◆今日の一言
No.420(07/4/7)

『会計的視点なくして、良い仕事は不可能だ』






来月発刊のデビュー作。学生さんからの期待はさておき、企業の人事担当者からの評価が高く、既に数社から予約が集まりつつあります。

ということで、タイトルが、

◆旧バージョン
若者が燃えた 仕事の「とらえ方」
~仕事が楽しくないのは、「会社のせい」じゃない~

から、

◆新バージョン
イマドキの若いモンは 会社の宝だ!
~若者が燃え、経営者が歓喜した 仕事の本質と感動のとらえ方~

に変わりました。



「うちの仕事をこのように理解してくれている新卒なら、ぜひ採用したい」

「人手不足で焦って忘れていた採用の本質が、しっかりと書かれてある」

「新卒採用どころか、社員研修の資料としても活用させてほしい」

おおよそ、こんな感想を数社の人事担当者からもらいました。もっとも、実際に早いうちから業界ゼミやビジネス塾、マネー塾を受けてきた学生さんたちの実績を見てもらえれば、それが何よりの証明だと思います。



デビュー作の狙いを一言で言えば…

「仕事の味覚障害を治す」に尽きます。

その治療薬は、「会計」と「感動」です。

本書では「仕事」を「料理」に見立て、その栄養の成分とおいしさの秘密に、楽しくまじめに迫ります。



「会計的視点」って、一体何なんでしょうか。

それは、「情報に属性を与えて思考や理解を行うこと」と呼び替えてもよいでしょう。「属性」とは、「情報の国籍」とでも考えれば分かりやすいです。

どういうことか、以下、考えてみましょう。会計的視点の有無が、就職や仕事、収入においていかに決定的な格差を生むかを。



例えばここに、「昨日さぁ~、朝はマックでえびフィレオ食べて、昼は吉野家で牛丼食べて、夜はちょっとリッチに一蘭でラーメン食べたよ」と言う学生さんがいるとしましょう。

これは、別にどうってことはない「最近の食事履歴」の話に過ぎません。

しかし、いくつかの「属性」を設定して情報を分解することで、いかようにも処理・理解することができます。



このような話を聞いて…

①「味」を基準に情報を処理し、「へぇ~、おいしいのばっかり食べてるね」とか「流行は押さえてるね」と答える人もいるでしょう。

②「値段」を基準に情報を処理し、「けっこう節約してるね」とか「夜は800円を超えることもあるよね」と答える人もいるでしょう。

③「スピード」を基準に情報を処理し、「速く出てくる店ばかりだね」とか「なかなか忙しいんだね」と答える人もいるでしょう。

話し手はなんとなく考え、しゃべっていても、聞き手に何らかの基準があれば、それに応じた属性分類がなされ、「コメント」として返ってくるものです。



「えび」という情報は「動物性」という国籍を持っており、「牛肉」という情報は「塩分増加」のサインでもあり、「とんこつラーメン」にはコラーゲンとかコレステロールとか調味料増加というサインがあります。

情報は発せられた瞬間から、何らかの「籍」を持っているもので、外国語マニアとして数ヶ国語を身につけてきた僕などは、特に、日本語の会話でも様々な基準を設定して話を分析し、要約するのが好きです。

言語には文法がありますが、情報の属性から見れば、思考や行動にも文法があるもので、その人の行動がいかなる文法に基づいているかを観察すれば、だいたい、就活の結果も予測することができます。



ところで、「食物摂取」の最も根本的な目的は、「栄養の確保」にあります。もしここに、栄養学の知識を持つ人がいれば、おそらく…

「コレステロールが多いから、そのまま行くと来年は5キロ増えるね」とか、「塩分が多すぎるみたいだから、野菜も取らないと血圧が上がるよ」とか、「宣伝されたものばかり食べないで、家庭料理も大事にした方がいいよ」とか答えるでしょう。

栄養という食事の本質的分類基準を知らない人にとっての基準は、「おいしさ」、「安さ」、「有名さ」、「速さ」といった要素でしょう。そして、その判断基準に基づいて日々の食生活を推進し、しかるべき結果を迎えるでしょう。



ここで、「いい食事」について考えてみましょう。

僕が学生さんと話していて気付くのは、物事を説明する際の語彙が極端に少なく、同一の言葉で複数の意見や感情を表現しようとすることです。何を見聞きして、何を感じても、「いい」、「すごい」、「楽しい」が多いようです。


「いい食事とは?」と聞かれると、人前では一応栄養を気にしているふりをして、「栄養のある食事」と答える人もいるでしょうが、おそらく、実際の生活では、「いい=安い」、「いい=おいしい」、「いい=速い」と思ってその通りに実践している学生さんも多いのではないでしょうか。



「いい」と言っても、実にこれだけの基準があり、それは、人によって大きく異なるもの。もし栄養学の知識を持っている人が現代人の食生活を見れば、それは「緩慢なる自殺行為」か「肉体の長期虐待」にしか見えないでしょう。



では、これが「仕事」だとどうなるか。

若者に「いい仕事って、どんな仕事?」と聞いてみるとしましょう。会計的視点を持つ学生なら、正しく判断できますが、そのような知識、視点を持っていない若者のコメントは、まさに「味覚障害」です。

「いい仕事」と聞かれて、「楽な仕事」、「楽しい仕事」、「時給が高い仕事」、「人間関係がいい仕事」、「やりがいのある仕事」というふうに、まるで食事の場合の「味」、「安さ」、「スピード」、「知名度」を基準に語る若者の数は、あまりにも多すぎます。



会計的視点なくして考えたところで、いくら頑張っても、「やりたいことをさせてもらえる」、「福利厚生が充実している」、「有名で潰れず、給料もそこそこいい」程度の答えしか思い浮かばないでしょう。

なんせ、彼らにとっての「いい仕事」とは、自分たちの好みに応じた狭い範囲で設定された属性に基づいて想像・計画されるからです。

そして、そのような狭い了見と自己満足の動機に基づいた就活は、やる前から、既に失敗しているわけです。別に内定くらいはできるでしょうが、「志望動機が味覚障害」だった若者は、すぐにボロボロ退職するものです。



退職の際の決まり文句は、いつも「思っていた仕事と違っていた」。

しかし、これは実は「思っていた仕事が違っていた」であるため、次に選ぶ仕事もほぼ確実に、同じコメントで退職するのは目に見えています。

今の仕事が嫌でたまらない人には、別の仕事の全てが良く見えるもので、冷静な判断は難しいものです。そういう人の転職では、「ワニの口から逃げ出して、虎の口に飛び込む」(マレーシアのことわざ)のようなことが起こります。

「ヤミ金から逃げ出して、サラ金から借りる」と同じですね。


会計的視点がないと、このように、課題の特定と問題解決手法の設定さえ、間違うようになっていきます。

頭に入れた理論の方が間違ったまま行動し、それが習慣化すると、最後は「現実がおかしい」とか「世の中がおかしい」とか言い始め、最後は「自分の理性」に従って判断が狂ってくるものです。

ニーチェは「理性を失った者が狂人となるのではない。理性しか信じない者が狂人となるのだ」と言っていることは、『マネー塾』の第①回で説明したことですが、これと同じような倒錯心理と思考の混乱が、仕事選びでも起こるのです。


要するに、「思考の中に相手が存在しない」となるわけです。

大半の若者は、「自分のやりたいことを決める」というプロセスが終われば、それが「志望動機」になると思っています。

冗談じゃない。それは「就活を始める動機」に過ぎないのであって、それでやっと「ゼロ」、そこからやっと業界や企業、仕事と向き合う活動がスタートするのです。



「いい」は、自分、企業、お客様に共有された時に初めてそう言えるのであって、自分の中で何かが決まって喜ぶというのは、そうなるまでに時間がかかりすぎて、単に焦っているだけのことです。

お客様の「いい仕事」、会社の「いい仕事」、自分の「いい仕事」というふうに、みんなの「いい」をくっつけていくことを「コミュニケーション」と呼んでいるのであって、自分だけの利己的な動機を説明することがコミュニケーションではありません。

仕事の栄養は「利益」と「感動」です。

その人の思考や判断が、ちゃんとした栄養バランスに基づいているか、それとも表面的な情報に振り回されてカッコつけているだけなのかは、会計が分かる人が聞けば、先ほどの「食事の例」と同様に、くっきりと見えてくるものです。


例えば、客室乗務員を目指す人がいるとしましょう。

「世界ナンバーワンを目指す御社の熱い理念に惹かれました!出張で疲れたビジネスマンのお客様や、旅にワクワクするお客様の期待に応えるため、最新の設備を持つ御社で、最高のサービスを学び、最上の思い出をプレゼントしたいです!

エコノミークラスでも上質のシートを導入した御社の配慮にも感動しました!国際化、グローバル化の時代を控え、研修施設の充実した御社で、世界に向かって羽ばたきたいです!」



なるほどねぇ…。確かに、勢いだけはありそうです。勢いだけ、は。

しかし、会計的に見れば、この志望動機は、何ら重要なことを説明していません。

それどころか、「経費」ばかりに着目して褒め称えるという悪循環を起こし、景気のいい言葉を多用している分、余計に「やれやれ」という読後の疲れを誘います。

どうせ、「服」だけに憧れているんでしょう。なら、服だけ買って別の仕事をしたらどうでしょうか。



こういう志望動機は、えびフィレオのように華やかに宣伝され、演出たっぷりのコレステロール仕立てで、「選ばれた人々」のような希少性に見事にひっかかった点では「おいしい」、「安い」、「速い」という基準は満たしているのかもしれません。

しかし、「栄養」、つまり「会計的視点」の基準から見れば、「で、うちに何しに来るの?」としか思えません。

客室乗務員は特に分かりやすいケースなので事例に挙げましたが、他にも、商社、広告、マスコミ、音楽、映画など、学生のイメージが偏りやすい業種では、毎年、おびただしい数の「味覚障害エントリーシート」が送りつけられます。



学生だって、やる気はあります。自分にとって「いい」と思う基準に則り、「いい」と思う書き方で懸命に書き、伝えます。

しかし、その「いい」は自分だけにとっての「いい」であって、そこに相手の業務やお客様の喜びは想定されておらず、もし想定されていても、それはきわめて抽象的、かつ理想的です。



気持ちを正しい知識で説明できないばかりに「連戦連敗」を繰り返し、最後は完全に自信を喪失して、「どうせ私なんて」、「人生終わった」と勝手に決めつけ、落ち込んでいく若者たち…。

ないのは「能力」じゃなくて「知識」なのに、欠落要素まで「味覚障害」を起こし、さらに間違った課題を設定して、「専門学校に行けばいい」とか、「大学院に行けばいい」、「留学しよう」などと考えるのも、当然のことでしょう。

味覚がずれたら、食事もずれます。食事がずれれば、栄養も、従って自分が獲得する体型や健康状態もずれます。「考え方」がずれた人に、人生の成功や正解は訪れないものです。



僕は長年、こういう若者たちを見ていて、どうにかしてあげられないかと思い、本業やサークルで、特に「会計的職業観」の説明に力を入れてきました。

また、採用や育成に悩む人事部長や経営者と接し、「できる人材の見極め方」や、「誰が来ても育成できる方法」を説明してきました。

その集大成の前半が、今度のデビュー作です。

周りに就職や転職、人生設計で悩んでいるお友達がいたら、ぜひ紹介してあげてほしいです。きっと、「ありがとう」と喜ばれるプレゼントになるでしょうから。



人生を誤らせる恐るべき「仕事の味覚障害」を除去し、正しく職業観と人生観を打ち立てていくのに、会計やお金の知識、センスは欠かせません。

僕はこの分野で、20代を通じて7,840ページ、合計31冊分の原稿を書き貯めてきたので、これから2年をかけて、全国販売していきます。

もちろん、本にしていないような着想も多数あるので、その時は出版プロデュース会社を設立し、企画やプロモーションを行ってくれる社員を募集する予定です。



僕がFUNを応援し、このようなメルマガを出し続けている根本的な狙いは、「将来一緒に事業を行う人材を採用すること」ですから、その時が来たら社員募集のお知らせをします。

僕の会社で働きたい人、僕と働きたい人が何人いるかは分かりませんが、将来はそのようなPRを行うことも、今のうちにお知らせしておきますね。



今日もお読みいただき、ありがとうございます。

ただ今、教育・学校部門43位、就職・アルバイト部門27位です。

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