■「内定への一言」バックナンバー編
「失敗が自分なのではない。失敗にどう対処するかが、自分なのだ」
「読者アンケート」の返信が二三人になりました。どれも個性的で、真剣に長文を書いて送ってくれる人もいれば、短文でさっさと済ませる人もいたり、深い悩みを書いてくれる人もいれば、楽しいエピソードを書き綴ってくれる人もいて、六月十一日の送信時には、多くの読者の方が、大きな気付きや感動を得ることができるでしょう。
さて、読者アンケートを見ながら、改めて感じたことがありました。それは、「誰でも似たような経験をしている」ということ。
時間を間違えた、会場を勘違いしていた、書類に不備があった、本番でミスをした…。先輩のそんな体験談を聞いて、「私にはそんなことはない」と思う人もいるかもしれません。そういうミスを起こさないよう注意して、実際に起こさなければ、それもそれで一つの貴重な能力でしょう。
しかし、失敗や予想外の事実は、まま起こりうるものです。大事なのは常に目標を忘れず、その時々のこまごまとしたことに心を奪われずに、「さて、どうするか?」と冷静に現状を見詰め、適切な対処を施していける意志の強さ、プラス思考、行動力です。
「失敗しない」とは、つまり「前進しない」であり、結局は「成功もできない」という、これ以上ない失敗なので、何を失敗と思うか、失敗をどう捉えるかは、失敗するかしないかより、ずっとずっと大事です。
僕は、早々と内定をもらって安心し、それ以上志望業界や自分が行くことになった企業について勉強しなくなる怠慢な学生よりは、志望していたところとソリが合わず、何度も何度も立ち直っては、「チャンスが広がったということだ!」と自分を奮い立たせ、最後まで、卒業まで頑張る学生の方が、実社会では何倍も伸びるということを知っています。
就活は、同じような年齢、経験、要望を持った「学生」たちと競い合う作業ですが、仕事は年齢も経験も夢も違う人たちと壮大な「社会」という舞台で競い合う継続的・反復的な作業なので、入社して数ヵ月後には、就活など「ファミコンみたい」と思うでしょう。
年齢、経験の差を考えてみれば、新入社員が豪腕営業マンと競いあうというのは、小学一年生が高校の野球部に入部して鍛えられるようなものです。
こういう長期戦においては、失敗しないということを考えたり、失敗を避けようと安定した道を選んだりするということは、その時点で「負け組」の指定席を予約するのと同じ行動といえます。
大事なのは「失敗しない人」ではなく、「失敗に強い人」になること。あなたがその失敗をする前と後とでは、視野はどう変化し、要望はどう成長しましたか?おそらく、その前とは違う展望を持って、未来を描くようになったことでしょう。
反面、失敗もせずにさっさと旅行やバイトに舞い戻った人は、どうしていますか?「内定しただけ」の単なる学生でしょう。つまり、その人の頭の中にあるビジョンは、内定時で止まってしまっている、ということです。
失敗の一番のメリットは、想像力が広がること。長期的・大局的な視点で考えるように心掛けていれば、今起きた「予想外」のことなど、全てプラスでしかありません。そして、「プラスだ」と思っているその本人こそ、あなた自身です。
ということで、「失敗=自分」ではなく、「失敗をチャンスに変えようとする人=自分」ということが、よくお分かりいただけましたね。さすが、大学生は有望です。ということで、頭で分かったからと安心してしまうのではなく、実際の行動をもって、これが本当であるということを実感していきましょう。
心から「ホントだ!」と理解できれば、就活など、もはやあなたの敵ではありません。