■「内定への一言」バックナンバー編
「今の自分が本当の自分」
昨日は内定報告会だったそうですね。出席できない人のため、録音して後日希望者が聞けるようにしようとの提案から、ICレコーダーをお貸ししたんですが…。
帰ってちょっと聞いてみると…。
まあ、いいです。
さて、最近は「就活サークル」という形式のサークルが、体育会、愛好会に次ぐ形として全国各地で生まれているようです。
FUNは就活関連の活動は全体の1割くらいしかやっていないのに、日経では西日本を代表するサークルとして掲載され、また、テレビ東京ではユニークな取り組みから「FUNの取材を取材する」との目的で関西取材に記者の方が同行したり…と、取材されることも多いサークルです。
しかも、それだけじゃないんです。
福岡や九州各地、あるいは関西や、遠くは新潟県や福井県、沖縄県の就活サークルの学生さんも本メルマガを読んでいるようで、2~3ヶ月に一度ほど、大月さんを通して僕のところに「運営相談」めいた質問が来ます。
福大、九大、北九大、西南大…いろんなサークルがあって、僕も数人はお会いしたことがありますが、このような取り組みが学生さんから起こることは、とても素晴らしいことだと時代の変化を感じます。
でも、別に僕が運営しているわけじゃないんですよ。
僕は学者でも教師でもなく、専門も資格もないただの一経営者なので、講義1回あたり150円のコピー代と受講料、つまり「月600円」の謝礼で毎週好き勝手なテーマでおしゃべりしているだけです。
私立大の1ヶ月の授業料の平均が16万6,000円なので、FUNの授業料は、皆さんが通っている大学の「約300分の1」という金額です。
時々、「休んでも150円は返さんぞ」とか言ったりしていて、言っている内容と金額がおそろしくずれていますが、タダにしないのは、無料だとどうでもいい人間が集まるからです。
それに、「人に教わる者は相当額を払え」というのが僕のポリシーです。これは最低限のルールでしょう。僕も若い頃は、高額な勉強会にもよく出席しました。
時々、新しく入った学生さんから「小島さんは、なんでFUNのお世話をしてるんですか」とか聞かれたりします。
でも、僕はお世話をしようと思って来たわけじゃなく、サークルになる前の「ミスド時代」から、定期的に時間があれば学生さんと語っているだけなんです。
そんな日々を送っていたら、口コミで女子大生が続々集まり、しばらく「ハーレム状態」のサークルになって、それから今のような機能的な集まりになっていっただけです。
だから、正しくは「学生が集まってきた」のが本当で、僕から何かを指示・強制したことなどありません。
学生さんから勉強したいことを聞いたら、それをテーマに講義案を練って、「○○塾」とかいう形式でやっているだけで、それは今も昔も、そして未来も変わりません。
ということで、僕に相談するのは本来お門違いなのですが、ずっとサークルを陰で応援してきていくらか経験したこともあるので、その範囲で参考になることがあるなら、それは快く応じようと思っています。
この3年間で、よく就活サークルの学生さんから聞いた悩みを、いくつかまとめてみます。
①すぐにネタ切れしてマンネリ化してしまう。
②人が集まらない。集まっても定着せず、顔を出したらすぐ来なくなる。
③会費の集まりが悪い。時間を守らない。
④サークルの性質上、上級生の努力が必要だが、協力が安定しない。
⑤1、2年生の勧誘が難しく、引継ぎはさらに大変だ。
僕も過去、大月さんがベローチェに連れてきた他サークルの学生さんと話した経験が数回ありますが、だいたいいつでも、どのサークルでも、こういった課題を抱えているようです。
そして、そのような悩みは、FUNも何度か遭遇してきたものです。
中には、今もって格闘中の課題もあります。いくつか、僕なりの提案をしてみましょう。
①提供するソフトについて
学生さんの知識や経験だと、たとえ内定後の4年生でも社会人から見れば無知に等しいので、学外から講師を呼んだり、あるいは外部のイベントに参加したり、という企画が多いようですね。
多くの学生、とりわけ3年生は、秋になると口々に就活の不安を言いますが、僕が聞いていて思うのは、そもそも悩みが浅すぎて、悩みからして既に標的が間違っていることです。
よく聞いてみると、「エントリーの仕方が分からない」、「業界研究の方法が分からない」、「自己分析ってどうやればいいの」といったものばかり。
だいたい、毎年聞いていて思うのは、その手の不安の原因は大抵「未経験」に端を発していることです。また、始末が悪いのは、4年生もそういう相談を間に受けていちいち答えることです。
未経験なんて、誰でも最初はそうじゃありませんか。本当に問題なのは、そんなことよりも「未熟」なことです。手続は何回かやれば慣れます。そして、本当に向き合うべき課題と遭遇する時を迎えます。
それは「自分に自信が持てないこと」です。実力がないこと、つまり自信の根拠が浅いことは、遅く気付くほど重大な不安要素になります。
就活サークルで活動している皆さんは、3年生のモグラ叩きのような瑣末な不安にいちいち付き合わず、そういうのは軽くいなしておいて、後輩が自信と余裕を持てるよう、生き方や夢、挫折と克服、できると思ったその確信、その会社に決めた理由などを語るべきではないでしょうか。
「未経験」は次から次に出てきます。「エントリー」をクリアした3年生は、次は自己分析とか業界研究を聞いてくるに決まっています。
そして、そのような「自分でもできること」を親切に教えてやることが、結果としては自主性と主体性を奪うことになり、自信を破壊するのです。
なぜか。
それは、表面的な不安を思いつくたびに優しく教えてもらい、解決したと思って安心を味わうと、そのうちに就活をなめてかかるようになり、後になるほど現実に圧迫され、「どうして?」という不安が兆してくるからです。
要するに、笑顔で手取り足取り親切に向き合うことで、「聞けば解決する」と勘違いさせてしまう、という過ちを犯してしまうわけです。まさに「笑顔の拷問」ですね、これは。
聞いて解決するなら、そもそも大学になど行く必要もありません。自ら行わない限り、失敗も達成も、自信も得られないのは人生の常識中の常識です。
僕も就職のことなんて知りません。第一、興味もありません。しかし、働き方や収益の生み出し方なら知っています。
僕は十数社から一度に「うちに来てくれ」と誘われて悩んだ経験はありますが、どうやったら受かるかで悩んだことはありません。受ける前に受かるほど仕事ができたので、こういう悩みも嫌味っぽいですがありました。
だから、サークルの講義(というものをやっています)では、一貫して働き方や楽しみ方、見方、考え方に徹してお話します。自分で考えられる素材を提供することが、学生さんの主体性や自信につながるからです。
学生さんとの相談で心がけているのは、「その学生の実力なら自分でできることは教えない」、「すぐ答えるより考えさせる」、「自分で調べさせて認める側につく」ということです。
そして、自分でやってきたことや考えてきたこと、調べてきたことを見て、「そうそう、すごい!」とか、「センスいいね!」、「よしよし、その調子。じゃあ、これも調べてみたら?」と何度かやり取りをすると、学生の表情は次第に明るくなっていきます。
年長者として大切なことは、出しゃばらずに「添え木」に徹することです。学生が元々持っている意欲や情熱を自然に引き出し、その方向を経験や見識に照らして、軌道を作っていくお手伝いさえすればいいんです。
ですから、どこのサークルでも思いつくような「外部講師を招いたイベント」や「外部イベントへの参加」は程々で止めて、どうせなら、みんなで創業史を研究したり、あるいは古典を読んだりしてはどうでしょうか。
一つ言えるのは、「共同作業」があると良いサークルになるということです。
みんなで一つの経験を共有する。難しいですが、一つでもやると何倍も結束が強くなるものです。これは目下、FUNでも基本から見直しているようですけどね。
②動員と定着について
初期のFUNが何度も空中分解しそうになった悩みです。最初はイベントをやっても、驚くほど反響がないでしょう。そして、主催者の方が参加者が少ないのに怖気付いて、遠慮したり声が小さくなったりしてしまうものです。
しかし、FUNを作った安田君は、90人部屋で参加者が2人であろうと、「今日はたくさん集まってもらってありがとうございます!」と、目の前の初対面の学生に情熱的に語りかけていました。
ここで腰が引け、4年生が「卒論があるんで」、「実は忙しい」、「本当はやりたくなかった」とか言い出したら終わりです。そういう先輩は即刻除名処分にすべきです。後輩を導く資格など、たとえ内定していようがありません。ただの老害ですね。
僕も2年半前、あまりに「人任せ」、「事なかれ主義」、「約束不履行」が多い様子に牛尾さんや隈本さんがかわいそうで我慢できなかったので、当時の4年生や3年生に、「貴様らゴミは即刻消えろ!」と言ったら、3人を残して全員辞めました。
顧問を引き受けて以来、運営に口出しをしたのは、後にも先にもこれ一度だけです。辞めた学生は散々僕の悪口を言っていたようですが、バカは嫉妬と反感で団結するのが世の常で、街中で会った時は目を逸らしてうつむいていました。
僕は知恵もお金も、学生にやる気がある限りいくらでも出しますが、不真面目な学生が真面目な学生を邪魔するのだけは許せません。頑張る人が頑張れる、そういう当たり前を継続するのが最上の動員策でしょう。
③会費と時間について
これも、活動内容によって会費に差はあるでしょうが、雑誌を作ったり市民センターの利用があるFUNは、3、4年生が3,000円、1、2年生が2,000円となっています。
しかも、お恥ずかしいことに今まで一度も、期日に全額が集まったことはありません。印刷代が遅れるたび、大月さんや4年生がキンコーズさんに頭を下げたり、僕が損失を補填したり…まだまだ未熟なサークルです。
外部講師の有料イベントを行ったり、あるいは県外のイベントに参加するサークルであれば、FUN以上の会費も必要でしょう。
そういう場合は、断固集めるか、あるいは期限を過ぎたらペナルティを課したりしてはどうでしょうか。
払わなかったり、遅延が当たり前の学生が、もしかしたらFUNでも昔そういう輩が言ったように、「会計を毎週公開すべきだ」とか「使途はみんなで決めるべきだ」と言うかもしれません。
そういう場合は、公開するなり会議するなりすればいいんですが、大事なのは「頑張る人だけ口だけを許す」というルールを確立させておくことです。これは会社であれ、どんな組織でも同じです。責任を取りたくないメンバーは、運営に口出しする資格もありません。
世の中には、「みんなのため」とか「正義」、「公正」という美辞麗句を振りかざし、その実、本当は自分だけ責任を回避し、嫌なことは他人になすりつけたり、自分の負担だけはどうしても減らしたい、と考える卑しい人間が残念ながら多いのです。
そういう人間は、たとえ学生であれ、提案を受け入れたとしても、次から次に文句を繰り出し、「自分はやることはやっている」などと卑怯な態度を見せるものですから、こういう輩もさっさと駆除した方が良いでしょう。
後輩のためになりません。
僕も昔、「小島さんが取っているんだ」とかあらぬ噂を立てられたので、オムツを着けた大学生の思考回路に興味を持ち、事実を話しました。
それは、僕が毎月損している、という真実です。
「人を疑うからには、疑った責任は取るんだろうな?おまえの考えが間違っとったら、タダじゃ済まさんぞ」と前置きして公開したのですが、知ると意味不明な言い訳をして消えました。
僕は学生さんから頂いた謝礼は、基本的にレジュメの印刷に使ったり、あるいは喫茶店でケーキをごちそうしたり、他には本を買って贈ったりするのが好きですから、得しようなんて思ってないんです。
だいいち、貧乏な学生から搾取するほど貧乏じゃないし、正しくは「学生が僕から搾取している」と見た方がよいからです。勉強になる時だけは来て、サークルを応援しないなどは、最悪の部類に属する態度です。
時間も、大雨や例外的な渋滞がない限り、開始時刻はきっちり守ることですね。カネと時間の約束が守れない人間関係が健全に発展することはありません。
「真実を話せば、あとは全て相手の問題だ」とはマーク・トウェインの名言ですが、これはどの組織でも当てはまります。堂々とやることです。良い活動をやっているのですから、自信を持って後輩を導きましょう。
④上級生の貢献について
これは、就活サークルならどこでも抱える悩みのようですね。FUNは代々、良く言えば人柄が良く、悪く言えば断りきれない4年生が代表者となって、後輩たちに尽くしてきました。
他のサークルさんはどうか知りませんが、FUNの場合は「面倒見が良く、サークルが大好き」という4年生が中心になることが多く、よく「誰が代表か分からない」という声もあるようです。
サークルの気質か、あるいはそういう雰囲気が元々あるのか、「オレが、オレが」という人はおらず、どちらかというと、人望があって経験が長い人がいつの間にかそういう立場になっている、というケースが多いです。
3年生が就活を意識し始める頃は、4年生は卒論や実習で忙しくなる時期です。そこは、FUNは規模が大きいためか、大月さんという全体をよく見渡してくれる心強いインストラクターがいるので、なんとかうまく乗り切っています。
ただ、学年構成によっても異なるでしょうが、先輩が忙しいのは大抵「後輩が手伝わないから」です。後輩が「4年であんなに忙しくなるなら嫌だ」とか言い出したら、それは見当違いだと言いましょう。
そういうのは、自分の学費や生活費を出してもらっているくせに、父親が忙しく働く姿を見て「サラリーマンになるのは嫌だ」と言うのと同じくらい、支離滅裂な発想です。
要するに「おまえが学生で、稼げないくせに親のカネを使いまくってるからだろうが!」ということです。ズボンの下には、まだパンパースをはいてるんでしょうね。
⑤下級生の勧誘と引継ぎについて
FUNは「企業取材サークル」で、決して就活だけのサークルではないため、他の就活サークルに比べて1、2年生の加入は割合多い、という声をどこかのサークルの学生さんから昔聞きました。
どの大学にも、「ベンチャー野郎」みたいな男子学生や、「キャリア志向」の女子学生がいるだろうし、また、早い時期から将来の準備をしたいという学生さんもいるでしょう。
そういう方々が興味を持つような勉強会、あるいはコンテンツを企画されてはいかがでしょうか。
ちなみに、FUNで近年起こっている現象といえば、「内定後の4年生の入部が圧倒的に多い」ということです。これはもう、FUNゼミ以外の外部講座になると、9割が4年生といってよいほどです。
内定してみて、あるいは就活を経験してみて、いかに自分が世間を知らないか、いかに仕事に求められる資質と自分の実力がかけ離れているかを知った学生さんからの問合せは、後を絶ちません。
まぁ、内定なんて、スーパーマリオの「1-1のクリボー」みたいなものですからね。
それをゴールと思って、後輩にでかい顔をする学生の神経は理解不能ですが、僕はこういう「内定後入部組・参加組」の4年生が大好きで、福大のM里君や久留米大のY口君、西南のM田君、下関市立大のF本君たちの向学心には感心しきりです。
そういう方からは、「もっと早く入っておけばよかった」という声を聞きますが、心配ご無用です。社会では、早く内定した者よりも、一人の時間に勉強できる習慣を持つ人の方が、絶対に、100%の確率で勝ちます。
内定するまで真面目であろうが、試験や解雇のような「外的要因」がないと努力しない人間は「パブロフの犬」と同種の人間で、放っておいて構いません。来年の今頃には「会社辞めたい」、「仕事がきつい」と言っているでしょうから。
今まで「学校制度」の最上級生だったのが、いきなり実社会の最下級劣等生に転落するわけですから、その屈辱と恐怖といったら、内定が決まらないどころのものではありません。
そういう人には、「余生は計画的に」と言うしかありません。結果が出せない人間は、屋台でオヤジに愚痴るか、ホストクラブで夢を見るほかないのです。それが、若い頃に手を抜いた人間に共通の運命です。
卒業まで地道に自分を成長させる4年生の姿こそ、後輩に示す最大の財産の一つでしょう。定期的に参加できるかどうか、ということは二次的な問題に過ぎません。大事なのは心が一つであることです。まずは自分から、そういう先輩を目指してはいかがでしょうか。
ということで、今日は「就活サークルの課題と展望」について、今までに僕が受けたことのある質問を思いつくままに並べて所感を述べるという、やや不思議な話題になりました。
僕はFUNであってもなくても、学生さんのそういう立派な取り組みは全国で成功してほしいと願うので、あえてテーマに選びました。
いつの間にか多くのサークルを、半ば「情報でM&A」の状態にしていたとは思いもよりませんでしたが…。
僕のメルマガは、著作権料なしに業者の方や企業の方が使っているようなので、参考になることがあったらどんどん勝手に借用していただいて一向に構いません。
マネされるより、僕が思いついて実行に移すスピードの方が、おそらく何倍も速いので、全く心配も不安もありません。メルマガの内容は、FUNゼミの講義に比べたら「残ったお茶の葉」のようなものです。
僕はただ、日本の若者に何らかの良いきっかけが提供できれば、と思ってコツコツやっているだけです。マネできるなら、どうぞマネして下さい。
「学校では間に合わない。しかし、社会に出るわけにもいかない。だったら自分たちでやれることをやってみよう」。
素晴らしい心構えです。
そういうサークルは新種の形態なので、これからも悩みは尽きないでしょうが、学生時代から「創業」に似た経験を重ねるのはとても有意義なことです。
よく「本当の自分はこんな自分じゃない」と現実逃避をする若者がいますが、本当の自分とは「今の自分」以外にありえません。
色んなサークルの話を聞くと、「組織的自己逃避代行サークル」と、「現実直視サークル」に分かれるようですね。
「今の自分が本当の自分」というスタートラインを共有できるサークルになれば、きっとうまくいきますよ。
「今の自分が本当の自分」
昨日は内定報告会だったそうですね。出席できない人のため、録音して後日希望者が聞けるようにしようとの提案から、ICレコーダーをお貸ししたんですが…。
帰ってちょっと聞いてみると…。
まあ、いいです。
さて、最近は「就活サークル」という形式のサークルが、体育会、愛好会に次ぐ形として全国各地で生まれているようです。
FUNは就活関連の活動は全体の1割くらいしかやっていないのに、日経では西日本を代表するサークルとして掲載され、また、テレビ東京ではユニークな取り組みから「FUNの取材を取材する」との目的で関西取材に記者の方が同行したり…と、取材されることも多いサークルです。
しかも、それだけじゃないんです。
福岡や九州各地、あるいは関西や、遠くは新潟県や福井県、沖縄県の就活サークルの学生さんも本メルマガを読んでいるようで、2~3ヶ月に一度ほど、大月さんを通して僕のところに「運営相談」めいた質問が来ます。
福大、九大、北九大、西南大…いろんなサークルがあって、僕も数人はお会いしたことがありますが、このような取り組みが学生さんから起こることは、とても素晴らしいことだと時代の変化を感じます。
でも、別に僕が運営しているわけじゃないんですよ。
僕は学者でも教師でもなく、専門も資格もないただの一経営者なので、講義1回あたり150円のコピー代と受講料、つまり「月600円」の謝礼で毎週好き勝手なテーマでおしゃべりしているだけです。
私立大の1ヶ月の授業料の平均が16万6,000円なので、FUNの授業料は、皆さんが通っている大学の「約300分の1」という金額です。
時々、「休んでも150円は返さんぞ」とか言ったりしていて、言っている内容と金額がおそろしくずれていますが、タダにしないのは、無料だとどうでもいい人間が集まるからです。
それに、「人に教わる者は相当額を払え」というのが僕のポリシーです。これは最低限のルールでしょう。僕も若い頃は、高額な勉強会にもよく出席しました。
時々、新しく入った学生さんから「小島さんは、なんでFUNのお世話をしてるんですか」とか聞かれたりします。
でも、僕はお世話をしようと思って来たわけじゃなく、サークルになる前の「ミスド時代」から、定期的に時間があれば学生さんと語っているだけなんです。
そんな日々を送っていたら、口コミで女子大生が続々集まり、しばらく「ハーレム状態」のサークルになって、それから今のような機能的な集まりになっていっただけです。
だから、正しくは「学生が集まってきた」のが本当で、僕から何かを指示・強制したことなどありません。
学生さんから勉強したいことを聞いたら、それをテーマに講義案を練って、「○○塾」とかいう形式でやっているだけで、それは今も昔も、そして未来も変わりません。
ということで、僕に相談するのは本来お門違いなのですが、ずっとサークルを陰で応援してきていくらか経験したこともあるので、その範囲で参考になることがあるなら、それは快く応じようと思っています。
この3年間で、よく就活サークルの学生さんから聞いた悩みを、いくつかまとめてみます。
①すぐにネタ切れしてマンネリ化してしまう。
②人が集まらない。集まっても定着せず、顔を出したらすぐ来なくなる。
③会費の集まりが悪い。時間を守らない。
④サークルの性質上、上級生の努力が必要だが、協力が安定しない。
⑤1、2年生の勧誘が難しく、引継ぎはさらに大変だ。
僕も過去、大月さんがベローチェに連れてきた他サークルの学生さんと話した経験が数回ありますが、だいたいいつでも、どのサークルでも、こういった課題を抱えているようです。
そして、そのような悩みは、FUNも何度か遭遇してきたものです。
中には、今もって格闘中の課題もあります。いくつか、僕なりの提案をしてみましょう。
①提供するソフトについて
学生さんの知識や経験だと、たとえ内定後の4年生でも社会人から見れば無知に等しいので、学外から講師を呼んだり、あるいは外部のイベントに参加したり、という企画が多いようですね。
多くの学生、とりわけ3年生は、秋になると口々に就活の不安を言いますが、僕が聞いていて思うのは、そもそも悩みが浅すぎて、悩みからして既に標的が間違っていることです。
よく聞いてみると、「エントリーの仕方が分からない」、「業界研究の方法が分からない」、「自己分析ってどうやればいいの」といったものばかり。
だいたい、毎年聞いていて思うのは、その手の不安の原因は大抵「未経験」に端を発していることです。また、始末が悪いのは、4年生もそういう相談を間に受けていちいち答えることです。
未経験なんて、誰でも最初はそうじゃありませんか。本当に問題なのは、そんなことよりも「未熟」なことです。手続は何回かやれば慣れます。そして、本当に向き合うべき課題と遭遇する時を迎えます。
それは「自分に自信が持てないこと」です。実力がないこと、つまり自信の根拠が浅いことは、遅く気付くほど重大な不安要素になります。
就活サークルで活動している皆さんは、3年生のモグラ叩きのような瑣末な不安にいちいち付き合わず、そういうのは軽くいなしておいて、後輩が自信と余裕を持てるよう、生き方や夢、挫折と克服、できると思ったその確信、その会社に決めた理由などを語るべきではないでしょうか。
「未経験」は次から次に出てきます。「エントリー」をクリアした3年生は、次は自己分析とか業界研究を聞いてくるに決まっています。
そして、そのような「自分でもできること」を親切に教えてやることが、結果としては自主性と主体性を奪うことになり、自信を破壊するのです。
なぜか。
それは、表面的な不安を思いつくたびに優しく教えてもらい、解決したと思って安心を味わうと、そのうちに就活をなめてかかるようになり、後になるほど現実に圧迫され、「どうして?」という不安が兆してくるからです。
要するに、笑顔で手取り足取り親切に向き合うことで、「聞けば解決する」と勘違いさせてしまう、という過ちを犯してしまうわけです。まさに「笑顔の拷問」ですね、これは。
聞いて解決するなら、そもそも大学になど行く必要もありません。自ら行わない限り、失敗も達成も、自信も得られないのは人生の常識中の常識です。
僕も就職のことなんて知りません。第一、興味もありません。しかし、働き方や収益の生み出し方なら知っています。
僕は十数社から一度に「うちに来てくれ」と誘われて悩んだ経験はありますが、どうやったら受かるかで悩んだことはありません。受ける前に受かるほど仕事ができたので、こういう悩みも嫌味っぽいですがありました。
だから、サークルの講義(というものをやっています)では、一貫して働き方や楽しみ方、見方、考え方に徹してお話します。自分で考えられる素材を提供することが、学生さんの主体性や自信につながるからです。
学生さんとの相談で心がけているのは、「その学生の実力なら自分でできることは教えない」、「すぐ答えるより考えさせる」、「自分で調べさせて認める側につく」ということです。
そして、自分でやってきたことや考えてきたこと、調べてきたことを見て、「そうそう、すごい!」とか、「センスいいね!」、「よしよし、その調子。じゃあ、これも調べてみたら?」と何度かやり取りをすると、学生の表情は次第に明るくなっていきます。
年長者として大切なことは、出しゃばらずに「添え木」に徹することです。学生が元々持っている意欲や情熱を自然に引き出し、その方向を経験や見識に照らして、軌道を作っていくお手伝いさえすればいいんです。
ですから、どこのサークルでも思いつくような「外部講師を招いたイベント」や「外部イベントへの参加」は程々で止めて、どうせなら、みんなで創業史を研究したり、あるいは古典を読んだりしてはどうでしょうか。
一つ言えるのは、「共同作業」があると良いサークルになるということです。
みんなで一つの経験を共有する。難しいですが、一つでもやると何倍も結束が強くなるものです。これは目下、FUNでも基本から見直しているようですけどね。
②動員と定着について
初期のFUNが何度も空中分解しそうになった悩みです。最初はイベントをやっても、驚くほど反響がないでしょう。そして、主催者の方が参加者が少ないのに怖気付いて、遠慮したり声が小さくなったりしてしまうものです。
しかし、FUNを作った安田君は、90人部屋で参加者が2人であろうと、「今日はたくさん集まってもらってありがとうございます!」と、目の前の初対面の学生に情熱的に語りかけていました。
ここで腰が引け、4年生が「卒論があるんで」、「実は忙しい」、「本当はやりたくなかった」とか言い出したら終わりです。そういう先輩は即刻除名処分にすべきです。後輩を導く資格など、たとえ内定していようがありません。ただの老害ですね。
僕も2年半前、あまりに「人任せ」、「事なかれ主義」、「約束不履行」が多い様子に牛尾さんや隈本さんがかわいそうで我慢できなかったので、当時の4年生や3年生に、「貴様らゴミは即刻消えろ!」と言ったら、3人を残して全員辞めました。
顧問を引き受けて以来、運営に口出しをしたのは、後にも先にもこれ一度だけです。辞めた学生は散々僕の悪口を言っていたようですが、バカは嫉妬と反感で団結するのが世の常で、街中で会った時は目を逸らしてうつむいていました。
僕は知恵もお金も、学生にやる気がある限りいくらでも出しますが、不真面目な学生が真面目な学生を邪魔するのだけは許せません。頑張る人が頑張れる、そういう当たり前を継続するのが最上の動員策でしょう。
③会費と時間について
これも、活動内容によって会費に差はあるでしょうが、雑誌を作ったり市民センターの利用があるFUNは、3、4年生が3,000円、1、2年生が2,000円となっています。
しかも、お恥ずかしいことに今まで一度も、期日に全額が集まったことはありません。印刷代が遅れるたび、大月さんや4年生がキンコーズさんに頭を下げたり、僕が損失を補填したり…まだまだ未熟なサークルです。
外部講師の有料イベントを行ったり、あるいは県外のイベントに参加するサークルであれば、FUN以上の会費も必要でしょう。
そういう場合は、断固集めるか、あるいは期限を過ぎたらペナルティを課したりしてはどうでしょうか。
払わなかったり、遅延が当たり前の学生が、もしかしたらFUNでも昔そういう輩が言ったように、「会計を毎週公開すべきだ」とか「使途はみんなで決めるべきだ」と言うかもしれません。
そういう場合は、公開するなり会議するなりすればいいんですが、大事なのは「頑張る人だけ口だけを許す」というルールを確立させておくことです。これは会社であれ、どんな組織でも同じです。責任を取りたくないメンバーは、運営に口出しする資格もありません。
世の中には、「みんなのため」とか「正義」、「公正」という美辞麗句を振りかざし、その実、本当は自分だけ責任を回避し、嫌なことは他人になすりつけたり、自分の負担だけはどうしても減らしたい、と考える卑しい人間が残念ながら多いのです。
そういう人間は、たとえ学生であれ、提案を受け入れたとしても、次から次に文句を繰り出し、「自分はやることはやっている」などと卑怯な態度を見せるものですから、こういう輩もさっさと駆除した方が良いでしょう。
後輩のためになりません。
僕も昔、「小島さんが取っているんだ」とかあらぬ噂を立てられたので、オムツを着けた大学生の思考回路に興味を持ち、事実を話しました。
それは、僕が毎月損している、という真実です。
「人を疑うからには、疑った責任は取るんだろうな?おまえの考えが間違っとったら、タダじゃ済まさんぞ」と前置きして公開したのですが、知ると意味不明な言い訳をして消えました。
僕は学生さんから頂いた謝礼は、基本的にレジュメの印刷に使ったり、あるいは喫茶店でケーキをごちそうしたり、他には本を買って贈ったりするのが好きですから、得しようなんて思ってないんです。
だいいち、貧乏な学生から搾取するほど貧乏じゃないし、正しくは「学生が僕から搾取している」と見た方がよいからです。勉強になる時だけは来て、サークルを応援しないなどは、最悪の部類に属する態度です。
時間も、大雨や例外的な渋滞がない限り、開始時刻はきっちり守ることですね。カネと時間の約束が守れない人間関係が健全に発展することはありません。
「真実を話せば、あとは全て相手の問題だ」とはマーク・トウェインの名言ですが、これはどの組織でも当てはまります。堂々とやることです。良い活動をやっているのですから、自信を持って後輩を導きましょう。
④上級生の貢献について
これは、就活サークルならどこでも抱える悩みのようですね。FUNは代々、良く言えば人柄が良く、悪く言えば断りきれない4年生が代表者となって、後輩たちに尽くしてきました。
他のサークルさんはどうか知りませんが、FUNの場合は「面倒見が良く、サークルが大好き」という4年生が中心になることが多く、よく「誰が代表か分からない」という声もあるようです。
サークルの気質か、あるいはそういう雰囲気が元々あるのか、「オレが、オレが」という人はおらず、どちらかというと、人望があって経験が長い人がいつの間にかそういう立場になっている、というケースが多いです。
3年生が就活を意識し始める頃は、4年生は卒論や実習で忙しくなる時期です。そこは、FUNは規模が大きいためか、大月さんという全体をよく見渡してくれる心強いインストラクターがいるので、なんとかうまく乗り切っています。
ただ、学年構成によっても異なるでしょうが、先輩が忙しいのは大抵「後輩が手伝わないから」です。後輩が「4年であんなに忙しくなるなら嫌だ」とか言い出したら、それは見当違いだと言いましょう。
そういうのは、自分の学費や生活費を出してもらっているくせに、父親が忙しく働く姿を見て「サラリーマンになるのは嫌だ」と言うのと同じくらい、支離滅裂な発想です。
要するに「おまえが学生で、稼げないくせに親のカネを使いまくってるからだろうが!」ということです。ズボンの下には、まだパンパースをはいてるんでしょうね。
⑤下級生の勧誘と引継ぎについて
FUNは「企業取材サークル」で、決して就活だけのサークルではないため、他の就活サークルに比べて1、2年生の加入は割合多い、という声をどこかのサークルの学生さんから昔聞きました。
どの大学にも、「ベンチャー野郎」みたいな男子学生や、「キャリア志向」の女子学生がいるだろうし、また、早い時期から将来の準備をしたいという学生さんもいるでしょう。
そういう方々が興味を持つような勉強会、あるいはコンテンツを企画されてはいかがでしょうか。
ちなみに、FUNで近年起こっている現象といえば、「内定後の4年生の入部が圧倒的に多い」ということです。これはもう、FUNゼミ以外の外部講座になると、9割が4年生といってよいほどです。
内定してみて、あるいは就活を経験してみて、いかに自分が世間を知らないか、いかに仕事に求められる資質と自分の実力がかけ離れているかを知った学生さんからの問合せは、後を絶ちません。
まぁ、内定なんて、スーパーマリオの「1-1のクリボー」みたいなものですからね。
それをゴールと思って、後輩にでかい顔をする学生の神経は理解不能ですが、僕はこういう「内定後入部組・参加組」の4年生が大好きで、福大のM里君や久留米大のY口君、西南のM田君、下関市立大のF本君たちの向学心には感心しきりです。
そういう方からは、「もっと早く入っておけばよかった」という声を聞きますが、心配ご無用です。社会では、早く内定した者よりも、一人の時間に勉強できる習慣を持つ人の方が、絶対に、100%の確率で勝ちます。
内定するまで真面目であろうが、試験や解雇のような「外的要因」がないと努力しない人間は「パブロフの犬」と同種の人間で、放っておいて構いません。来年の今頃には「会社辞めたい」、「仕事がきつい」と言っているでしょうから。
今まで「学校制度」の最上級生だったのが、いきなり実社会の最下級劣等生に転落するわけですから、その屈辱と恐怖といったら、内定が決まらないどころのものではありません。
そういう人には、「余生は計画的に」と言うしかありません。結果が出せない人間は、屋台でオヤジに愚痴るか、ホストクラブで夢を見るほかないのです。それが、若い頃に手を抜いた人間に共通の運命です。
卒業まで地道に自分を成長させる4年生の姿こそ、後輩に示す最大の財産の一つでしょう。定期的に参加できるかどうか、ということは二次的な問題に過ぎません。大事なのは心が一つであることです。まずは自分から、そういう先輩を目指してはいかがでしょうか。
ということで、今日は「就活サークルの課題と展望」について、今までに僕が受けたことのある質問を思いつくままに並べて所感を述べるという、やや不思議な話題になりました。
僕はFUNであってもなくても、学生さんのそういう立派な取り組みは全国で成功してほしいと願うので、あえてテーマに選びました。
いつの間にか多くのサークルを、半ば「情報でM&A」の状態にしていたとは思いもよりませんでしたが…。
僕のメルマガは、著作権料なしに業者の方や企業の方が使っているようなので、参考になることがあったらどんどん勝手に借用していただいて一向に構いません。
マネされるより、僕が思いついて実行に移すスピードの方が、おそらく何倍も速いので、全く心配も不安もありません。メルマガの内容は、FUNゼミの講義に比べたら「残ったお茶の葉」のようなものです。
僕はただ、日本の若者に何らかの良いきっかけが提供できれば、と思ってコツコツやっているだけです。マネできるなら、どうぞマネして下さい。
「学校では間に合わない。しかし、社会に出るわけにもいかない。だったら自分たちでやれることをやってみよう」。
素晴らしい心構えです。
そういうサークルは新種の形態なので、これからも悩みは尽きないでしょうが、学生時代から「創業」に似た経験を重ねるのはとても有意義なことです。
よく「本当の自分はこんな自分じゃない」と現実逃避をする若者がいますが、本当の自分とは「今の自分」以外にありえません。
色んなサークルの話を聞くと、「組織的自己逃避代行サークル」と、「現実直視サークル」に分かれるようですね。
「今の自分が本当の自分」というスタートラインを共有できるサークルになれば、きっとうまくいきますよ。