■「内定への一言」バックナンバー編


「ヒマ潰しは、最も多忙な仕事である」(CN・パーキンソン)




10人もいたらいいかな」と思って、先日呼びかけた「学生アルバイト」に、たった1日で、なんと33人から問い合わせが。さらに、さっき早速来た返信には、「何ですか、この収入は!こんな働き方を知ったら、明日にでもバイトをやめてしまいそうです」という言葉が。


今のバイトは、別にやめなくてもいいんですよ。僕が作った仕事は、時間も場所も収入も自由なので。知りたい方は、いつでも資料を送るので、「バイトに興味があります(要氏名)」と書いたメールを送って下さいね。



さて、昨日も「黄色い看板」に引かれて、気の向くままに行ってしまいました。どこへ?「プミス」?いえいえ、もちろん「ブックオフ」です。現在、ブックオフでは「春の買取キャンペーン」をやっていて、知る人ぞ知る名著が、「ほんと?」という金額で売っているのです。ということで、春風に吹かれながら、愛車タクトで今泉店に行ってきました。

うぉあるある

なんと、左の一番奥には、あの伝説の名著「人生と財産」本田静六・日本経営合理化協会」の豪華装丁版(定価14,800円)と、伝説的ディーラーが書いた「おカネの法則」大竹慎一・日本経営合理化協会)の初版本(定価16,800円)が、こともあろうにそれぞれ、「4,800円」と、「6,800円」で売っているではありませんか。


2冊で「11,600円」。古本にしては高いですが、もう、見つからないだろうなぁ(僕は同じ豪華装丁版を合計7,800円で買いましたが)金融業界に進む人は、迷わず買う価値がありますよ。


しかも、右の一番奥の「半額ビジネス書」のコーナーには、FUNで大人気で、長い間品切れになっている「人生を変える8020の法則」リチャード・コッチ/TBSブリタニカ)が、これもなんと、「850円」で売っていました。


6日のブックオフツアーの「リハーサル(何やそれ)」として、ちょっと一人で視察に行ってこようかなとか言うと、福岡女子大のNさんや福大のM君が許してくれないと思うので、あと5日だけ、ガマンします。


ということで、昨日は僕が大好きな「パーキンソンの法則」の続編を買いました。1960年初版の「はだかの経営者」は持っていたのですが、それはどちらかというと「個人編」で、僕は「組織編」をずっと探し求めていたのです。で、「これか!」と即買って、近くのベローチェにもぐりこみ、第1章を開くと、そこにあった言葉は

「ヒマ潰しは、最も多忙な仕事である」。


さすが、大英帝国の全ての組織や、東インド会社、他国の行政組織、企業を数万件観察して、あらゆる組織の法則を数式化した政治学者。抜群の要約だと感じました。


本書では、主に「なぜ、公務員は自己増殖を繰り返すのか」を扱っており、行政組織が延命を図るべく、腐敗と無用の増長を繰り返すプロセスが、事細かに描かれています。


現代日本にも通じる「増税と言い訳のスパイラル」が、見事に解明されていて、なんとすごい洞察力だろうかと、またまた感動しました。


それにしても、「ヒマ潰しは、最も多忙な仕事である」とは、言い得て妙です。僕は前作を訳した福島正光さんの、やや古風で学者っぽい翻訳文がお気に入りだったのですが、新版を訳した藤島さんも、素晴らしい翻訳力だと感じました。

「ヒマ潰し」を仕事だと思っている人は、まずいないでしょう。それは、仕事の合間をぬってなされる「怠慢」であり、目的が見つからない時の「一時的な休息」であったり、時間的余裕ができた時の「気晴らし」だったりします。


しかし、組織というのは「目的と仕事」を持つ人間集団であることを考える時、それを構成する人員は、「この組織に貢献するであろう素質」を見込まれて、構成員(社員、組合員)などの資格を付与されているはずです。だから、各自の知識や能力をうまく組み合わせ、目的を段階的に達成していくのが、本来の組織の目標のはずです。

それが、そうはならないのが、組織の不思議です。人が集まれば集まるほど、組織内の人間は、「意思確認」や「相互調整」に時間を取られるようになります。そしていつしか、組織の中には、「外部(顧客・社会)に貢献する」という本来の目的を忘れ、「内部(部課・上司)の機嫌を取る」というふうに、目的を履き違える人間が多数出てきます。



パーキンソンは、英国海軍や東インド会社、英国政府、フランス政府、途上国の内閣などの組織を対象に、政治スキャンダル、戦争、紛争、政策の変化、大事業の終了、といった「イベント」の前後の人員数と、成し遂げた仕事の間に「関数」を設定しています。


それは、実に驚くべき数字です。なんと、行政組織に限っては、戦争や政変などが勃発しようが、終わろうが、「職員数」だけは延々と増え続け、彼が導いた数式によれば、「公務員の大半は、ヒマ潰しという仕事をやっている」という結果が出たそうです。

彼が皮肉交じりに描く「役人の特徴」とは、

ライバルを嫌い、部下を増やすことを好む
本心は「昇進」なのに、「国民のために」と言うのが好き
時間、人員、予算を「節約する」のではなく、「増幅」させたがる

という、あまりに有名なものです。もちろん、ことごとく、民間企業とは逆です。


例えば、僕の弟は長崎で、従業員58人を率い、年商6億の建設会社を経営しています。 測量士補だった頃、「民間の工事を取らなければ、建設会社はやっていけない」と悟り、昨年、施工管理技師1級の国家資格を取得して、27歳で社長になってからは、会社を優良企業に改革しましたが、弟に聞いた「役人の実態」も、パーキンソンの指摘とぴったり一致します。


例えば、誰でも知っている「年末」と「年度末」の道路工事。なぜ、まだきれいな道路を、ああやって毎年掘り返さないといけないんでしょうか。


例えば、実例と比べてきわめて小額ですが、今年の「福岡県の道路舗装工事の予算」が、「10億円」だとします。4月に県に配分されたこの予算は、「競争入札」により、ちょうど1年で使いきるよう、県内の建設会社に工事が発注されます。それが、たまたま県内の建設会社が他の仕事で忙しく、年の暮れも近い「11月」になっても、まだ「5億円」の予算が余っていたとしましょう。


「余る」というのは、個人の家計や企業で考えれば、喜ぶべきことであり、重視すべきことです。月初に「10万円」のバイト代が入って、月末に「5万円」が残っていたら、誰でも「けっこう貯金したぞ」と思うでしょう。


「やばい、5万円も余ってる!」と焦って、「今持っている服」をもう1着買ったり、「先週見た映画」をまた見るような出費を繰り返し、「よし、今月もバイト代を全額使いきったぞ!」とは、思わないはずです。それが、健全な経済感覚というものでしょう。


しかし、「公務員」の世界では、この考え方は「非常識」なのです。役人たる者、請求した予算は、期限までに使い切ってしまわねばなりません。何が何でも「10億円」を最後まで無駄なく使い切り、年度末(3月)を迎える頃には「全額使い切りました!」と言えてこそ、一人前の公務員です。


だから、「この道路は、つい最近舗装した」というのも、関係ありません。「水道管は大丈夫か?」などと妙な配慮を見せて、税金をばらまかないと、お金はなくなってくれません。


そして、歳末に満を持して「わが課では、年度予算が足りないことが判明したため、来年度はさらなる予算の増額と、職員の増員が必要なものと思われます!」と官庁に請求(概算請求)し。「余計な仕事を維持・存続させるため、より多くの税金の分け前を取り、より多くの職員を増やした」という課長が、「立派な役人」として、昇進していくのです。


役人の給料は「税金」です。法律に則って、強制的に徴収できる「売上」なのですから、金銭感覚が非常識で当然です。一体どこの社長が、顧客に法律を適用して「この商品を買え。買わないと訴えるぞ」と言うでしょうか。もし、そうやって買わせることができれば、笑いが止まらないでしょう。


もちろん、民間においては、そういう非常識なことは起こりえないので、社長さんたちは日々、「どうやったら気持ち良く買っていただき、満足していただけるだろうか」と考えているわけですが。


もっとも、弟が言うには、公共工事は「雇用対策」としては、職業訓練予算よりも質がいいから、一概に減らせとは思わないようでした。「あのおっさんたちは、訓練してもどうせ働かんよ。それより、単純労働の方がいいやろ。肉体労働ほど楽なものはない」ということです。


僕の祖父は大蔵省(現:財務省)で、叔父は労働省(現:厚生労働省)の役人で、母方の祖父は福岡県庁の公務員だったため、母は音大を卒業してからは、自分でピアノ教室を作りました。


そして、僕が幼い頃から、「国家公務員は忙しいけど、地方公務員はヒマ。公務員だけには、絶対にならないで」とよく僕に言っていました。さらに、「地方公務員は、50歳以上じゃないと採用しないようにすればいい。どうせ同じ仕事ばっかりやるんだし、いい年した若い人間が、何も昼間から、ボケッと口開けてヒマ潰してる必要はない」と言っていました。


・住宅購入、出産、育児、進学が必要な世代(2040代)を公務員として採用するから、税金が増える。

50歳を過ぎても体は動くし、今はコンピュータもあるんだから、高齢者の現金収入として、「1日4時間」くらいの労働で交代させれば、年金対策にもなる。

・原則、審議や高度な技術が必要な部門以外は、若者は地方公務員応募禁止にして、自分で仕事を作らせるべきだ。

と、一家庭の母親にしては優れた経済観察を披露し、「地方公務員は年寄りにさせろ」論を唱えています。僕が総理大臣なら、公務員試験には、ぜひ「逆・年齢制限」を設けたいところです。


春日市役所に勤める僕の小学校時代の同級生・Y君に、ある日の夕方、6時半頃に電話をかけると、「カコーン!」という音。なんとそれは、「ボーリング場の音」だったのです。さらには、それは「二次会」でした。いやはや、同級生だけにいつもどぎついことを言い合っていますが、「7時前で、すでに二次会か。すげぇ、さすがは公務員」と感じました。


子供の頃から、「金持ち父さん」型の発想を持った母に育てられた僕は、「公務員キラー」として頑張っています。今まで、「公務員試験を考えている」という友人・知人を30人以上、方向転換させ、民間企業に就職させました。「税金を食う側」の人間を、「税金を納める側」にコンバートさせた、ということです。

日本で一番就業人口が多い業界は、建設業界の「650万人」です。次は公務員で、国家・地方合わせて「570万人」います。合わせて、約「1,200万人」。わが国の人口は「1億2,000万人」ですが、労働人口は「6,300万人」なので、道行くおじさんに声をかければ、「5人に1人(20%)」は、税金を主な収入源とする「建設業界の人か公務員」という計算です。この比率は、地方に行くほど高まります。


そして、この「20%」という比率は、所得税や消費税、固定資産税、自動車税、たばこ税といった、個人負担の税金の平均値と、ほぼ一致するではありませんか。法人税とかは、ここでは加えませんが。そのくらいの大まかな比率くらいは、大学を出ていない僕でも計算できます。


積算と測量のプロである弟は、もっと詳しく計算していました。そして、組織論と数学の専門家であるパーキンソンは、それをさらに鋭く数式化しています。

ということで、全ての人がそうだと言うつもりはありませんが、組織の原理が「社会主義発想」に近い「官庁」や「役所」では、

・1人でやれることを、3~5人でやる
・他人の税金なので、使途を考えずにぶち込む
・あれこれ理由を付けて、余計な部署とヒマ人を存続させるという事態が、半永久的に続くことになります。


そしてこの原理は、企業内の「事務職」でも適用されるというのが、パーキンソンの指摘です。彼は「無意味な膨張」と「不慣れな協力」を防ぐため、様々な例を挙げて組織改革の提案をしています。それらを現代風に翻訳すると、まさに「アウトソーシングしなさい」と言っているのと同じだと、読み終えてから気付きました。


また、個人であれ、作業が目標に向かって進んでいない間は、「ヒマ潰し」という仕事をしている、ということになります。進んでなければ、その時間は確実に、明日の作業を圧迫するわけです。

「他の仕事ができないほど、ヒマ潰しという仕事は忙しいのだ。彼らは作業の量ではなく、下手な時間と金の使い方によって、自らを苦しめている」

という事実こそ、彼があらゆる組織の肥大化から発見した原理でした。ゆえに、彼は一流のレトリックで、ヒマ潰しを「最も多忙な仕事」と言ったのでしょう。


「何によって忙しいか」、「どう忙しいか」で、人柄も未来も見えてきます。「5月病」とは、怠け者がそう指摘されると安心するだけの言葉ですが、私たちは必要なことで忙しく、かつ、忙しさ自体も質的に成長させ、毎日に達成の手応えを感じる生活を送りたいものですね。