■「内定への一言」バックナンバー編
「若いうちは活字のメシを食え」(土光敏夫)
「FUNに入って、読む本が変わった」、「FUNに入って、本を読むようになった」という声をよく聞きます。
以前、どのような本を読まれていたかは知りませんが、FUNでは経営や経済関係の実務書のほか、特に歴史や古典をよく読むように薦めています。
FUNは「酒なし、金なし、コンパなし」のサークルなので、空いた時間を読書に充てて苦痛ではない学生が、多く集まっています。
また、最近は「BOOK OFFツアー」なる小旅行も、誰が始めたのかは分かりませんが、実施3回目にして、ようやく定着してきました。
イナゴかピラニアのように古本屋に押しかけ、意中の本を買い付けようというこの半日旅行で、「一生の財産」となるような本を見つけた方も、多くいます。
また、最近では西南のM君、N君、I君たちが「藤田田」にはまり、経営や会計を熱心に勉強している姿は、思わず「明日提出のレポートを書いているのか?」と勘違いしそうなくらい、真剣です。
「今の自分」を「未来の自分」に引き上げてくれる一冊に出会うと、寝る時間も惜しく思えてくるのは不思議です。
昔、東芝の会長を務め、後は経団連会長までも務めて、財界活動で大きな業績を残した土光敏夫さんも、若者を見たら、「学生諸君、君たちは育ち盛りだから、一日四食の食事が必要だ。四度目の食事ってのは、本のことだ。若いうちは、とにかく活字のメシを食え」とアドバイスを行ったそうです。
本を読まないことの理由として一番多いのは、「忙しい」です。しかし、これはFUNでも何度も言っている通り、真っ赤な嘘で、正確には「本を読まないから忙しい」のです。
読まないから自分を客観視できず、新しい知識も得られず、同じような行動と失敗を繰り返しているだけです。
では、名著とはどうやって探せばいいのでしょうか?「本の選び方」については、学生さんからよく聞かれるので、出版社出身の経験を生かして、今日はノウハウを公開してみます。
時々、学生さんとブックオフに行くと、学生さんが「小島さん、探したけどありませんでした…」と言う本を、僕が10秒くらいで見つけることがあります。その様子を見て、「やっぱり、毎週来てると覚えるんですね」と言う学生さんもいます。
いえいえ。僕は確かに、時間があれば古本屋に足を運ぶようにはしていますが、同じ店に毎週行くことはありませんよ。では、どうして早く見つけることができるのかと言うと、それにはいくつかの条件があります。皆さんは「重版」という言葉を知っていますか?あるいは「版権」という言葉を知っていますか?
「重版」とは、「版を重ねること」です。出版社では、どの書籍も新規刊行時に、「この本はこれくらい売れるだろう」という予測を立て、1万部なら1万部を、最初に印刷します。
一度印刷したら、「売れなかったから、紙からインクをはがす」なんてことは、物理的に不可能です。本はリサイクルが利かないため、売れなかったらその末路は「断裁処分(廃棄)」しかありません。
だから、出版社にしてみれば、予測した部数が全部売れるかどうかは、「子供が学業を終え、社会に巣立つ姿を見る」のと似たような、ヒヤヒヤした気持ちになるプロセスです。
そして、いざ発刊…!書籍の販売には、「書籍流通商社」という特殊な商社が介在していて、その代表といえば、トーハン(東販)とニッパン(日販)です。
セブンイレブンの鈴木会長は、若い頃、トーハンで修行したのは有名な話ですよね。セブンイレブンの陳列のうまさは、実は書店の陳列で鍛えられたものかもしれませんよ。
書籍流通商社は、紀伊国屋や丸善、ジュンク堂といった全国規模の大手書店の「売れ筋の場所」を確保し、全国津々浦々に、委託された本を流通させていきます。
出版社から営業や販売担当の社員を派遣して、全国の書店に配布するなんてことは、物理的にも時間的にも、コスト的にも不可能なため、書籍の世界には、このように独特の流通網が存在しています。
また、書籍は空間も重量もかさむため、売れなかったら即回収し、次の書籍と入れ替えます。日の目が当たるのは「数日間」と、厳しい世界なのです。
ちなみに、トーハンなどに任せれば、「こんな所に置いてもらえるのか」と思うほど良い場所(エレベータ前やレジの前)に設置してくれるのですが、その分、手数料もかさみます。
僕は独立前に勤めていた出版社で、最年少だったため、月に1度、マツダレンタカーでファミリアワゴンを借り、「配本担当」をやりましたが、トーハンに任せる経費も惜しんで大手書店に設置をお願いしに行くと…次の週には、「引き出しの中」扱いでした。これは本当に悔しいことでしたが、どの世界でも、お金のない者は弱いということです。
さて、このように出版社、流通商社、書店が一体となった努力を経て、最初の1万部が完売すると、それはそれは「大喜び」です。
だからといって、分譲マンションのように「完売御礼」などという張り紙を貼るわけではありません。売り切れると当然のように、消費者から「○○ないの?」という注文が来ます。そして、当初予定した1万部に次ぐ、「2回目の印刷」が行われるのです。
この、出版社や著者にとって最高に嬉しい瞬間こそ、「重版(増刷)」と呼ばれる顧客からの「アンコール」です。だって、メーカーと顧客の力関係が逆転し、お客さんが「欲しい」と言うから印刷するのです。
もう、需要が存在しているのですから、経済の理屈から言っても、たいへん有り難い状況です。どの業種の人でも、「注文に追いつかない」という状態が自社に到来したら、喜ぶはずですよね。
こうして、2度目の印刷で発刊された本には、「奥付」(おくつき。本の一番最後にある発行年月日、著者、発行人、出版社などを記載した囲み)の部分に…「第2版」とか「第2刷」と記載されます。
この期間が短ければ短いほど、前回の印刷分が早く売り切れた、ということです。最初の方が増刷頻度が早く、「1年後にはからっきし」という本は、「ベストセラー」と騒がれただけで、ブームが終わった本です。
僕はよく、古本屋で本の最後のページを「じ~っ」と見つめていますが、あれは実は、増刷ペースを年度別に計算しているだけです。出版社出身の人間の、悲しく奇妙な習慣だと放っておいて下さい。
本の世界では、大量の部数を売ることが必ずしも良いわけではありません。そういう本であれば、著者に多額の印税を払わなければならないし、契約金や権利金などもかさみます。
また、一般大衆の間に爆発的にヒットした本は、あっという間に飽きられ、売れなくなります。ベストセラーは旬が短く、売りにくいのです。
その点、広告期間が切れても売れるロングセラーは、「口コミ」による販売なので、利益も大きいもの。
「ベストセラー」より「ロングセラー」の方が、出版社にとっては有り難いものです。それは、市場から継続的に注文があり、リスクが少なく、利幅も普通以上で、安全確実な「孝行息子」だからです。
だから、長期間、コンスタントに版を重ねた本ほど、読者の支持と信用で広がり、時代や社会情勢によらず、コツコツと読み継がれた「良書」だと言えるでしょう。まさに、FUNと同じですね。
試みに、いくつかの本の「重版」の数字を挙げてみると…。(僕が持っていなくても、ちょっと書店で調べた本も挙げてみます)
【最近のベストセラー ※最新の数字は書店で調べて下さい】
■「世界の中心で愛を叫ぶ」…7版
■「五体不満足」…12版
■「ハリー・ポッター」…8版
■「金持ち父さん 貧乏父さん」…16版
といった感じです。いやはや、ヒット作だけあって、出版社も嬉しい誤算続きだったことでしょう。
それでは、次はFUNでよく紹介する本の場合です。
【古めのロングセラー ※最新の数字は書店で調べて下さい】
■「知的生活の方法」…57版(28年所要)
■「人を動かす」…147版(77年)
■「甘えの構造」…151版(36年)
■「論文の書き方」…93版(51年)
■「後世への最大遺物」…78版(88年)
■「空気の研究」…30版(22年)
■「ユダヤの商法」…299版(29年)
■「野心家の時間割」…28版(24年)
と、最近のベストセラーとは「ケタ違い」に長く、読者に愛されていることが分かります。「ユダヤの商法」を書いた藤田田さんのシリーズは、どれも50版以上という「バケモノ」的ヒットで、これによっても、日本人の多くが「お金が全てじゃない」と人前で口にするのは、嘘だと分かります。
同書は「300版」で絶版となり、それまでに所要した年数は、約30年。つまり、「1年で10版」ということですから、刊行以来、「ほぼ毎月売り切れた」という計算です。さすが田さん、本までも、ハンバーガーのように売り切ってしまうなんて。
もし仮に、短期間で重版が相次いでいるのなら、出版社が話題性を作るために、わざと最初の分は少なく印刷し、「続々重版!」と宣伝するために売り惜しんだ可能性もあります。
しかしこれらの本は、とてもそんな計画が通用するような年数ではありません。長く深く、時代を超えて読み継がれているのです。もしかしたら、親が子供に薦めた可能性もあります。同じ本を親子で読めるなんて、こんな幸せも珍しいですよね。
FUNでは、今までメルマガや講義などを通じて200冊以上の本を紹介してきましたが、その大半は、このような「長期的重版」の実績を持つ良書ばかりです。「ベストセラーよりロングセラー」というのは、ロングセラーの方が信じて間違いないからです。新しければいいのではありません。「最適」が一番いいのです。
ちなみになぜ、僕がこういうことを知っているかと言うと、僕の叔父は40年前、ダイヤモンド社の出版部長だった家辺壮之助さんと一緒に「マネジメント社」を設立し、そこの編集長として、大前研一さんや篠田雄二郎さん、渡部昇一さんの本を出してきたからです。
今でもブックオフで、マネジメント社の古い本を見ると、「本書は小島編集長と一緒に書き上げた」などと書いてある本もあって、それが重版だったりすれば、僕も嬉しくなってしまいます。
小さい頃から、叔父が「ジューハン」とか「ゾーサツ」と言っていたので、知らないうちに僕も詳しくなってしまったのでした。そして甥の僕も、経済誌の世界へ…。血は争えないものです。
書籍の売れ方は、音楽CDの売れ方と似ています。浜崎あゆみは100万人が買うかもしれません。しかし、そのようなリスナーは、他のヒット曲もすぐに買うでしょう。いわば「ポリシーのない客」で、そのような「浮動層」に支持されたアーティストや作家は、あまり幸運とは言えません。
客が年をとれば、廃れていくからです。今では浜崎あゆみの曲は、この時間になると走り出す暴走族の車から、大音響で流れています。avexがそういう層を狙っていたのなら、本望でしょうが…。
それよりも、ジャズやヘビメタのように、「絶対に買い続ける10万人」を相手に商売を行った方が、客単価も販売効率も高く、賢明だと言えます。
昔「爆発的ヒット」と騒がれた曲を思い出してみて下さい。それらのアーティストは、今では「そういえば、そんなのがおったね」と回顧されるだけの話題に堕していることさえあります。以上が、良い本を見分けるための「重版」の説明です。
次は「版権」について。「版権」というのは、「この著者のこの本を、出版していい権利」という意味です。この権利は、面白いことに、不動産物件の権利のように売買されているのです。
版権の中で最もよく知られているのは、「翻訳権」でしょう。つまり、「翻訳して、自国で売ってよい」という権利で、これは「版元(最初に手がけた出版社)」との交渉で決めます。外国書では、やはり大手の新潮社や角川書店が強いです。また、TBSブリタニカや創元社などは、発足自体が洋書の翻訳出版を目指して生まれた出版社だと言えます。
さらに、僕は読んだこともなく、そのコーナーを通るだけで逮捕されそうな気分になる「ハーレクイン」などは、カナダで60年前に生まれた「ロマンス専門」の出版社です。ここは、直営の子会社を世界中に設立しています。
ハーレクインは、「女性は恋の話が好きで、聞いた秘密は隠せない」という全世界共通の女性心理をついて、リチャード・B・キャッスルがカナダで創業した会社です。当初は料理関係の本も出していたそうですが、71年にP&Gからローレンス・ヘイジーを新社長として迎えるや、「恋愛一本」路線に切り替えています。
その手法は徹底していて、
■総ページ数は180~250ページにすること
■主人公は、読者が共感できる範囲で理想的な人物にすること
■前半で必ず、主人公を別れさせること
■最初の30ページ以内にラブシーンを入れること
■再会は、劇的で予想が付かない形にすること
■最後は必ずハッピーエンドで終わること
というルールを作り、世界中から恋愛小説を募集して、自社ブランドで販売しています。 あらゆる恋愛小説、ドラマ、映画を徹底的に研究した結果、統計的にこのパターンが、一番売れると判明したそうです。
つまりは、ハリウッド映画と同じ「計画的感動」。日本で言えば「タイムボカンシリーズ」か「水戸黄門」と同じで、まさに、マクドナルドのハンバーガーと同じ「工業品」としての発想です。なかなか売れないのは、「ハッピーエンドが嫌いなフランス人」だけだそうで、日本でもよく売れているようです。
「自分の体験を誰かにしゃべりたい女性」や、「誰かの話を伝えたい女性」は世界中にいるわけですから、材料の仕入れには困らない、実に優れた「美人投票」式の販売手法だと言えます。専属のライターもいるわけですから、文章が下手でもネタが面白ければ、いっぱしの作品に仕上げてもらえる、という仕組みです。ただ今「ミニ事業」を計画している西南のM君、N君、これは参考になりますよ。
このように、各出版社にはジャンルや販売網における強みがあって、それを補完しあおうという形で生まれたのが、「版権」です。
例えば、ハードカバーの新刊を買うと、平均的には1,500~2,500円といった価格帯でしょう。一方、文庫だと新刊でも400~800円くらいで買えてしまいます。つまり、「ハードカバーの方が文庫より利幅が大きい」というわけで、どの出版社も、新刊はハードカバーで出したがります。
文庫になるのは、ハードカバーである程度の人気が確認できた本や、販売網が確立できた本、ハードカバーで経費を回収できた本が多くなるのは、当然のことです。そして、各出版社とも、ハードカバー部門とは別に、大抵「文庫部門」を持っています。
・講談社…講談社文庫、現代新書、+@文庫、学術文庫など
・角川書店…角川文庫、角川oneテーマ新書、ハルキ文庫など
・祥伝社…NONブック、黄金文庫、祥伝社文庫など
・PHP…PHPビジネスライブラリー、PHP文庫など
・日本経済新聞社…日経文庫、日経ビジネス人文庫など
です。
これは、何を意味しているのでしょうか?これは、「ハードカバーで見つからなくても、新書や文庫で見つかる可能性がある」ということです。逆も真なりです。例えば、保守系出版社の代表格と言えば、菊池寛が創業した「文藝春秋」ですよね。
文春のハードカバーは、元首相や論壇の大御所が書くことが多く、単価が3,000円近くすることもあります。文春がハードカバーで出した本が、計画通りに1年間で数回、版を重ねたとしましょう。
その次は、自社系列の「文春文庫」で再販します。
しかし、例えば文春が「教育再建」のようなテーマで出した本が、想定していた教育関係者やお年寄りの他に、企業経営者やサラリーマンに支持され、そちらの方面でも人気を博したとします。
そういう場合、保守陣営や政財界に支持層が多い文春よりも、ビジネスマンに強いPHPや日経系列の出版社に任せた方が、より効率的にさばけるのではないでしょうか?それに、PHPや日経ビジネス人文庫にしても、既にハードカバーで知名度と定評を獲得している本であれば、安心して扱えます。
ここで、「版権」が登場します。版元(ここでは文春)と権利取得を希望する出版社(PHPなど)が交渉し、その本を販売する権利を売却してしまうわけです。売却すれば、文春には株式売却のような譲渡益が入るし、購入した出版社は、以後その本から生じる利益を受け取ることができます。
株式と全く同じ仕組みです。このようにして、自社で刊行していない本すら、権利の調整で扱うことができるのです。これが「版権」の売買です。
ということは、これは何を意味するのでしょうか?それは、「仮にその出版社の本がなくても、他社で見つかる場合がある」ということです。
FUNの一部で人気の、祥伝社の「知的サラリーマンシリーズ」は、もう30年近く前の企画モノですが、この企画を担当した編集者は、同社の打田良助編集長です。この打田さんは後に独立し、さらに自分の好きなテーマを扱うため、「クレスト社」という出版社を設立しています。同社の書籍の奥付には、「発行人打田良助」と書いています。
「編集人」とは、その本の編集・発刊に付き添った「コーチ」で、「発行人」とは、その本の刊行を担当した会社の責任者(監督)、と考えればOKです。通常、発行人は出版社の社長が兼任しています。
その出版社がどのタイプの言論が好きで、どういう作者を応援しているかを知っておくと、「この本は、文庫なら○○社が出しそうだな」と勘が働くようになりますが、この勘は、僕のように本に関する例外的な環境で育った人間でないと、なかなか持てないと思います。
ただ、「保守・革新」、「ビジネス系」、「大衆路線」などの区分けを知っておくだけでも、ずいぶん役立ちます。
とまぁ、長々と書いてきましたが、実際は僕が本を選ぶのについて来て、実際に目で確かめ、足で体験するのが一番です。「良い本を選びたい」、「意中の本を探したい」という学生さんのためなら、いつでもお手伝いするので、本の見極め方を学びたい方は、遠慮なく言って下さいね。オーダーメードの「ミニブックオフツアー」を開きますよ。
■今日の一冊 「税法入門」(佐賀潜/光文社)
本書は「法律」シリーズで、法律の勉強をしたことがない僕にも分かりやすく、他にも商法、労働法、不動産法、民法、刑法などの「入門」があります。僕は税法と商法、不動産法がお気に入りです。
弁護士と小説家を兼ねる佐賀さん(PN)が、一般人が疑問を持ちやすい場面を設定し、分かりやすくも本質的な法律解釈をしてくれていて、初心者でも経営者でも読みやすい仕上がりです。ただ、いちいちサブタイトルに「酒と女で失敗しないために」とか「臭い飯を食わないために」、「脱税者の汚名を受けないために」などと書いてあり、一抹の怪しさも漂う装丁です。
ブックオフには100円で置いてあります。別に法律に興味がなくても、読んでおくだけで世の中の仕組みや権利関係が勉強できるので、「カバンに一冊」という目的の本としては、最適のシリーズの一つだと思います。
■今日の質問 「時々大学を中退したくなります」(熊本学園大3年Iさん)
…というメールをいただきました。僕が大学中退なので、勇気を持って書いて下さったのでしょう。ありがとうございます。ただ、どういう理由で中退したいのかは分かりませんが、「中退したい」と思っている時は、冷静に自分を見ることが難しく、「大学が退屈でたまらない」とか、「中退すれば何とかなる」と思ってしまいがちです。
今が嫌に思えるほど、未来はその反動で明るく感じるでしょう。僕は別に中退には反対しません。一つの条件を除いては。それは、「中退して何をやるか」を決めておくことです。ただ辞めるだけで、その後が良くなることはありません。これはバイトも会社も同じです。中退は手段に過ぎず、その後が充実してこそ、輝かしい経歴になるのです。ただ「嫌だ嫌だ」と中退しても、その先もまた、「中退したから、こんなにきついんだ」ということになりかねません。
Iさんはなぜ中退したいのでしょうか?中退してまでやりたいことは、大学にいてできる可能性はありませんか?今やらねば、将来的にも損失が大きくなる種類の目標でしょうか?もしそうなら、迷わずすぐに中退し、次に取り掛かることです。ただ、まだ具体的な目標もなく、漠然と「辞めたい」と思っているだけなら、とどまった方が良いでしょう。世の中には、「中退」を脱落者と見る人の方が多いのは事実です。中退でいっぱしの成果を出すのは、卒業してからやるよりも、難しいと感じます。
僕も最初は学力などを疑われましたが、それはそれは必死に勉強し、筆記試験や一般常識でも、大学生に負けることはなくなりました。現役大学生よりも勤勉で有能になれば、かえって注目され、尊敬されたりもして、僕は今ではよかったと思っていますが、中退して2~3年は、数人から「もったいない」と言われたりもしました。
「もったいない」という周囲の言葉の根拠は、「大学を卒業していれば、もっと良い将来もあったのに」という同情的予測でしょうが、幸い、僕には当てはまりませんでした。
人生には時々、悔しさや怒りも必要です。それを原動力にして頑張るのはお勧めしませんが、どうしても、と思える対象があるなら、迷わずすぐに中退届を出しに行きましょう。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
ただ今、教育・学校部門43位、就職・アルバイト部門27位です。
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