■「内定への一言」バックナンバー編


「計画は行動である




「頼み事をするなら忙しい人に」と、多くの営業マンが言います。全くもって、その通りの言葉です。


忙しい人に任せると、「分かった。で、いつまでにどういう形で片付けたらいい?」と即座に返事が返ってきますよね。「忙しい」とは、過去のツケで自業自得の場合は別として、人から求められている証拠。「約束を意識して時間を過ごしている人」は、人の時間を大切にします。



ヒマ人に任せても、毎回期限に間に合いません。ヒマ人とは「時間の過剰在庫を処理できずに、オーバーストア状態で時間に溺れている者」のこと。


自分の時間を持て余し、何をしてよいか分からず、問題が片付いているのか複雑化しているのかさえ認識できていない人には、傍目から見て時間がありそうに見えても、絶対に頼み事をしてはいけません。


また、多くの人が事前の計画を軽視し、本当は「達成や進捗度が自覚できていない」ことが原因でありながら、いつも漠然と「作業量が多い」ことが忙しさの原因だと勘違いしているのも、憂うべき問題です。



その人が作業や未来をどう認識しているかを見るには、使う言葉を観察すれば分かります。例えば、「何とかなる」と言う人は、何も考えていません。何ともなりません。


「何とかする」と言う人が、いつも勝ちます。皆さんも、自分が必死になった作業を思い出してください。「何とかなる!」という思いで試験やチャレンジに臨んだことは、誰しも経験があるでしょう。


しかし、それらの一つとして、「望む成果」であったことはないはずです。つまり、「何とかなる」と悲壮な決意で状況に期待しても、出る成果は「最悪じゃない程度」のものでしかなく、自分に期待できることが大切、ということです。



自分が抱える作業量に勝手に圧倒され、何時間たっても取り掛からず、最後は「明日やってもいい理由」を適当に見つけて、結局先延ばしに陥り、翌日は自己嫌悪…というのも、誰もが持つ経験でしょう。


しかし、作業が多いということは決してなく、突然作業が増えることもありません。ただ、計画していなかった現実が、いつも「エキストラ」になるだけ。「追加」が人を疲れさせ、生産性を低下させます。


要するに、作業が多いのではなく計画が甘いのです。つまりは想像力の不足。「計画は立派な行動だ」という理由は、こういうわけです。



最後に、学生が注意すべきパターンを一つ指摘しておくと、就職活動が忙しい時は「就活だけ」、試験が迫っている時は「試験勉強だけ」、実習や研究が迫っている時は「研究だけ」という風に、他の予定を外して「過密シフト」を組むと、気分だけは頑張っているように思えますが、生産性は格段に落ちます。まじめな人ほど陥りやすい、「報われない努力」の典型です。


理由は、客観的に比較する基準を失うから。物事は、引き伸ばすほど生産性が落ちるのです。バイトやレポートの間に挟まっているエントリーシートほど、手短に要約できるもの。



「公務員試験のため、親に泣き付いて一年間専門学校に行かせてもらった」という人も多くいますが、大抵は落ちて親を泣かせます。他に何か大切な作業を持っておかないと、人は一つだけを大事にすることはできないものです。


「時間を減らしたら損をするんじゃないか」と考えるのではなく、「集中力の低い状態で作業を完成させたら、損をするんじゃないか」というのが、正しい悩み方。量をこなすのも最初は大事ですが、最後は量より質が大事です。


だから、計画を立てる時にこそ、頭に汗をかきましょう。あとは機械的に黙々とやるだけ。成功パターンをシナリオとして描き、それを自分で演じればいいのです。計画はやっぱり、最初の行動です