■「内定への一言」バックナンバー編
「お金くん物語」
今月からFUNゼミで「財務・会計Power Up!プログラム」がスタートしました。初回の昨日、第一回(七月四日)「バランスシート、基本の基本」では、「お金くん」と友達になろうというテーマで、「お金くんをいじめたら痛い目に遭う」という例え話を作って、「貸借対照表」や「損益計算書」の仕組みを簡単に解説しました。
参加者四十人を迎えた初回にしては、「分かりやすかった」、「ゾッとした」、「僕はお金くんを虐待していた」、「うち、やばい・・・」と、よく理解してくれた証拠だと思える感想がたくさん聞かれたので、今日はその「お金くんストーリー」を、使用したレジュメからそのまま、転載します。ご参考になるかどうか…
※登場人物のEさんは、大学を卒業してサラリーマンとなり、「債権」が「勤め先の会社」にしかなく、反対に「債務」は、
車、家、保険、学校、大学、塾、耐久消費財、年金、税金、その他カラオケ、ボーリング、洋服、外食・・・
と、経済感覚のなさを見せつけるかのように使いまくるだけの生活を送っていました。
「お金が入ったら、すぐ買い物」
「欲しいものがあったら、借金しても買う」
「借金と自分のお金の区別が、ついていない」
「おだてられたら、ローンを組む」
という、困った金銭感覚を持っているサラリーマン・Eさんの家で過ごしてきた「お金くん」は、果たしてこの後、どういう行動に出たのか…?(以下レジュメから転載)
Eさんは、ただ「お金が欲しい」、「モノが欲しい」という欲望に従い、そのお金が「どこから来て、どこに帰るものなのか」、そのモノが「本来は誰のもので、本当はいくらなのか」を全く考えず…財務や会計について全く勉強していなかったため…。
「~稼いだら使う⇒使ってなくなったら稼ぐ⇒稼いで貯まったら返す⇒返したらなくなる⇒なくなったら借りる⇒借りたら金利を付けて返す⇒返したらまた借りられたので借りる~」というサイクルを延々と数十年繰り返した結果、長年酷使されて疲れた友達・お金くんから、「ずっとあなたの役に立ちたいと頑張ってきたのに、自分のことを全く知ろうともしてくれず、いつも会いに来たらすぐに放り出すなんて、ひどすぎる!」と愛想を尽かされたのであった…。
お金くんは、Eさんにそう捨てゼリフを吐き、自分のことをよく勉強していて、自分を大好きでいてくれるBさんの所に、永遠の旅に出てしまったのであった。
お金くんは、自分を軽視したEさんの所に、ボロ家、ボロ車、わがままな子供、欲深な妻、怠ける習慣、時間的拘束、もっと悪質な友達(借金)を残し、「大好きだったのに振り向いてももらえなかった」ことへの復讐を果たした。
かくして、Eさんの家では、お金くんの話が出てくると、お父さんは「あいつのことは話すな!」と怒り、お母さんは「子供は知らなくていいの!」とイライラし、独立や転職といった、ちょっとでもお金くんに関する話題が出てくると、家族・親戚総出で、「倒産したらどうするんだ!」、「悪いことは言わない、やめろ」、「いい話は聞かないぞ」、「そんなことより受験勉強しろ」、「有名大学に入ればいいんだ」、「安定した会社に入れ」、「時代は公務員だ」と、子供の夢を全力で否定するようになった。
息子は、「お金=汚い・危ない」という先入観を植え付けられてしまったのである。
こうして、チャンスが一切来なくなったE家に育った息子は夢を潰され、数年後、大卒サラリーマンの九十%がそうであるように、「借金返済のため、給料の四五%を政府と金融機関に捧げるタダ働き人生」を送ることになったのであった…おしまい。(レジュメ終わり)
というだけの話です。大学を卒業して、せっかく「内定」しても、借金返済マシーンになるだけなら、何のために学校を卒業するんでしょう。
「だからみんな(学生さんたち)は、こんな貧乏サラリーマンになったら絶対にダメだ!仕事と生活で勝ち抜く、お金と会計のテクニックを、この三ヶ月間で伝授しよう!」というのが、昨日の第一回の内容でした。
読者の皆さんも、お金くんを大事にしてあげて下さいね。僕のもとには、この数年で、毎月、あちこちで虐待されたお金くんたちが、「痛いよ~」、「もうあそこには帰りたくない」、「ずっとここに住ませて下さい」と、続々集まってきています。
「私が遠距離恋愛からやっと戻ってきたというのに、彼ったら、すぐにゴメン!車買うことになった、と私を追い払ったんです」
「ずっと大切にされたいと思っていたのに、あの人って、いきなり留学に行くとか言い出すんです」
「給料日は二人っきりで過ごそうと約束していたのに、彼ったら、たった一日で私を暗く冷たい銀行に送り返してしまうんです・・・」
なんと辛い仕打ちを受けてきたんでしょうか。お金くんの苦労は、察して余りあるものがあります。
僕は「おぉ、かわいそうに」、「ここなら安心だぞ」、「遊びに行ったら、たくさん友達を連れて戻っておいで」と、お金くんを大事にしています。
お金くんは本当に頼れる友達です。学生の皆さんには、単なる内定ではなく、家族や友達まで幸せにする内定、仕事、成功をしてほしいと願っています。