■「内定への一言」バックナンバー編


「いまの子供たちは、

時代遅れの教育システムの中で、

将来決して使うことのない知識を学び、

もはや存在しない世界で生きるための準備をして、

何年もの時をむだに過ごしている」

(『金持ち父さん貧乏父さん』ロバート・キヨサキ 筑摩書房 P一六)




FUNは「就活のサークル」と去年は思われていたようですが、今では「お金についても学べるサークル」と思っている人もいるでしょう。


「世の中、お金が全てじゃない」という時代遅れの反論も、今まで幾つか寄せられてきました。そんなことは、分かりきったことです。FUNでも全く同じで、「世の中、お金が全てじゃない」と教えています。


そして同時に、それは「稼いだ者だけが言える言葉である」ということも、教えています。「お金で幸せは買えない」とはよく聞く言葉で、確かにその通りです。


しかし何事も、一面的な理解に終わっては事の本質を見誤ります。FUNでは同時に、「お金で回避できる不幸もたくさんある」と教え、その具体的事例を紹介することで、現実から目を背けずに、起こりうるリスクや既に原因が生じかけているリスクを想定し、スムーズな回避を図ったり、将来起こさないようにするための方法も紹介しています。


僕は数年前まで経済誌の記者として、企業経営者の取材や営業を担当していた経験から、経済や金融、及び資金調達方法や税金対策については多少の知識があり、また、自身が前年に創業して資金的にも苦労を味わったことから、本業の社会人の転職支援でも、経済教育を最も重視しています。


フリーターの方々の就職相談や生活相談で最も多く寄せられる悩みは、細かいものも入れれば人間関係、年齢、能力、経験、実績、恋愛、趣味など多様なものがありますが、九○%は実に、「お金」の悩み。

プライバシーに支障のない範囲で原因や現状を伺ってみると、「なぜ、こうなるまで気付かなかったのか」、「なぜ、近くにいる人の誰一人として、改善策を提案しなかったのか」と、社会のあり方に憤りを感じることもあります。



さらに驚いたことには、この人たちの約半数は、地区最低レベルの高校を卒業し、大学を中退した僕には、選択肢に入れることもできなかった進学校や有名大学の出身である、という事実です。もちろん、勉強が嫌いで単に世間の知識が少ない、という方もおられます。


FUNができたのは、ちょうど二○○三年の春。正確に言えば、二○○二年の冬に大濠公園前のミスタードーナツでの不定期の集まりをやっていて、それが母体です。



創業の苦境から脱し、ようやく自分の企画した商品のメリットや売り方を、実体験を持って覚え始めていた僕に、同じ西南の後輩がある日、「こんなこと(ミスドで話していたようなこと)が学べるサークルを作りたい!顧問になってくれ」と言ってきたのが始まりでした。僕は「週に一回くらいならいいよ」と返事をし、数ヵ月後の春、FUNが発足しました。

最初は、学生と何を話題にしてよいかも分からず、毎週自作のレジュメや近況を話題にして話していたのですが、七年ぶりに接する学生の知識のなさに唖然とし、また、彼らが繰り出す質問の幼稚さに驚きました。


それから、自分が学生に対する説明に全く慣れておらず、何をどう伝えればよいかも分からないことが分かりました。

そして、日頃接しているフリーターや転職希望の社会人と、大学生の姿がつながったのです。



「もし彼らの学生時代に、このような知識や考え方を学ぶ機会がなかったら、いつ、どのような形で時間を取り戻すことができるのか?これは大変な役を引き受けたぞ」と思った僕は、それ以来、FUNには休まず参加し、学生の就職相談や生活相談に乗ってきました。


もちろん本業の傍らの役割なので、当時の顧問謝礼は資料コピー代とささやかな謝礼を合わせた、月額五○○円でした。(今は月千円です)

初年度は、僕が学生たちと語り合いたいと思っていた話題を一%程度しか共有することができず、三年生以外の部員も入部せず、ほとんど全ての話題が、「就活」と呼ばれるようになっていた就職活動関連のものでした。



人は合計四十人ほど集まったものの、就活以外に話題もなし。日頃担当している社会人やフリーターの「一発必中型・採用枠なし」の採用支援に比べれば、適性と見込みだけでアピールでき、選択肢も膨大に与えられる学生の就職はまさに「学割」で、FUNの学生はみな、志望業界に複数の内定を決めました。


僕にとって、内定などはファミコンのようなものなので、そのようなものには全く価値を感じていなかったのですが、なぜか「これから」という時に、内定をもらってさっさとサークルを辞めてしまう学生たちを見ては、「なぜ、ベンツを捨ててカローラに乗るような真似をするんだろう」と、その不可解な行動の原因を考える日々が続きました。



たかが内定した程度の知識で、しかもまだ学生の身分でありながら、卒業までの日々を「卒業旅行」、「バイト」、「恋愛」で予約して、それで社会で何とかやっていけると思っている…。不思議な思考回路でした。

確かに、「何とか」やっていくことはできます。しかし「何とか」のような場当たり発想こそ、根本的な心のガンなのです。「そのような中途半端が一番きついんだよ」と忠告しようと思いましたが、僕は単なる外部の一社会人で、サークルの運営に口出しするような立場でも、学生の時間の使い方に立ち入った提案ができる立場でもなかったため、「学生って、こんなものなのかなぁ」と初年度の役割を終えました。

しかし五人だけは、新四年生となってサークルに残りました。彼女たちは生き方や考え方を学びたいと、内定後のFUNの勉強にこそやりがいを見出し、残る卒業までの日々、自分の可能性の開花を求めて挑戦したい、と望む学生たちでした。


僕が待っていたのはこのような学生たちで、「後輩たちのためにも頑張りたい」という言葉を聞いて、大変嬉しく思ったのを覚えています。僕も「就職の先生」といった、考えても望んでもいなかったような役割を一日も早く捨て、実務知識や独立のスキルについて学びたいと思っていたからです。

昨年(二○○四年)の春、就職活動に一定の成果が出揃い、毎週土曜日に開催している自由参加の勉強会「Business Café」で、どんな内容を学んでいくかを学生たちと話し合った時、当時のFUNは九五%が英文、国文、法律、栄養関連学科の女子大生だったためか、「お金や経済のことが知りたい」という要望が多数寄せられました。



それが嬉しかったため、彼女たちが今、どの程度の知識や理解を持っているかを聞いてみたところ、驚くべき情報不足、知識不足の状態でした。それはまだ若いからいいとして、問題だと思ったのは「お金に対する考え方」です。


「自分には及びもつかないような進学校を出た子たちばかりなのに、この古すぎる発想は、一体何なんだ?」と、危機感を持ちました。仕事や将来について、とても、まともに考えられるような状態ではなかったのです。



しかし彼女たちには、それを補って余りある財産である「素直さ」がありました。自分も持つのに苦労した「素直さ」を、この年齢にして立派に備えていることに希望を感じた僕は、「FUN 経済学部」と題して、四月と五月の毎週土曜日に、毎回七十分の講義を行いました。



内容はHPで「二○○四年の講義内容」の項目を見てもらえば分かりますが、学生がイメージする就職活動では、通常は見聞きしない言葉ばかりです。

しかし僕は、こういうことこそ教える必要があると思ったので、週末の朝という何の強制もない時間に、あえて受講料二○○円で開きました。


この二ヶ月で、部員数は実に二十三人増え、全学年の学生がFUNに揃いました。開始後、感想を見ると、「こんなことが勉強したかった!」、「どこで学べるのかと思っていたので、嬉しい」といった声が毎週続々と寄せられ、中には「大学ではこんな勉強もできるなんてすごい」と書いている入学直後の1年生もいて、僕は確かな手応えを感じました。



さらに進むと、「世の中の仕組みが見えてきた」、「行動が変わった」、「○○が貧乏になったわけが分かった」、「このまま就職しなくてよかった」と言った声も続々と聞かれ、これらは全て、女子大FUNの部室に保存していますが、とにかく学生たちには、少なからず「カルチャーショック」だったようです。

今(○五年四月)、続々と選考を通過し、「また受かってしまい、どっちか辞退しないといけなくなった」と言っている現四年生たちに、FUNのこのような勉強がどのように役に立っているか、見学に来た人は聞いてみるといいでしょう。



土曜の早朝、別に義務でも正規の活動でもないのに、北九州、久留米、前原、粕屋郡から、はるばる学生たちが香椎や西新で開催されている、有料の勉強会に来るのです。こういうことが、あなたの所属している学科の勉強で起こっていますか?


命令も強制もなく、参加したからといって単位がもらえるわけでもない勉強なのに、継続的にお金を払って参加するということは、どのような動機が働いているかお分かりでしょう。「お金を知らずに、仕事や将来を考えることはできない」と、心から思っているのです。

僕は、最初から安全な未来や安定した居場所を得ることがいいとは思っていません。誰でも多少は、人生において足腰の強さを試されるような出来事に遭います。


中には激震もあるでしょう。しかしそれも、全ては「自分が同意して受け入れた未来」だから起こること。FUNで提供し、学生たちと共有しているのは、そういう、「本気が試される時に、最高の自分が発揮できる勉強」なのです。


人生をそうやって力強く切り拓き、不屈の忍耐力と尽きせぬ明るさを両立させて生きていくためには、お金や経済の知識が必要で、いつでも「次」を考えられる独立起業の知識も必要です。


あなたが女性なら、結婚した途端に収入の道を断たれ、たとえ愛情を抱いていたとしても、ご主人の許可なしに働くこともできないような人生を、果たして受け入れることができますか?


お小遣いが欲しいと思っても、プー太郎から高齢者まで、誰でもできるような仕事しか手段がない「タダのヒマな主婦」としての人生を、受け入れることはできますか?


きっと、即座に「そんなの嫌だ」と答えるでしょう。


しかし、バイトだろうが正社員だろうが公務員だろうが、人が作ったシステムの中で時間を束縛され、月当たりの値段を決められている点では、全く同じ。業界や職種が何であろうが、そんなことは全く意味のない要素です。

また、あなたが男性なら、学生時代は顔やファッションが異性を惹き付ける手段かもしれませんが、社会に出て奥さんのパートに家計の一部を依存するような「情けない主人」になりたいですか?


「オレは○○の社員だ」とは、学生に向かっては自己紹介のセリフくらいにはなるでしょうが、成果主義が浸透する企業社会の中で、常に奥さんと子供が安心して将来を考えられるような経済的裏付けを、提供し続けることができますか?


あなたが今やっている勉強は、将来起こりうる事態に、どれだけ対応していますか?「そんなの知るか」と現実から目を背けるのは簡単ですが、社会に出たら、「実力」や「収入」、「人望」が異性や仲間、人脈を惹き付ける手段になるのです。



そしてあなたも、放っておいても数年後は、自動的にそんな社会の一員になるのです。「家族のためだ」と自分を誤魔化しながら、実態は「借金返済人生」を歩んでいるエリートや元・優等生君は、その辺にもうじゃうじゃ、腐るほどいます。

あなたもきっと、硬直した直線的な人生は、歩みたくないでしょう。しかし、そういう人生を送った人たちのアドバイスに従えば、必ずそうなります。


人生、誰を相談相手にするかがとても大事です。就職してからの生き方を真面目に考えたい人は、「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ 筑摩書房)を読んでみるといいでしょう。FUNでは去年の春にほぼ全員が読んだ本ですが、今も来年も、きっと参考になる本ですよ。「合格コミュニケーション講座」も参加者が増えてきましたね。



今日もお読みいただき、ありがとうございます。

ただ今、教育・学校部門43位、就職・アルバイト部門27位です。

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