■「内定への一言」バックナンバー編
「本気で努力すると、失敗しても前に倒れるようになる」
今日は、アクロス福岡でQナビさんの合同説明会があったそうです。これで、この冬、インストラクターの大月舞さんの講演は4回目。70~200人の大舞台で堂々とスピーチをするなんて、新卒1年とは思えませんね。立派なものです。
さて、その間、僕は何をしていたかというと…。母校、西南大で「面接塾」をやっていました。この、最も先生らしくなく、学校教育を毛虫の次くらいに嫌ってきた僕が、こともあろうに週に8回も「講義」をやるなんて…いいんでしょうか。
2月の経験を経て改訂した新テキストは、参考資料などに力を入れたこともあって、みんなカバンの中に入れてくれたり、電車の中で読んだり、家で復習していたりと、大切に使ってもらっているようで、本当に感激です。
僕はプロの先生じゃなく、プロの経営者なので、謝礼は大学の授業の15分の1しか頂いていませんが、毎回本気で頑張っています。
ところで、毎年一定期間、3年生の方と顔を会わせ、面接やエントリーシートの練習をしていると、いくつか共通して確認できる変化があります。それは…
■並みの出来栄えでは、満足しなくなる
■友達を応援する人ほど、よく伸びる
■目つきや声の調子が、少しずつ勢いを持ち始める
■完成度が高いほど、ミスを悔しがるようになる
こうなり始めたら、成功です。もう、僕の仕事は「すごいね!」と言うことしか残っていません。あぁ…今年もまた、早くも「サークル内失業」の時を迎えました。なんでみんな、こうもすぐに、上達してしまうんでしょうか。
それは、「素直」だから。素直だから、上手な人を真似できる。素直だから、失敗を直視できる。素直だから、人を認められる。素直だから、謙虚な反省ができる。こりゃ、伸びるしかありませんね。仕方ありません。あとは、エントリーシートのメール添削でもやりながら、のんびりと過ごすことにします。
さて、皆さんは、「努力の結果」がどういうふうに表われるか、考えてみたことはありますか?点数?地位?称賛?達成感?成長?色々あるでしょう。それらも全て、結果の一つです。
しかし、僕はもっと根源的な部分にも目を向け、自分の達成を評価してあげてもよいと思います。車、飛行機などの乗り物だけではなく、およそ「物」が前に進むためには、必ず「摩擦」との格闘が生じますが、これは人生も同じ。目標を持てば、必ず「道と障害物」が見えます。
未経験の出来事、挫折、慢心、怠慢、良くない習慣、失敗…人生の障害物は多種多様で、これらの要素の存在と抵抗は、あなたが前に進もうとするほど、より鮮明に感じられることでしょう。それが、成長の摩擦。この時、成否を分ける要因があります。それは、「過去と未来、どちらを当てにするか」です。では、「未来」とは一体、何を指すのでしょうか?もちろん、「初心」ですよね。
この、200号を超えて30万字に及ぶ「内定への一言」で、学生、内定者、社会人から最も人気の高い一言は…「初心者とは、初心を忘れない者である(第80号)」という言葉です。面接塾のテキストの表紙に書かれている、あの一言です。
先日、九産大のMさんが面接で引用したら、面接官の表情が一瞬で変わって、相手の態度が「好意的で丁寧になった」という(という報告を昨日頂きました。Mさん、ありがとうございます)「初心者」の定義は、「未熟者」ではなく、「目標への執着を忘れない人」のことでしたよね。
初心に聞けば、いつも正しい判断ができます。たとえ失敗しようと、初心に相談すれば、全然心配する必要はありません。だって、「初心」とは、あなたが夢にふさわしい人物になるための試練を、必要十分なだけ与えてくれるものだからです。
だから、いつも初心を忘れない人に、失敗は存在しません。当然ですよね。「前」に倒れるんだから。
前に倒れるとは、例えば…
「面接で不本意な結果を味わい、未熟さを反省して以前より気合いが入る」という状態であったり…
「とりあえず内定もらえればいいや」と思っていたのが、同年代とは思えないような友達に出会って反省し、「自分もやってやる!」と決意を改めたり…
「やりたいことが見つからないから、まだ始めなくていい」と自分を甘やかしていたのが、「やりたいこと」など考えず、「せずにはいられないこと」のためにひた向きに頑張る友達を見て、「オレは自分の楽しみだけしか考えていなかった」と心を改め、壮大な使命感や正義感を持って企業や仕事を研究したり…
することを言います。
とにかく、失敗して本気になったら、どうでもいい表面的な成果など、もう気にならなくなります。
「甘い自分で受からなくてよかった」
「浪人してよかった」
「第2志望の大学に来てよかった」
「今始めてよかった」
など、本気の人間とは、「自分を取り巻く全ての現実を、やる理由として捉える人」のことです。「本当は、○○大学に行くはずだった」とか、「現役で入っていれば、こんなことにはならなかった」とか、「試験や部活で忙しくなければ、こうはならなかった」とか、そういう幼稚な言い訳はしません。
だって、「自分は成長できる」と信じているから。「第一志望の大学に行けなかったことを言い訳にする自分」が、何ができると言うんでしょうか。そんな人間は、「現実逃避」か「後悔」しかできないでしょう。
イギリスの作家・カーライルは、何年もかけて書き続けた「革命史」が、あと数日で完成の日を迎えようとしていた時に、なんと、その書物が火事に遭い、「全部灰になってしまう」という悲劇を味わいました。もちろん、彼はその時、大いに落胆します。
しかし、「それくらいでやめてしまうなら、おまえの志は、その程度のものだったのだ」という天の声にも似た「内なる声」を信じ、なんと、また「ゼロ」から書き始めたのです。迷いを去り、気迫の形相で仕事に向かった彼の作品は、欧米で第一等の評価を受ける文学として、今なお愛されています。 彼は失敗して、いや、失敗したからこそ、本当に出会いたかった自分に出会うことができたのでした。
つまり、「前に倒れた」のです。この感動的な話は「後世への最大遺物」(内村鑑三・岩波文庫)に収録されていますから、ぜひご一読を。FUNを作った安田光良君が、高校時代に読んで非常に感銘を受けた物語で、3年前、入部して数日の牛尾由美さん(現:東海東京証券)に、「これを読むといいよ」と薦めた、FUNでは知られざるヒット作です。
「ずっと公務員試験の勉強をしていたんですが、今からでも民間企業に変更して、間に合いますか?」
「ずっと商社を希望していたんですが、今頃になって銀行に興味が出てきました。そんな私でも、間に合いますか?」
「年末年始は不安ばかりで何も手につかず、実際、何もやってなくて友達の話を聞くのが怖いんです。そんな私でも、間に合いますか?」
…「何言ってるんだ!間に合うに決まってるだろ!」という答えを「毎年、志望業界に全員内定」という実績で証明して3年。
FUNは「いつでも夢に間に合うサークル」ですから、当たり前です。今年も、「前に倒れる3月」を楽しみましょう。