◆「内定への一言」バックナンバー編
「営業に拒絶は存在しない」
今日は朝、昼、夕方と、合計7人の学生さんと一緒に「貸借対照表」の仕組みを勉強し、バランスシート上における業界の成り立ち、メリット、関わりを語り合いました。
皆さん、なんと素直で理解が速いことか。僕は会計やお金の話をするのは好きで、何時間説明しても疲れませんが、それにしても、飲み込みの速いこと…。
しかも、質問も的を得ていて、学ぶたびに深い問いを持てるようになっているのが分かります。
中には、「世の中やっぱりお金なのね!」という方もおられたようですが、その通りです。
お金で幸せは買えなくても、不幸は回避できます。そして、幸せとは「不幸に耐える術」を身につけてこそ、得られるのです。
「恒産なくして恒心なし」とは、孟子が2,000年以上も前に残した言葉で、「経済的な余裕がない者は、安定した心になることができない」という意味ですが、経済的裏付けを確立させることが人生でどれだけ大事か、お分かりいただけたと思います。
来週は第二の財務諸表『損益計算書』の仕組みを学び、利益の種類や意味、利益と財産の関係、良い会社の財務状態、伸びる会社の利益配分について学ぶので、どうぞお楽しみに。
さて、FUNのみんなは今頃油山にこもって、熱く感動的な語り合いの時間を共有しているのでしょうが、僕は「下界」にいます。
帰ってパソコンを立ち上げてみると、ある社会人の方から、「営業、断られてばかりです。もうやめたいです。きっと、自分には向いてなかったんでしょう」というメールをいただいていました。
ということで、今日は「営業と拒絶」について考えてみましょう。
「毎日、断られてばかりです」。
…ほぉ。
「断られる」って、どんなことを言うんでしょうか。大半の営業マンにこういう質問をしてみると…。
「今、時間がないんだよ」
「話は分かるが、資金的な余裕がない」
「メリットは分かるが、今は必要ない」
などと言われ、「契約なし」でトボトボと退散することを言うみたいです。
でも、僕は疑問です。これのどこが「拒絶」なんでしょうか。
僕が大学を出ていないためか、はたまた知恵が足りないのか、それとも一般常識が身に付いていないためなのか…。
こんな言葉がなぜ「断り」なのか、どうしても理解できません。
「だって、金(時間、必要)がないって言ってるじゃないか!」
「だから契約してもらえなかった。これが拒絶じゃなくて、何が拒絶なんだ!」
「じゃあ、あんたは、断られない自信があるのかよ?もしあったら、100万もらうぞ!」
いいでしょう。僕には断られない自信があります。
もし、以下に書くことに納得したなら、逆に僕が、100万円もらいますよ?
「人を疑う者は罰せられ、カネがかかる」ということを後悔しませんね?
…よし。
その①、「時間がない」。
「時間がない」そうですよ、「時間がない」。聞きました?
これって、なんて役立つ、素晴らしい情報でしょうか。
企業経営において「時間がない」という状態を招来する要因は、
①不良棚卸資産が販売活動を圧迫し、利益率が下がったため、目先の営業目標ばかりに囚われるようになり、自分が何をやっているのか分からなくなる。
②負債や乏しい現預金によって精神的な余裕がなくなり、仕入れにおいて「機会損失」が頻発し、「今やっていること」の結果を漠然と「無駄(損失)」ではないかと想像してしまう。
③社員か提携先の状態が最適の状態になく、人的資源が不足しているか、あるいは「そうあるべき状態」に比して大幅に超過している。
といったものが考えられます。
「時間がない」とは、「一人の担当業務が多い」、「利益が上がらず、量か回数で帳尻を埋めねばならない」、「借金返済か経費支払いの期限が迫っている」という結果です。
「時間がない」という言葉と、相手の業態や商品構成、価格帯、人員配置、販売動向を掛け合わせてみれば、「時間泥棒」たる主犯の姿が見えてきます。
だから、「時間がない」とは、できる営業マンにとっては、この上なく役立つ「トップシークレット級」の情報です。それをタダでくれるなんて、なんと有り難い店長さんでしょうか。
感謝しても足りないくらい有り難い「次の宿題」をくれたのに、これを「拒絶」だと思うなんて、なんともったいない「散歩」をしているのでしょうか。
「全ての仕事は、問題解決だ。人の悩みを喜びに変えるために、今の勉強をやっているのだ」ということは、FUNでは1年生でも知っています。
相手が「問題」を教えてくれるなんて、これは感謝しないわけにはいきません。
その②、「カネがない」。
「金がない」。素晴らしい。
金がないなんて、時間よりももっとリアルに問題の所在を示してくれる、有り難い情報です。
企業経営において「金がなくなる」のは…
①投資が回収を超過するか、回収が投資に満たない場合(要するにどっちも同じ)で、販売計画か市場調査が不適切で、価格設定が妥当でない。
②自己資本が目減りし、負債が増え、金利負担が増えて「資本コスト」が上がりながらも、棚卸資産の回転が思うように進まず、固定費の出費ばかりかさんで、「出超」の状態が持続する。
③金払いの悪い客ばかり集めたため、「売掛金」や「受取手形」ばかりで売上を計上し、キャッシュフローの回転が悪いために現金が十分に回収できず、「買掛金」や「支払手形」が増え、フリーキャッシュフローが目減りしていく。
という場合などに、よく起こります。
「金がないって言ってるんだよ!」といきり立つ店長さんのお店を遠くから1時間ほど観察してみれば、社員の動きや客の入り方、動き方、買い方、出方などから、「なぜ金がないのか」の原因を推測することもできます。
あるいは、曜日ごとの力点をチェックし、営業時間の設定方法を調べ、店長の願いと顧客の願いの「ギャップ」を計算してみれば、「金がなくなっていく理由」も推測できます。
即ち、「付き合わなくていい負債」と「増やすべき資産」としての時間、努力、客層、商品などを推測できます。
後日、推測結果からまとめたデータを店長の取材結果と突き合わせてみれば、「なぜ金がないのか、どうやったら金が入り、残り、増えるのか」のアイデアが出てきます。
「金がないって言ってるだろ!」
…本当に有り難い情報です。ありがとうございます。なぜ、これを「断り」だと考えて、勝手にお客さんを見捨てて帰ってくるのか、理解に苦しみます。
ということで、「時間がない」、「金がない」は、根本的経営資源の枯渇を意味する声なので、本人の自覚の有無によらず、あるいは「社交辞令的な断り文句」として建前でそう言っているだけにしても、これは大変貴重な情報であることが分かります。
これらのどこが「断り」なのか。
お客さんは悲鳴を上げて、問題の所在を「これなんだ、これが原因なんだ」と告白してくれているではありませんか。
お客さんは、一度も断ったりしていません。断ったのは、「ダメ営業マン」の方です。
一度可能性を感じ、応援しようと思って立ち寄ったのに、「時間がない」、「金がない」と聞いただけで、さっさと見切って「やっぱダメか」なんて、なんと冷たい仕打ちでしょうか。
ダメなのは、そんなダメ営業マンです。ダメ営業マンがダメたるゆえんは、まだ断られていないのに、先に自分で勝手に断ってしまうからです。
財務諸表の基礎資料3つ(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を徹底的に頭にインストールし、相手の業態や商品構成、価格帯、人員配置、業者の出入り、決算月などから、総合的に「儲けのプロセス」を描いてみましょう。
すると、「あるべき経営状態」と「今の経営状態」をつなぐ、有り難い「ギャップ」の存在が見えてきます。
ギャップとは、理想と現実を「隔てるもの」ではなく、「つなぐもの」です。
それが「隔てるもの」だと思っているうちは、人は人間不信に陥り、自らチャンスを蹴っ飛ばしてしまうだけで、「つなぐ」、「つながっている」と思ってもらうことが、最初は大事です。
そうとさえ分かってもらえたら、あとは長期展望、中期計画、短期計画をそれぞれ決定し、自分が扱う商品を組み込んで、相手が理想とする経営状態を実現するお手伝いを始めるだけ。
二度や三度「時間がない」、「金がない」と言われたなら、それはますます、経営問題の所在を強調してくれているに過ぎません。
人は自分が抱えている悩みを、案外正確には認識できていないものです。ほとんどは、感覚的、表面的、結果的な要素をもって「問題だ」と錯覚しているものです。
しかし、本当の問題は「会計的、長期的、原因的」に考えてこそ、突き止められるもの。
相手が発した情報が「時間がない」、「金がない」という短い声に過ぎないとしても、そういう部分的な要素から、考えられる原因を推測し、お客様の立場に立ってソリューションを提示し、達成まで粘り強く可能性と付き合うのが、トップ営業マンです。
そういう「ちょっとした情報」は、ダメ営業マンもトップ営業マンも等しく受け取っているもので、相手の反応にさほど差はないのですが、「受け止め方」で差が開きます。
できる営業マンの特徴は…
①財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)が読める
②会計的合理性をもって、長期展望と短期計画をつなぐことができる
③お客様の立場に立って、本当の幸せや喜び、成功を描ける
というもの。
そういう確信とビジョンがあるからこそ、「時間がない」、「金がない」という言葉でさえ、貴重な情報となるのです。
受け止め方次第で、人生に起こることは、どんなことでもチャンスになるのが、よく分かりますよね。
よって、できる営業マンにとっては、営業において「拒絶」など存在しないのです。自分がその可能性を拒絶しない限りは。
営業って、人間的に深い部分で成長できるし、人脈・経験・信用・実績を築けるし、実地のモデルで会計やコンサルティングが学べるし、儲けて喜ばれるし、なんて素晴らしい仕事なんでしょう。
こんな仕事が「楽しくない」という人は、よっぽど「できない考え方」をしているだけです。まだ断られていないうちに、自分からチャンスに「お断り」の返事をしないよう、注意したいものですね。
ということで、今日は「FUN営業塾」で随分前にご紹介した「拒絶の本質」についてご説明しました。
福岡女子大のI沢さん、☆さん、Y本さん、D長さん、H口さん、筑紫女学園大学のA木さん、福岡大学のI上さん、「営業」って、面白そうでしょ?
営業と会計が分かれば、仕事の成功も経済的な成功も、ぐっと近付きますよ。会計の勉強が終わったら、次はぜひ、営業について学びましょう。
社会人の皆様も、学生の皆様も、日々トップ営業マンに近付いていかれるよう、陰ながら応援しています。