■「内定への一言」バックナンバー編
「心が開いている時だけ、この世は美しい」(ゲーテ)
今日の日本経済新聞の取材は、とても丁寧でしたね。記者の方も、今日はFUNの取材のためだけに、わざわざ東京から来られたとか…。3時間も密着取材なんて、すごい熱意です。
今日参加された方は、「仕事って、こういうものなのか」とワクワクしながら、模擬面接にも一段と気合が入っていたようでした。全国の就職サークルや支援団体を探し回った結果、選ばれたのは東京のサークルとFUNだけだったそうです。D君、Tさん、Aさん、新聞デビューも間近ですね。
さて、金曜の夜の定番作業と言えば…赤坂キンコーズでの「本のコピー」。毎週土曜日のFUN Business Cafeでは、昨年秋から「絶版図書」を読む集まりを続けており、明日の21冊目は、またもやFUNで流行し始めた『後世への最大遺物(内村鑑三・岩波文庫)』です。
なんと、西南の売店に1冊売ってました。「面接の前に読むべき1冊は?」と聞かれたら、僕は迷わず本書を推薦します。60ページくらいなのに、心を突き動かす感動を味わえます。ぜひ、読んでみて下さいね。
それから、もう1冊紹介したい本があります。この日曜の「Book Offツアー」(10:30Z-SIDE西通り側広場集合)で見つけたら、迷わず学生さんに紹介したい絶版の名著、『いきいきと生きよ』(手塚富雄・講談社現代新書)です。
僕が13歳の時に亡くなった父は、ドイツ文学やロシア文学が大好きで、書斎には巨大な本棚3つに、びっしりと各国の名著が並んでいました。その中で、僕が子供の頃に「大きくなったらこれを読め」と言われていたのが、本書です。
もっとも、本書の味が分かるようになった頃には、父はこの世にいなかったわけですが…。数十年後の「天国の話題」の準備のため、僕も毎日頑張って生きていこう、と14歳の時に誓いました。
ちなみに、僕は昔から寝不足ですが、それは父が平均寿命より30歳も若くして亡くなったため、「お父さんの分まで生きないと」という強迫観念めいた感情が意識の一部を形成しているからです。
「惰眠は犯罪だ」。本気でそう思っています。他人には強制しませんが、死んでからでもできる睡眠のために、貴重な生の時間を浪費するのは、僕には耐え難い苦しみです。
本書はドイツ文学者として名高い手塚富雄さんが、人生をかけたドイツ文学研究の中で、特に強い影響を受けたヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの作品から、後世に語り継ぎたい名言を選び、解説を付け加えたものです。
平易な文体のため、お父さんの真意を知ろうと、高校の頃から親しんできた本書には、僕の大好きな言葉がたくさんあります。特に大好きな言葉には、★を付けてみますね。
★「人間は努力する限り、迷うものである」
★「活動だけが、不安と恐怖を追い払う」
★「大いなる事業が完成するためには、一つの偉大な魂があれば足りる。千の手を動かすために」
「人は何かをしゃべった途端、もう自分で迷い始めているものだ」
★「遺産を積んでからそれを与えようとするより、今一瞬を明るい気持ちで与えなさい」
「最初のあいさつは何千倍もの値打ちがある。だから全ての人に優しくあいさつをしなさい」
★「何を与えるかより大切なのは、どう与えるかということだ」
★「耳目は欺かない。判断が欺くのだ」
★「本当の自由な心とは、認める、ということだ」
★「人は誰しも、他人を許す時が最も成長する」
★「思索する人間の最も美しい幸福は、探求しうるものを探求し尽くし、探求しえないものを静かに敬うことである」
★「あらゆる偉大なものは、我々がそれに近づくやいなや、我々を形成する」
「外国語を知らない者は、母国語についても何も知らない」
「我々を最もひどく批判する者は誰か。自らに諦めをつけた自分である」
★「敵がいるからといって、自分の価値を低く考える必要はない」
「劣悪な人間は、他人の不幸を喜ぶ以外に興味をもたない」
…と、いくつかの言葉を抜き出してみました。全ての言葉を覚えているのは、高校時代、自分の部屋と天井とトイレの中に、自分で書いて貼り付けていたから。
そして、本書を開くと最初に飛び込んでくる言葉が、「心が開いている時だけ、この世は美しい」という一言です。
小学校で両親が離婚し、中学で父が亡くなり、成績は学年最下位スレスレで、高校で祖母が亡くなり、家計が傾き、16歳から花の配達のバイトをしながら勉強していた僕にとって、世の中とは「反感と復讐の対象」のようなものでした。「絶対に大人物になって、お母さんに楽をさせる!」と、それだけが生きる支えでした。
でも、憎悪や反発を原動力にした努力なんて、健全に続くことはありません。見かねた母が「お父さんが好きだった本だけど、読んでみない?」と手渡してくれた本書を読んで、心が静まりました。
全ての言葉が、父からのメッセージのように響きました。それまでの僕にとって、この世とは醜く、卑しい人間ばかりが幅を利かせて、人の顔色を伺わないと決断すらできないような臆病者の巣窟、みたいに見えていました。
それが、「心が開いている時だけ、この世は美しい」という言葉に出会ったのです。「あぁ、自分の心は汚いんだ…」と反省しました。それからどんな努力をしたかは、長くなるので書きません。
今日はただ、この言葉の美しさを皆さんとともに感じられたらいいなぁ、と思うだけです。
世の中が嫌ですか?自分だけが「ついてない」ように思えますか?早く「今」が終わってほしいですか?もしそうなら、あなたは「自分の幸せ」だけしか考えていないのかもしれませんよ。
15年前の僕のように。自分が頑張って、喜ぶのは「自分」だけ…だとしたら、誰でも疲れます。自分が頑張れば、誰が喜ぶのでしょうか。それをたくさん想像すれば、誰だって今の自分が好きになるはずです。
「本当の自分」なんて、どこにもいません。そんなのは、現実をごまかすためのまやかしの言葉です。
逃げても現実は変わりません。立ち向かった時だけ、変えられます。
ただ、今ここにいる自分のみが、本当の自分。それを受け入れ、認めた時から、人生が楽しくなってきますよ。最近は僕のことも時々聞かれるので、今日は少し、少年時代の思い出の一言とエピソードをご紹介しました。
今日もお読みいただき、ありがとうございます。
ただ今、教育・学校部門43位、就職・アルバイト部門27位です。
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