく秘訣は、「自己PR」などというさもしい観点を捨て去って、相手を優しく根気良く見つめ(取材し)、相手が特別である点、その理由を発見して、それを語り、ともに実現させていくことです。


商品や話題は、自分がどれだけ相手を大切に思っているか、どれだけ相手の可能性に同意し、応援したいかを説明するための材料に過ぎません。


何度も本メルマガで書いてきたことですが、営業マンは「商品を売る」のではなく、「商品で売る」のです。商品を通じて、実現可能な相手の可能性や、相手を大切にする思い、つまり「相手がいかに特別であるか」を売り込むのが本当の仕事です。



ですから、トップ営業マンは、たとえ自分が「広告」を担当していても、広告の話だけをすることはありません。


「広告?カネがないから出せないよ」と言われれば…


ダメな営業マンは、「そっか」と退散します。要するに「カネがない」を断り文句だと考えているわけです。



冗談じゃない。


「カネがない」の一体どこが、どのように「断り」だと言うのでしょうか。


営業マンの仕事は、素直な観察眼をもって相手の課題を発見し、問題を解決して、お客様や相手を「特別な人」にすることです。



そんな特別な人が、「お金がない」と言っているのは、自分から問題を提示して、SOSを出しているのにほかなりません。「カネがない」は、断りどころか「あなたの商品が欲しい」というサインです。


お金がない理由は、もしかしたら時間が間延びする社風にあるかもしれないし、売掛金の回収の遅さにあるかもしれないし、人材が定着しない人事の問題にあるかもしれません。


営業マンは「病気と向き合う前に、体を治す」のが仕事であるからには、「広告費が出せない」という結果を淵源にさかのぼって分析し、相手が健康体になるよう、時には財務、人事、広報、管理、商品開発までも話題として引き受け、総合的、長期的に相手を「特別」にしていくのが大事です。



そうすれば、必ずどこかで余剰資金が生まれ、売上も上がり、利益が残るようになるでしょう。そうやってお手伝いしたことで生まれた資金から、広告費をいただけばよいではありませんか。


「広告費がない」なら、未来から作り出せばいいだけのことです。


お金なんて、そこら中にいくらでも転がっているものであって、それを集めたければ、集まるような仕組みを作って、問題を解決すればいいだけです。



トップ営業マンのお客様を見てみて下さい。必ずと言っていいほど、お客様の方が「ありがとうございます」、「お願いします」と頭を下げているでしょう。


トップ営業マンの周りにいる人たちは、「この人と一緒にいると、自分がそうありたいと願う特別な人に近づける」と思って、いつも一緒にいたがるでしょう。


「安い」、「いい」、「すごい」、「お得」という言葉は、常にお客様の口から発せられ、トップ営業マンは「おかげさまです」、「ありがとうございます」と謙虚に感謝しているものです。



2年ほど前に、本メルマガで「トップ営業マンとは、どういう営業マンか」を扱ったことがありました。「FUN営業塾」を貫くその考え方は…


「トップ営業マンとは、営業しなくていい営業マンのことだ」というものでしたね。


なぜかと言えば、感動したお客さんが黙っていられなくなり、リピーター、ファン、信者となって、勝手にどんどんその人の評判を広げてくれるからです。



トップ営業マンにとって、「営業」とは最も無駄な行為であり、一番大切にしないといけないのは、お客様との関係が永続的に発展するよう、しっかりと誠意を込めてフォローしていくことです。


「月末に新規開拓」など、人望のなさ、フォローの質の低さ、仕事のまずさを示すバロメーター以外の何物でもありません。


こういう一事をもってしても、日頃「自分」と「相手」のどちらを特別にしようと考えているか、よく分かるというものです。


人は自分を特別にしてくれる人を特別だと思うからには、特別に思われたい気持ちに応じて、相手を特別にしていけばいいわけです。なんて簡単なんでしょう、営業って。



ということで、できる営業マンは自分の商品にこだわらず、常に相手の問題や要望を起点として発想を行い、自社、商品、自分が相手を特別にするという目標にどれだけ貢献できるか、無私の精神で接します。


「押しが強い」
「流暢なセールストーク」
「豊富な商品知識」
「強烈なバイタリティ」
「機敏なフットワーク」


などは末端の要素に過ぎず、全ては「相手を特別にしたい」という思いやりから生まれなければ、全く意味がありません。



「契約が取れた!」。


最初はこういうことでも嬉しいでしょう。しかし、本当の営業が始まるのは、むしろここからです。契約なんて、関係作りの準備に過ぎません。


ダメな営業マンは契約を喜び、そこですぐに次の新規開拓に向かいます。何を「営業」と考えているか、よく分かるでしょ?こういう営業マンが多いから、トップ営業マンはただいるだけで、お客の行列ができるわけです。



営業と面接には、通じる点が多いものです。


実務の最前線で活躍し、成果を出し続ける経験豊富な社会人が集う「トップセールス研究会」に、学生の皆さんも100円払って勉強しに来てみるといいですよ。


その姿勢、言葉、考え方に接するだけで、「そうありたい面接」に一歩、近付くことができるでしょう。





今日もお読みいただき、ありがとうございます。

ただ今、教育・学校部門79位、就職・アルバイト部門37位です。

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