◆「内定への一言」バックナンバー編
「自己PRとは、自己を主張することではなく、
相手の魅力を引き出すことだ」
こんばんは。今日は急いで家を出たために「ベルト」を着け忘れてしまい、一日中「ズボンがいきなり下がらないだろうか」という恐怖と戦って帰宅した小島です。
ふぅ~…。「このおれ様にも、世の中にこんなに恐ろしいことがあったのか」と思ってしまいましたよ、ほんと。「100円ショップでベルトを買うべきか?」と悩み続けること5秒。やはり節約して西南に向かうと…。
就活コースはよりによって、一番広い「9号室」が満員という大盛況ぢゃありませんか。さらに、9割は女子大生。なんとかごまかしながら講義を終えました。
今日スーツのボタンを閉めていたのは、実はこのような深い理由のためだったのです。
ちなみに昼、大月さんに「ズボンが下がって困る」と言ったら、日頃どんなストレスがあったのか、爆笑してました。
さらには、帰りはいつも一緒に途中まで地下鉄で帰っているのですが、階段を下りるのがやや速かったような…。「もう少しゆっくり」と言っても、無視されました。女の子には、日頃から優しくしないといけませんねぇ…。
まぁ、そういう「FUN初」の苦心と焦りを味わいながら、平常心で行った今日の合格ES講座③、終わってみれば多くの学生さんから「分かりやすかった」、「突破口が見えた」、「聞かなかったらやばかった」、「今日からすぐ使える」と言っていただき、頑張った甲斐がありました。
そんな中、後半に毎回行っている「グループディスカッション」も、今日で3回目になりました。最初は緊張して発言が少なかった人も徐々に慣れ、回数をこなすたびに基準が上がり、見ていて成長が嬉しい時間です。
ですが毎回、自分の発言が少ないことや話にまとまりがないこと、打開策となる意見が出せないことを悔やみ、もっと自己主張したい、と望む学生さんもおられるようです。
そこで今日は、「ディスカッション」からコミュニケーションの基本を考えてみましょう。
ディスカッションとは、複数の人で一つのテーマを扱い、解決策を具体例によって裏付けたり、客観性の持てる根拠で説得することで、共有可能な結論を導く行為です。
ということで、この中では大事な役割が三つあります。
①話す人
②聞く人(問う人)
③まとめる人(調整する人、要約する人)
の三者です。
この中で、一番目立つのは「話す人」ですが、一番強い立場にいるのは「まとめる人」です。さらに、軌道修正を行ったり、発言のバランスを取ったりするのは、「聞く人」です。
話す人が話せるのは、自分の意思によらない場合は「聞く人」から質問を受けたり、「まとめる人」から意見を求められたりした時で、発言量や発言時間は評価対象とはなりません。
つまり、「自己主張」がいいというわけではない、ということです。
今日の就活コースに参加した九大2年のM君が、グループディスカッションを終えて、
「自分の役割を忘れないことと、友達の役割を踏まえて応援すること。これが大事だと感じました」
と、とても素晴らしい発表をしてくれたのを覚えていますか?
もしかして、「筋トレ」の話のインパクトで忘れた人がいるかもしれませんが、本当に素晴らしい心がけです。
要点はまさにあの通りで、議論において大事なのは、①テーマを忘れないこと、②答えやすいように話すこと&問うこと、③話題を横に広げるのではなく、縦に深く掘ること、の三つです。
「多く発言する」のは、その人が積極的だからというより、思慮不足だったり、人の話をよく聞いていなかったりすることによる場合が多いもの。
人の評価は「答え方」ではなく「問い方」で決まるもので、どれだけある人が積極的なようにしゃべったとはいえ、テーマを忘れない人が「要するに、テーマとどう結びつくんですか?」と質問すれば、たったそれだけの発言でも、「聞く人」の方が評価されます。
それは当然です。グループディスカッションを「グループ」で行う目的は、「限られた時間の中、集団でどれだけ議論を発展させ、建設的な答えを導けるか」を見極めることにあるのですから。
大事なのは「全体への貢献」、つまり自分の役割の自覚と、他人の役割への信頼を言動で示すこと。
ですから、そこに働く評価基準は、「いかに多くしゃべったか」ではなく、「いかに全体の議論を推し進める役割を発揮したか」にあるのは当然のことでしょう。
ということで、「自己PR=しゃべること」と考えている人は、思いのほか、GDで落とされたりするものです。それは、「グループディスカッション」なのに「大声の独り言」を披露したからです。
評価基準が「全体への貢献」である以上、テーマに集中し、その発展を尺度にして、必要があれば問う役割を担い、必要があれば他人に発言の機会を譲り、必要があれば調整役を引き受ける、そういう対応力の方が好まれるのは考えるまでもないことです。
ということで、「人前でしゃべるのが苦手」だとか、「自分は口数が少ないけど大丈夫だろうか」などと考えている人は、何の心配もいりませんよ。
もちろん、何も発言しなければ評価もできませんが、我々経営側の人間は、ただ「面白い」、「受けがいい」という自分の先入観だけでわめきちらし、他の人の活躍の場を奪ってまで余計な話をしたがる人を見たら、本人が「よっしゃ!アピールできてるぜ!」と思っていようが、まずそんな人から「×」とか「不採用」と記入します。
そういう人は「自己PR=自己主張」と思っているようで、昨今は「よくしゃべる」、「思っていることをはっきり言う」という性質の自己主張が歓迎されるようですが、人間の本質は時代が変わったくらいでは変わりません。
誰しも嬉しいのは「活躍の機会を与えてもらうこと」、「自分の言動を肯定的に評価されること」、「貢献を認めてもらった手応えを感じること」です。
よって、その人がそのグループに及ぼす貢献は、どれだけしゃべったかではなく、「どれだけ人を引き立てたか」、「どれだけチャンスを作ったか」、「どれだけ議論を前進させたか」によって測られるのです。
そうやって、自分の発言を必要最低限に控え、ただテーマとその解決に集中し、全体の議論の舵取りを「短い問い」や「タイミングの良い評価」によって行える人こそ、実は最も印象的な「自己PR」を行っているのです。
ですから、「自己PR」なんて変な言葉ですが、もし「自己主張」という言葉を正しく解釈したいなら、それは「どれだけ自分を伝えるか」ではなく、「どれだけ相手や他人の魅力を引き出せるか」であると言えましょう。
要するに、「最も自分を抑えて他人を生かす人が、最も認められる」ということです。それが本当の「自己主張」です。
コミュニケーションにおいては、多くしゃべる方ではなく、問い、評価する側の方が決定的な主導権を握るものです。いくら声がでかくてよくしゃべろうが、空気が読めず、全体の前進を阻害する人は邪魔者でしかありません。
面接で落ち続ける人は、相手の会社と関係ない「自分の魅力」ばかり語りますが、受かり続ける人は、「相手の魅力」をどんどん語ります。
「自分で自分をどう思っているか」以上に、「相手をどう捉えているか」が自分だからです。
ですから、GDを恐れる必要はありません。
他者が発言の多さを求めるなら、あなたは問いの深さを求めましょう。
他者が自己主張を狙うなら、あなたは他人の魅力を引き出しましょう。
他者が浅い展開を試みるなら、あなたは一つの議論を掘り下げましょう。
大抵の人は「自己主張とは、自分を伝えることだ」と思っているので、控え目でも議論の推移を注意深く見守り、ピンポイントで質問を発する役割に徹する人は、それだけで評価が高まります。
つまり、他人が「間違った努力」に力を入れれば入れるほど、あなたの「静かで正当な努力」が勝手に光り出すわけです。
別に対抗心を燃やす必要はなく、あなたはただ、与えられた時間内で、与えられた役割に徹し、不動の姿勢で全体の軌道を作っていけばいいのです。そのために、発言量や時間などは、大した意味を持ちません。
ということで、「合格ES講座」は来週で終わり、2月からはいよいよ「面接塾」です。これは「スピーチ塾」をコンパクトにしたものですが、例年非常に人気のある講座で、ここから生まれたエピソードや伝説は数知れないほどあります。
2月から始まる「言葉のマジック」の習得を、ぜひ楽しみにしておいて下さいね。人事担当者の心の内が、手に取るように分かるでしょう。そして、毎回毎回、面接が楽しみでたまらなくなるでしょう。
就活では、自分の魅力探しばかりやる人がいますが、それは間違っています。社会のチャンスや企業の魅力、仕事の可能性を知ってこそ、初めて内から燃えることができるのです。その順序をお間違えのないように。
以上、今日発見した「チャンス」のお知らせでした。