◆「内定への一言」バックナンバー編

「新たな価値は、創造的破壊から生まれる」(ドラッカー)





こんばんは。今日は西南卒のKさんから新たな読者の方を20人ご紹介いただき、Kさんの友達思いの姿勢に感動した小島です。これは、今まで以上に頑張って執筆しないと。

また、FUNのHPは、皆さんはご覧になりましたか?

インストラクターのO月さんと、女子大4年のMさんが、昼夜を徹して一つ一つ丁寧に作ってくれ、「これはサークルなのか?」というような驚きの情報量、質のページに生まれ変わっています…。

後で「号外」で詳しく更新箇所をご案内した方が分かりやすいと思うので、この後に簡単なご案内を送りますね。



さて、毎年学生さんに「業界研究って、どうやったらいいですか?」と聞かれるたびに、僕はドラッカーの本や城山三郎さんの創業小説を勧めています。

「友達は、そんなの読んでませんよ」とか言われますが、僕は「内定前も内定後も成功したかったら」という前提で紹介することにしています。

こういう骨太な本を読むと、自分の中で明らかに悩みのレベルが成長するのに気付き、一般的な学生が持つような「どこに行けばいいのか?」、「面接で何を言えばいいのか?」などという悩みを忘れ去ることができます。

まさに、昨日のBCで読んだ『論語物語』(下村湖人/講談社学術文庫)ではありませんが、「どの道を選ぶかより、選んだ道でどう努力するかがもっと大事」ということ。

本当に良い選択をしたいのなら、学生の皆さんには、「ここで最高の仕事をするには、どうしたらいいのか?」と自問したらいいですよ。

「選択」とは条件の比較ではなく、不利な条件でも有利なものに変えていくイノベーションを言うのです。「情報収集力」よりも大事なのは「決断力」で、決断力とは、生じた結果に文句を言わない忍耐力だと言えるでしょう。

では、「最高の仕事」とは何かと聞かれれば、それは「顧客、会社、自分にとっての付加価値を同時に創造していける働き方」だと言えます。

自分の行いがお客さんに「助かったよ!」と喜ばれ、会社には「君がいることを誇りに思う」と感謝され、自分では「この仕事で成長したな」と思える働き方…

最高です。

こういう仕事が待っているなら、頑張ってみてもいいと思いますよね。

FUNで目指すのは、そういう「問題解決(を通じた)自己表現(による)社会貢献(で自分を成長させる)」が三位一体となった就活です。

そういう視点で情報を集め、知識を見識に変えていくうえで、ドラッカーや城山三郎さんの作品が役立つと思っているので、毎回学生さんにご紹介してきたわけです。

社会には「お客からも感謝されず、社内でも尊重されず、自分でもやりがいを感じられない」という奴隷のような働きぶりで時間を浪費している社会人も多いのです。

皆さんも、たとえ内定したって、その後に不幸になるのは嫌ですよね。でも、「とにかく内定」と目先のことしか考えなかった人は、社会に出て皆「楽しみは来月の温泉か週末のカラオケだけ」みたいになっていきます。

さて、ドラッカー作品の中で「何がよいか?」と聞かれたら、経営者の方はもちろん、学生さんには特に、

①『イノベーションと起業家精神』
②『マネジメント』
③『チェンジ・リーダーの条件』

をご紹介しています。いずれもダイヤモンド社です。この三作品は人気なので、ブックオフでは大抵「半額」ですが、800~1,000円でも買う価値は十分あります。

入門編なら『ネクスト・ソサエティ』や『断絶の時代』などがいいですが、働き方や付加価値創出については、上記の三作品がおすすめです。

『イノベーションと起業家精神』で、ドラッカー博士は農機具販売会社の「マコーミック社」が割賦販売を生み出した事例を挙げ、割賦技術は資本主義を爆発的に推進させたイノベーションだと述べています。

「割賦」というのは、もはやこんな古い言葉は、アリのような小さな字で書かれた「契約書」にしか存在しませんが、要するに「クレジット(信用販売)」の仕組みです。

「先にモノをもらい、後から少しずつ支払う」という「買い方」の発明が、技術革新に匹敵するほどの社会的イノベーションだ、というのが本書の中での指摘です。

それは、今までの「買い物の常識」を破壊し、同時に「現金一括払いができる人にしか売らない」というビジネスモデルを破壊し、「消費者となる人々のターゲットが飛躍的に拡大した」という創造的破壊でした。

経済学部の方であれば、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターが「創造的破壊」という言葉を生み出したことを1年で習うでしょうが、それは具体的にどういう事例なのかは習わないでしょう。

「毎年同じ授業をしている教授の講義を録画し、教授を解雇してDVD形式で販売して授業料を100分の1に引き下げる」というような改革が「創造的破壊」です。


ドラッカーは、「自社の都合でコストを決める企業は滅び、顧客の事情に合わせて付加価値を決める企業は生き残る」と言っていますが、日本の学校や行政組織、不動産業界などは、頭が化石状態だと言えます。

世の中では、「それを通過せねば不利になるが、選択肢が一つしかない」という手続や商品では、社会主義国のように不合理なコストが発生します。

例えば、どう考えても「催眠術」としか思えない大学の授業が「90分=3,400円」もしたり、法人設立登記の際の「定款認証」でハンコを4つ打ってもらうだけで「94,500円」も取られたり…

それを持たねば自由度が制約される「運転免許」は、取得に30万円もかかったり、引越しの際は「敷金」という名の仕組みで入居者を「金主」扱いしたり、500円で済む「カギの交換」で15,000円も取ったり…

こういう「規制」や「代替手段なし」という状態で設定されている価値が「不合理なコスト」であり、これで儲けているのは、ビジネスセンスとは何も関係ありません。別に有能というわけではないのです。

もし皆さんが起業したいと思うなら、誰がどう考えても不満を持っている分野で「非・不・未・無」を探してみるとよいでしょう。

僕は公務員や大企業がのんびりと規制にあぐらをかいているところを狙い、「羊の群れ」を破壊してゲリラのようなビジネスを仕掛けるのが好きです。

FUNで紹介してきた数々の創業物語の中でも、男女を問わず毎年人気が高いのは、『風雲に乗る』(角川文庫)です。

日本信販(現:UFJニコス)の創業者・山田光成さんの伝記で、読まれた方も多いでしょう。

ダイエーの創業史である『価格破壊』、近畿日本ツーリストの『臨3311に乗れ』、ロイヤルの『外食王の飢え』、山種証券の『百戦百勝』、花王の『男たちの経営』なども、FUNでは4年生に人気です。

戦前、戦後と庶民の生活は貧しく、「農業を効率化するためにある農機具を買う」という目的であれ、庶民は長い間貯金して購入せねばなりませんでした。

お寿司屋さんが配達のために「自転車」が欲しいと思っても、当時高価だった自転車を買うには、長い間我慢してお金を貯め、設備投資を繰り返していかねばなりませんでした。

給料が少なく、雇用が不安定なサラリーマンは、こうして何を買うにも「全額揃うまで耐える」という選択肢しかなく、「割賦(月賦)」で買い物ができるのはお金持ちだけ、というのが戦後間もない日本の現状でした。

山田さんはここで、「庶民でも、それほど高価でない耐久消費財なら割賦で買えるはずだ。自分が信用を提供して仲介できないものだろうか」と考え、ビジネスのアイデアを練り上げていきます。

しかし、どの店に行っても「貧乏人に割賦で売るなんて、そんな危ないマネができるか」、「焦げ付いたらどうするんだ」と言われ、消費者からも「払えなくなったら怖い」、「どうせ高い手数料を取るんだろ」と言われ、山田さんは何度も壁にぶち当たります。

「こんなにいい制度なのに、なぜみんな分かってくれないのか…」と諦めかけた山田さんが、以前訪れた高島屋に行くと、「加盟しましょう」と待ちに待った返事が。

先行事例がないと疑うのに、一旦メジャーな人や組織が使うと、なだれを打って群集が集まるのが日本で、ここから続々と加盟企業が増え、それに従ってクーポン利用者も激増します。

「今は手元にお金がない人」たちは、山田さんが「信用販売」と名付けた割賦技術を生み出すまでは「眼中になし」という存在だったのが、たった一つの発明で、見込み客は数十倍の規模に広がったといいます。

これは電通の広告やトヨタの技術、あるいはインターネットの登場すらも超える、戦後経済最大級のイノベーションだったとも言えるでしょう。

いくら広告が面白くて分かりやすくても、安全で高性能の自動車を作っても、今それを買える裏付けがなければ、何の意味もありません。

その意味では、山田さんが作った「マーケット」は、どんなメーカーや広告代理店も作れないくらい大きな「未来」だったわけで、新事業において「着眼点」がいかに大事か、如実に示している事例だと言えます。

以上、あまりに簡単に説明したので、苦労や感動はほとんど省いています。詳しく知りたい方は、105円持ってブックオフに行き、『風雲に乗る』を買いましょう。

もし「割賦技術」がなければ、大学に進学できる人は人口の1割くらいで、本メルマガの読者の大半は、社会人か「貯金中の若者」になったことでしょう。

「学費が貯まるまで、点数は条件を満たしても進学できない」なら、どれだけ不合理な時間を強制されることか。

しかし皆さんは、親からの経済援助でなければ「奨学金」という借金によって先に「大学という商品」を購入し、卒業してから返済するという形で、知識を手に入れられるのです。実に合理的な発明です。

ドラッカーは『イノベーションと起業家精神』の中で、新たな事業を成功させる着眼点として、以下の7つの基準を挙げています。

①予期せぬ成功と失敗を利用する
②ギャップを探す
③ニーズを見つける
④産業構造の変化を知る
⑤人口構造の変化に着目する
⑥認識の変化を捉える
⑦新しい知識を活用する

マコーミック社が1840年代に発明し、日本で山田光成がさらに発展した形で完成させた「クレジット技術」は、以上7つの条件を全て満たしています。

さらには、ファミコンも携帯電話もインターネットも、爆発的に普及して消費者や社会の常識を変えたような発明は、全てこの7つの条件を満たしているのが分かります。

これが「創造的破壊」なんですね。素晴らしい…。

また、『マネジメント(1974)』では、世界で初めてマーケティングを開発したのは日本人だった、という三井の事例が述べられていますから、こちらもご覧になるといいでしょう。

「業界研究」というと、学生さんは個別に業界事情を研究し、資本金の額や売上高、業界内順位を比較・勘案して「安全そうで楽しそうな会社」を選ぶことだと思っているようですが、そんなのは表面の表面に過ぎません。

それよりも、時代や社会の動きを広く見渡し、来るべき未来に合わせて、どのような問題解決やイノベーションを提供するか、それを人間心理や会計の視点から観察してくのが、本当の業界研究です。

そのためには、各業種がどのような「創造的破壊」を行ってきて、また行っていくビジネスをしているのかを、具体的かつ現実的に捉えることが大事です。

この1月~4月は、ぜひ一緒に、そういう勉強をしていきたいものです。

「就活に役立つ」という勉強は、就活にも役立ちません。本当に役立つ勉強は、日々の生活や入社後の仕事にも役立つものでなければなりません。

目先の場当たり的対策ではなく、先を見通した本質的な対策によって、自分自身に「創造的破壊」を行っていく就活を、これからともに楽しんでいきましょう。