■「内定への一言」バックナンバー編
「投資家とは、株式を売却できる者のことである」
(P・F・ドラッカー)
第九二号に引き続き、再びドラッカーの言葉を紹介します。最近はどこもかしこも「資産運用」という言葉が溢れ、投資セミナーや市場予測が盛んになってきましたが、市場が拡大したといって、そこと関わる人々の意識も変わったかというと、僕は「相変わらず」だと感じています。
僕は常々、「大卒って、なんてお金の稼ぎ方がヘタなんだ」とたまげてきましたが、今こうして、二年以上学生のサークルのお手伝いをしてくるにつれ、大学でやっている勉強は、本当に実社会の実務と乖離しているなぁ、と感じざるを得ません。
お金持ちにならないなら、それは毎日、「貧乏になるための計画」を実践しているに等しいのです。僕はFUNで学生と接してきて、なんと財務や会計のセンスに弱いことかと驚き、以来、学部学科、学年によらず、ファイナンシャル・インテリジェンスを鍛えることを重視しています。
読者の方は、怒らないで下さいね。もし今あなたが、「お金持ちになりたい!」と思っているとして、すぐに以下の手段を思いつくなら、あなたは知らないうちに「貧乏哲学」を身につけています。それは…
給料の高い会社に入る
給料の高い仕事をする
資格を取る
労働時間を増やす
仕事の数を増やす
です。
「なんだって?」と思ったかもしれません。しかし、「お金持ちになりたい」と思って「収入を増やしたい!」と思ったら、いつまでたっても収入は増えないのです。それは「一馬力発想」だから。これらは全て、「自分一人でやる」ことが前提。
つまり、最初から限界があるのです。稼いでも忙しくなるばかり。本当の裕福さとは、「時間とお金の両立」です。
「あっても使えない」、「働くのをやめると収入も止まる」
…貧しい人の収入パターンは、例外なくこうなっています。どこの会社に行こうが、このパターンは一緒です。このパターンを脱したい人は、迷わずFUNで勉強することをオススメします。
ちなみに、本当に頭がいい人は、「資産」を増やします。学校のテストで頭がいい人は、「収入」を増やします。本当に裕福な人は、お金がなくてもお金を作れます。そうでない人は、お金がないとお金持ちになれないと思っています。発想が根本的に違うのです。
皆さんは縁がないかもしれませんが、「投資家」という言葉を聞いて、即座にイメージするのはどんな人ですか?日経の株価欄をチェックしているおじさん?証券会社のカウンターで銘柄を選んでいる人?投資セミナーに参加しているおばさん?家でパソコンを眺め、何度も売買を繰り返しているOL?
まぁ、それも「投資家」のうちに入るでしょう。
誰もがイメージしそうなこれらの「投資家」の共通点は、「株式を保有していること」ですよね。
株は、保有している時点では、「お金を払って得たもの」にすぎないため、実は「負債」なのです。なのに、「株式を持っている人=投資家」とされているのは、奇妙じゃありませんか?
難しければ、家や車に置き換えてみましょう。自宅や土地には「評価額」というものがあり、大きめの住宅と広い土地を持つ人が、「総資産一億円」と言われることも、よくあります。
「一億円の資産家」と言われた本人も、「いやぁ~、なんちゃって」とか言ってます。それを見ている人も「いいなぁ」とか言っています。
上記で紹介した「貧乏発想」の人は、こういう人を「資産家」と思い込んでいるのです。正しくは、自分の頭で考えずに、イメージに依存して物事を捉えているのです。
しかし、それは「資産家」ではなく「負債家」です。なぜなら、「売れば一億円だが、売れない(売らない)」から。つまり、「所有(保有)しているだけ」の状態なら、ただ「払っただけ」の損失に過ぎません。
ドラッカーの定義に従えば、「資産家とは、一億円の家に住んでいる者ではなく、一億円以下で購入した家を売って、1億円を手に入れた者である」となります。キャッシュフローが大事なんですね。
よって、「投資家とは、一○○万円の株式を保有している者ではなく、一○○万円以下で購入した株式を売却して、一○○万円を得た者である」となりますよね。持っているだけでは、株式などただの紙です。配当が出る場合は除きますが。
視点が一段違うのが、分かりますか?
世の中には、「五○○万円の車に乗っている人」を「お金持ち」と思ってしまう人がたくさんいます。しかし、そういう考えは、「自宅の評価額」を聞いて有頂天になり、実際は売れずに毎月細々とローンを返し続けるだけの貧乏サラリーマンの発想に過ぎません。
つまり、新聞やテレビがいくら騒ごうと、日本には本当の意味での資産家や投資家は、まだまだ少ないということです。実際は、家も株式も「損したりしないだろうか」と売れずに、毎日ビクビクしている人ばかり。
そうならないため、学生の皆さんには、「大学」も投資商品として見てほしいのです。「入学した」のは、試験の努力を認める通過点としてはふさわしいかもしれませんが、その時点での出来事は、「数百万円の負債が発生すること」だけ。つまり「借金漬け」に過ぎません。
入試に受かっただけで調子に乗っているのは、「家を買って、五○○○万円って評価されてしまったぜぃ!」と言っている貧乏サラリーマンと同じ。
本当の価値は、大学で得た教育を「売却」(社会に提供)した時に計られるべきです。珍しい学歴は珍しがられるだけのことで、キャッシュにはなりません。
学生がアルバイトをすると、時給は大体八○○円前後でしょう。これに対し、上場企業の新入社員の平均的初任給を時給換算すると、手取りだと「時給=一一四○円」。
四年間頑張って、フリーターとたった二○○~三○○円しか変わらないのが、「大卒」です。皆さんは、自分が行った投資が損益分岐点を超えるのは、いつだと考えていますか?努力の成果が「ツケの支払」から「将来のための利益」に転じるのは、いつですか?早いほど、いいですよね。
僕は「お金持ち」になることは良いことだと考えています。FUNでも積極的に「稼げる人材になれ」と呼びかけ、稼げる考え方を教えています。「損益分岐点のプラス転換が早く訪れる有望な人材」を育てることが、FUNでの僕の役割です。
お金持ちになるには、発想を変えることです。身の回りのあらゆるものを「数字」で考えることです。そして、世間と逆の発想で考えることです。大衆のパワーは、自分もその中にいればうざったいだけですが、反対側にいて味方につけると、こんなに役立つものはありません。
みんなが株を持ちたがる時は、売るべきです。みんなが売る時は、買うべきです。本当に儲けている投資家は、そういう動き方をします。僕も、そういうビジネスの視点を学んだおかげで、時間とお金の両立が図れています。
投資はやっていませんが、投資よりも割の良い資産運用手段である「事業=頭脳とアイデア」を持っています。
株の世界で「信用取引」という制度があるのはご存知でしょうか?少しのお金でもお金が増やせる、暴落しても儲かる、というシステムです。
「少しのお金でお金が増やせる?うさんくさい」と思う人もいるでしょう。
「暴落して儲かる?怪しい」と思う人もいるかもしれません。
しかし、本当にあるのだからしょうがありません。お金持ちのやっていることは、そのほとんどが「信用取引」のような発想を基盤にしています。株式投資をやるかどうかは人の好みですが、このような視点は、ぜひ学生時代に磨いてほしいと考えています。
正しい定義を持つことこそ、自分の力を適性に引き出し、物事の本質を見誤らないためにも必要な訓練だからです。
「一生懸命頑張って働くこと」は、確かに大切です。しかし、それは「首から下」の発想。
女子学生の方、「仕事と家庭」の両立を図りたいなら、経営者の発想を勉強しましょう。
男子学生の方、「収入と生きがい」を両立させたいなら、経営者の発想を学びましょう。
経営者の発想とは、「頭を使って知恵を絞り、想像力で富を創り出す」という考え方です。人の分け前に与る生き方ではなく、多くの人に与え、喜びを分かち合う生き方を描けば、就職活動もものすごく楽しみになってきます。
考えるだけは自由。未来が楽しいほど、今が楽しくなります。学生時代に描いた未来は、本当に現実になります。僕も十九歳で描いた「海外勤務、独立起業」のどちらも達成しました。
だから皆さんにも、ぜひ描いた夢を全て、達成してほしいと願っています。明日は、夢を叶える考え方を、「信用取引」を題材にお話しますね。今日はこのあたりで…。