◆今日の一言
No.425(07/4/15)
『士は己を知る者の為に死す』(史記)
僕が最近はまっている秘密の遊びを今日、大月さんに言ったら、爆笑してました…。
それは、「たこやき作り」。
今年から2年間は「作家」にシフトした生活を送るため、ここ数週間は原稿を推敲したり、今後の構想を練ったり、他の仕事との兼ね合いを考えたりと、家にいる時間が以前よりかなり増えました。
一つの作業に没頭して黙々と続けるのは嫌いでも苦手でもなく、決めれば何時間でもやれるのですが、何時間もPCに向かうのは、さすがに目や肩が疲れます。
それに、考えすぎてもダメなので、大濠公園を散歩したり、海を見たり、気分転換の重要性も最近つとに感じています。しかし、デビュー作があと1ヶ月で発売となると、どこに行っても考えるのは作品のことばかり…。
「いかん、いかん。普通じゃやらないことをやろう」と決意し、5日前、誰にも内緒でこっそりと「たこ焼きマシン」を購入したのでした。
穴は小さめですが、やってみると丸くこんがり焼くのはなかなか難しく、昨日は夜、2時間も焼き続けていました。気付けば、出来の悪い試作品が40個もできており、夜中に一人で、たこ焼きを40個食べました。
何でも一度手を付けたら、極めないと気が済まないのが僕の性格で、これからもおいしくきれいなたこ焼きを目指し、定期的に自宅で極秘修行に励むことでしょう。
「失敗作は、全部大月さんにあげよう」と言ったら、「ちゃんとできてるの下さい」と言われ、僕の肩書きには、社長、サークル顧問、作家に加え、「たこ焼き職人」が加わった次第です。
さて、その大月舞さんと新卒の前迫昭子さんが、この春からめでたく新事業所「maiplace」を開設し、就業・採用支援事業を開始します。
早速「3日で差が付く就活対策」の案内が掲載されているので、就活でチャンスが欲しい方は、ぜひご覧になって下さいね。
今後も色々と楽しく役立つ情報が掲載されるので、以下のHPはぜひお気に入りに加えておくとよいですよ。
http://maiplacehp.web.fc2.com/
僕がサークルを通じてお二人にずっと接してきた中で、二人が絶対に成功するだろうなと思う根拠は、
①人の悩みや悲しみを相手の立場で分かってあげられる
②他人を話題にしたり、他人を噂で判断することがない
③怒らず温和で、相手を尊重して話を聞くことができる
の三点です。この姿勢があれば、この仕事に必要な能力は全て身につけることができるでしょう。
二人とも若く、これから経験して覚えることもたくさんあるとは思いますが、お互いに長所や短所を補完しあい、アイデアを出し合って、真摯に向き合っているのは本当に素晴らしいところです。
また、特に僕が「若いのにすごいなあ」と感じるのは、二人とも、相談に来た人や一人の人を絶対に見捨てないこと。
僕は26歳くらいで苦労してやっとできるようになったのに、若くしてそういう態度を自然に備えているのは、本当に立派です。
今日のFUNゼミで、僕があるフリーターのお客さんに接した時の体験をお話しました。
その方は当時25歳、僕は27歳でした。25歳ですが、もう5年以上も定職に就いておらず、問合せを受けたときは、殺伐とした事務的なメールの文面に、「非社交的だな」と感じたのを覚えています。
僕の再就職支援は、①職務経歴書の添削・作成、②志望職種での成功シミュレーション、③会計・実務教育、④業界・企業分析で成り立っています。しかしそれ以前に、初対面で履歴書を見て驚きました。
なんと、証明写真が「プリクラ」だったのです。しかも、ズボンのポケットにそのまま履歴書を入れていました。当然、しわくちゃに近く、文字もいくらかかすれて薄くなっています。
「履歴書って、これでいいんっすかね~」。
それまで僕が経験した相談は、一応「内容」の相談から始まっていました。しかし、そのお客さんは内容以前に、「履歴書とは何か」から話を始めました。
聞けば、最近は親から「早く働け」、「家の恥」、「金返せ」という圧力が強くなり、それなら仕方ないと、就職先を探すことにして、3、4社ほど回ってきた。
「履歴書持参」と書いてある会社には、この(プリクラ付き)履歴書を持っていった。結果は全部「不採用」だった。
なぜ落ちたのか、その理由は分からない。履歴書の書き方に問題があると思うが、周りに聞ける人もいないかな、それを教えてほしい…。
僕は唖然としました。
①3~4社、全て「同じ(プリクラ付き)履歴書」で訪問した。
②3~4社とも、全て「封筒に入れず、裸で手渡し」した。
③自己PRの欄には、「まじめにやるので、よろしくお願いします」だけ。
④職歴の欄には、「半年くらい、バイト」が数件。
しかも、それで「書き方が悪いのではないか」と思っている…。
確かに、書き方も悪いです。「おまえ、落ちに来たのか!」というくらい非常識でふざけた、やる気のない内容です。
しかし、それ以前に「プリクラ」、「封筒なし」、「非正規の書き方」であることが問題だと、なぜ気付かないのか…。
「これは、長期の案件になるな…」と覚悟した僕は、履歴書の内容に入る前に、まずその人の背景や考え方を知ろうと、2週間くらいは個別相談を徹底しました。
最初は何を聞いても、会話が返事だけで終わりました。何か考えていることはありそうでしたが、それを言う気配も意欲もありませんでした。
こちらも頑張って評価したり、楽しいよとうなずいたりするのですが、「どうせバカにしてんだろ」という目つき…。
僕は創業当初に手痛い失敗を何度も味わって、「とにかく、来る人は絶対に見捨てない」というポリシーを決めたのですが、このお客さんばかりは、正直、何度も心の中で「この野郎!」と思いました。
あまりの無反応、無気力、無感動ぶりに、最初のうちは何度も「職業学校に行けば?」と言いそうになったか知りません。
しかし、ずっと話していくうちに、その人はどうやら、高校までは比較的明るく、生徒会活動なども経験しており、中学くらいまでは学業も良くできたらしいことが分かりました。
その人の経歴から、なんとか将来の具体的な選択肢につながりそうな職業を想定して紹介し、「まだ間に合う」ということを、いくつも何度も繰り返し伝えました。
生気のない顔に、やっと表情らしきものがうっすら表れるようになりました。しかしまだ、自分の言葉で何かを意思表示するには程遠い状態です。
僕はそれから、ネガティブアプローチなども取り入れ、おそらくこの種類の人には多いであろう「学業衰退コンプレックス」、「正社員になった友達への羨望」、「定職・定収入を得ている人への嫉妬」をいくらか刺激し、感情を動かすように接しました。
そして、今の悔しさ、かすかな希望、出遅れていると諦めきっている現状を打開、実現するには、「会計」を学ぶだけでよい、と断言しました。
本当は会計だけじゃ済まないくらい大変な状態だったのですが、無気力なフリーターは作業に負担感を感じた瞬間に「じゃ、いいです」と逆戻りするので、「会計だけでいい」と言ったのです。
「オレだって、大学中退だ。中退ってことだけで、何度バカにされたか分からない。しかし、大卒の奴らが遊んでいる間も働き、勉強し、5年間、睡眠4時間で耐えてきた。その中で得た勝てる秘訣を教える。どうだ?朝から一緒に勉強しないか?」
「ホントにできるんっすか?」
「ああ、絶対に挽回できる」
「オレも就職できるんっすか?」
「できる」
「こんなバカで出来損ない人間のオレでも分かりますか?」
「絶対分かる」
「じゃあ、明日の朝、大橋のジョイフルに行きます」
引っ張り出せばこっちのもの。自分から同意して迎えた「朝」の威力は絶大です。僕も喜び勇んでジョイフルに行ったら…。
なんと、「寝坊した」とメールが。しかも、1時間近く待たせて…。
「貴様、もう知らん!自分でやれ!」と言いたいところを我慢して、「よく遅刻をメールで知らせてくれたね。ありがとう。明日は頑張ろう。また同じ時間にジョイフルに行くから」と言い、その日は終わりました。
さて翌日…。
またもや、定刻にはいませんでした。
「あの野郎…」と言いたい気持ちを押し殺しながら、15分くらい待つと…。
来ました!
「すんません、遅刻して」
「おお、よく来たね!今日は貸借対照表を勉強しよう!」
「ってか、オレ、朝食べてないんっすけど、何か注文していいっすか?」
「おお、さっさと食べて、早く勉強しよう」
「すんません」
…「この野郎、ケーキまで頼みやがって…」と叱りたいのを抑え、やっとのことで、貸借対照表の仕組みを教える時間を迎えました。
集中が切れ、面倒くさそうな顔をするのを押し切って、やっと資産欄の説明が終わり、これから負債欄の説明に入ろうとすると…ピピッ!
「なんか、友達からメールが来て、バイトやめたらしいっす。うちに来たいって言ってるんで、あと何分で終わるか教えて下さい」
「…あと2時間だ」
「2時間もやるんっすか?友達、そんなに待てません」
「おまえは、オレを2日も待たせておいて、そんなことを言える資格はない!今まで何度、そういうくだらん理由を付けて自分を裏切ってきたんだ!今日という今日は、仕上げるまで店から出さん!」
この気迫でやっと黙ってくれ、やっとのことで貸借対照表の説明が終わりました。
学んだ知識を、彼の感情を刺激するような形で整理し、「そうそう、それが金持ちの考え方」、「いいねぇ、そんな発想は、九大を出た奴でも不可能だ」、「めちゃセンスあるやん」、「こりゃ、トップ営業マンも夢じゃない」と褒めまくるうちに…。
「ニヤッ」。
その笑顔、見逃すわけがない!おまえ、今、自信持ったろ!「できる」と思っただろ!
そう思った僕は、やっと出てきた「未来の彼」をひっつかまえ、穴蔵から引きずり出すようにして、彼がいかに多くの可能性を持つか、今動けばどれだけ成功するかを諄々と語りました。
彼は、ついに泣き始めました。
「オレ、自分のためにここまでやってくれる人、人生で初めて会いました」
「オレ、ほんとはやりたいことあったんすけど、どうせバカだ、無理だ、フリーターのくせに、手遅れって言われるのが嫌で、でも言い返せる実力も経験もなくて、何回も自殺しようと思いました」
「オレ、ホント、今日朝起きてよかったです」
「そうだ。まだまだいくらでもできるよ」
「テレビゲームやマンガは、今日、ブックオフに売りに行こう」
「…ってことは、AVも売らないといけないってことですよね」
「当たり前だ!トップ営業マンや起業家になれば、女はあっちから何人でもやってくる。AVなんてのは、もてないダメ男が見るもんだ。そんなの、さっさと捨ててしまえ」
「まじっすか?」
「ほんとだ」
「小島さん、何人来ましたか?」
「就職したら教えてやる」
とまぁ、思い出す限り、こんなアホなやり取りもまじえつつ、彼は無事、医療機器のルートセールス担当として、無事再就職を果たしたわけでした。
就職後の近況報告では、「小島さん!オレ、小島さんがもしもの事故に遭ったら、真っ先に医療器具持ってぶっ飛んで行くんで、いつでも連絡下さい!」。
「もしもの事故の時は連絡もできんと思うが、ありがとう。しっかりやれよ。契約くらいで調子に乗らず、一日最低10回は、ありがとうと言わないとだめだぞ」。
固く心を閉ざしていたフリーターやニートも、一旦心を開けば、まるで兄弟のように打ち解け、色々と近況を伝えてくれます。
最初は疑り深く、何をやってもネガティブに想像し、長続きしない彼らが変わる瞬間は、後から聞いてみれば、「この人は自分のことを分かってくれている」と感じた時、というのはいつも一致しています。
周囲にバカにされたことを、認めてくれる。
周囲が遮ることを、さらに質問してくれる。
自分に興味を持ってくれる。
話を聞いてくれ、提案してくれる。
「できる」と言ってくれる。
普通の人間関係ではありふれたこんな接し方を、彼らはもう何年も、味わっていません。
そして、いつしか夢を忘れ、現実と妥協しつつも、「本当の自分はこうじゃない」と苦しみつつ、ついには現実打開への意欲さえ失っていくのです。
誰も自分を気にかけてくれない。誰も自分のやったことを評価してくれない。みな自分をバカにする…。
自分の態度が招いた環境とはいえ、日常生活がこんな環境や考え方に支配されれば、履歴書の書き方や写真の貼り方すら分からない人間になってしまうのでしょう。
「25歳なのに、バカじゃない?」
「あんた、就職諦めたほうがいいよ」
そう言われるのが怖くて、小さなことさえ相談できなくなり、時間だけが過ぎていく…。
そんな中、僕に問い合わせるには、どれだけの勇気が要ったことでしょう。「どうせ、この人もオレをバカにするんだろうな」という保険めいた心配などもしながら、何度も迷って連絡したに違いありません。
つまり、問い合わせるというその行動こそ、彼にとっては「初心」であるわけです。
こちらは電話やメールに慣れているとは言っても、就職相談はきわめて秘密性、特殊性の高い情報を扱いますから、見ず知らずの人に自分の現状や未来を話す決意は、よほどのものであるはず。
それを事務的に受けたら、一体どれだけ相手を傷つけてしまうことか…。「全ての問い合わせは、自分には手馴れたものであっても、相手には常に初めてである」。これも大事な心構えだと思います。
そうやって、小さなステップを一つ一つ大事にしていくと、そのうち「ターニングポイント」が訪れます。「自分を分かってくれる人」に会ったと感じたフリーターの努力は、それこそすさまじいものです。
電話やメールの問い合わせの時には、そのような姿を夢見て受話器を取ったのでしょう。ここでやっと、初心が現実になるわけです。
イライラや無駄も多い仕事で、未熟な僕は何度も感情的になりかけるものの、毎回この時を迎えると、「本当に耐えてよかった」と思いますが、お客さんも同様に耐えたので、お互いに称えあいます。
「士は己を知る者の為に死す」とは史記の有名な言葉ですが、「自分を分かってくれている人」のためなら、何だってしてあげたくなる気持ちは、現代のあらゆる人間関係にも通じる鉄則でしょう。
言葉は未熟でも、表現は武骨でも、深いところでつながっているんだという信頼関係が、その人の発揮できる能力と結果を決めます。
僕が何度も訓練、反復して身につけてきたこの態度を、大月さんや前迫さんは、既に身につけています。のみならず、二人は鋭敏な想像力を持ち、家庭生活や人間関係にまで優しい配慮を及ぼすことができます。
二人とも、学生時代はそれなりに未来について悩み、現実逃避の誘惑も経験し、少なからず挫折も味わったことでしょう。
思うことを思うように進められない苦悩にも耐え、正しく理解されない苦しみにも耐え、どんなにきつくても、「仲間を応援する」という態度を崩しませんでした。
もし、就職や再就職で信頼できる相談相手を求めている方、適切でタイムリーなアドバイスが欲しい方、失いかけている自信や希望を再度手に入れたい方がおられたら、僕は自信を持って、大月さんと前迫さんに相談することをお勧めします。
また、身の回りに応援したい友達、昔輝いていたけど今は元気がない友達、就職を恐れる友達などがおられたら、やはり、大月さんと前迫さんにお願いするといいでしょう。
安心、信頼、優しさ、知識…。
就職と仕事の成功に必要な要素を一つ一つ手掴みで集めてきた二人が、これからは世の中を明るくするために起業します。
読者の皆様も、応援のほど、ぜひよろしくお願いします。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
ただ今、教育・学校部門40位、就職・アルバイト部門21位です。
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