■「内定への一言」バックナンバー編

「自分が感動するより、人を感動させる方が何倍も嬉しい」





・時は2003年3月。
・場所は祖原山ふもとの「やすだ亭」。
・登場人物 安田光良(西南法3)、小島尚貴(駆け出し社長)



(安田、行きつけのミニストップから「さみぃ」と言いながら戻る)


安田 小島さんって、やっぱりたけのこの里じゃないと認めないんですか?

小島 当たり前たい。
きのこは昭和50年生まれの点じゃ愛着を感じるけど、やっぱりお菓子と言    えばたけのこやろ。マレーシアから帰国して何より最初に買い求めたのも、たけのこやったね。

安田 そこまで聞いてません。実は、その…こんなきのこがあったので買ってきました。

小島 冬限定バージョン?…何や、これ。毒きのこみたいやね。

安田 ひでぇ~!せっかく買ってきたのに。

小島 まぁ、食べてやるか。…うまい。

安田 なんや、毒きのことか言っておきながら、食べよーもん!

小島 はい、ゴミ。…でさ、サークルの計画、できた?

安田 できました!やっぱ合宿でしょ!学生が夢を語って、聞いた学生も同じ気持ちで感動す    る。これができれば最高のサークルですね。

小島 そやね。一緒に作るものがあれば誰でも仲良くなるけんね。

安田 そうそう、そういう自分たちで作る感動ってのを、学生はもっと味わわんといけませんよ!

小島 ビデオ屋で300円で借りた感動を「学生時代に得た感動」とか言ってちゃいかんね。

安田 (昨日「北斗の拳」で感動してたくせに…)

小島 そうやろ?

安田 その通りです!で、ちょっと思ったんですが、今日は車があるので、よかったら油山に行きませんか?

小島 夜景なら展望台より正覚寺やね。

安田 いえいえ、行きたいのは青年の家です。あそこが僕の合宿のイメージに近いんですよ。行ったらアイデアが湧くと思うんで、行きましょうよ。

小島 じゃ、たけのこ買ってから行くか。

安田 行きましょう!


(二人、「安田ベンツ」に乗り込み、一路油山を目指す)


安田 着きました!

小島 時々はこういうとこに来るもんやね。

安田 中入っていいらしいですから、行きましょう!

(青年の家に入る)

安田 夏休みはまだ予約入ってないらしいですよ。

小島 じゃ、予約しとく?

安田 まだ部員がいません!ていうか、サークルができてません。

小島 じゃあ、作ったらすぐ予約したらいいね。

安田 よしよし…天下ってきた…!

(執筆者注:安田語「天下る」は役人の再就職ではなく「良いアイデアや言葉が天からダウンロードされるプロセス」を指す)

小島 どんなイメージ?

安田 福岡中の学生が荷物抱えて集まって、みんなで名作を読んで気持ちを整えて、初日の夜から大学、学年別のプレゼン担当者が「夢のプレゼン」をするんです

小島 いいね。人の夢を聞く時は、素直に聞けるように先に心を落ち着けた方がいいよ。「美を求める心」か「日本的情緒」、「後世への最大遺物」とか読んだら、言葉の受け止め方が研ぎ澄まされるやろうね。

安田 僕なら「美を求める心」ですね。高校時代に読んで感動しました。あれは何歳になっても読めるし、短いから輪読にも最適です。

小島 学生には会ったことないけど、どうも「世間がイメージする学生」みたいなのに自分を合わせようとしてるのか、言葉が浅い気がするよ。心からほとばしるような言葉で語れば、そりゃすごい共感の世界が生まれるやろ。

安田 そうなんですよ。学生だって、何も好き好んで怠けてるわけじゃないんです。誰だって今の自分でいいなんて思ってません。でも、夢とか話し出すと、1分くらいで話題が変わってしまうんです。

小島 もったいないことやね。

安田 茶化したり、しょうもない話題に変えたりして、本当はお互い語り合いたいはずなのに、そういう大事な話に限って続かないことも多いんです。

小島 その先を聞いてくれる仲間か、話せる環境があれば、毎日どんどん成長できるのに。

安田 だから、そういう時間を共有したいんです。極端な話、僕が4年生の間は、合宿だけできれば成功ですね。運営のソフトはこれ以外にアイデアがありません。

小島 まぁ、教える方は公務員試験以外なら何でも担当するよ。とにかく、「次の合宿が楽しみ」って言える終わり方ができるサークルを作ることやね。

安田 絶対に作ります!

小島 それにしても寒いね。

安田 チャンポンでも食べに行きましょうか?

小島 じゃ、大橋に行こう。

安田 (うっ…。七隈の方が近いのに、さてはブックオフ狙いだな)

小島 大橋でいい?

安田 了解!

小島 そう言えば、大橋のブックオフには最近行ってなかった。

安田 (最近って…先週行ったくせに)

小島 ちょっと見に行こうか?

安田 了解!


(二人、大橋に向かう)


安田 …それにしても、高校生が多いですね。

小島 筑紫丘やろ。

安田 ああ、進学校ですよね。

小島 昔、フクトのテストでお遊びで第一志望にしたら、ぶっちぎりのE判定で「かなりの努力が必要です」とか書いてあって、先生からも「筑紫工業と間違ったのか?」とか言われたね。

安田 僕の高校も、「センター試験」なんて言葉は聞くことすらなかったです。

小島 おれも。まぁ、将来ここから卒業した学生が安田君のサークルに来るかもしれんよ。

安田 じゃ、やっぱりマリンメッセを予約しときましょうか?

小島 いや、福岡ドームやろ。

安田 あ、本を売るならブックオフ♪が見えてきましたよ。

小島 本を買うならブックオフ、やね(大急ぎ…)。

安田 友達に読ませたい本がたくさんあります…。みんな、こんな本読んだら絶対感動するのに。

小島 じゃ、おれが将来は学生を連れて、市内のブックオフをイナゴのように渡り歩くことにしよう。

安田 もうちょっと人聞きのいい言い方はないんですか?

小島 あ、絨毯爆撃かな。安田君のサークルで名作を買い占めて、図書館作ったらいいよ。

安田 それにしても、見れば見るほど学生と読みたい本がいっぱいありますね。何回合宿せないかんっちゃろ。

小島 何回でもやればいいよ。初回が良ければずっと続くけん。

安田 じゃ、そういうスタートを作って卒業しましょうかね。

小島 それが「後世への最大遺物」やん。安田君が社会人になったら、発足時を知らん学生たちが、「あの安田さんですか、会いたかったんです」って行列ができるよ。

安田 ってことは、サインの練習も始めないといけない、ってことですね。

小島 おう。あのエントリーシートみたいな字じゃサインが読めんけん、習字教室にも通った方がいいよ。

安田 いちいち一言多いですね…(怒)。

小島 「安田さん、ありがとうございます!宝物にします!…でも、何て書いてあるんですか?きれいすぎて読めません」とか言われたらどうすると?

安田 「偉大な人物の字は、みんな読めないものなんだよ」って言います。

小島 じゃあ、偉大になるか習字教室か、どっちかせんとね。

安田 いやぁ~、合宿が楽しみですね!

小島 絶対やろう。サークルはいくらでも応援するけん。


(二人、やすだ亭に帰る。回想終わり)




…という車中の会話から3年半を経た2006年9月。ブックオフの近くの筑紫丘高校出身の九大2年・T君を委員長に、今宿野外活動センターで、第12回合宿が開催されました。

僕は11回目から何も発言せず、それ以来ずっと聞く側、見る側に徹して、今年、FUN発足から3回目の夏を迎えました。

油山とは若干場所が変わったものの、夏の涼しい山に学生さんたちが集い、ある学生さんは泣きながら夢を語り、ある学生さんは泣きながらメモを取る…という場面を見て、ぼーっと3年半前を振り返っていました。



僕は本当に何もやっていなくて、ただ参加するだけなのが申し訳ない気持ちでしたが、ずっと学生さんたちの姿を見ていて、この場にどれだけの思いが詰まっているのだろうかと、感慨深く眺めてばかりでした。

最初から最後まで感心したのは、準備や配慮がきめ細かく行き届いていたことです。学年を問わず、必要な作業が見つかると一番近くの人がどんどん手伝うし、時間は整然と守られてスケジュールが進行するし、お見事の一言でした。

西南のF君、九大のM君、福大のMさん、西南のI君の、準備に準備を重ねたプレゼンは皆聞き応えがあって、一言一言が全人生を反映しているかのような若さと深さに裏打ちされ、心にしんみりと伝わりました。



もしかしたら、中には「そんなに感動するってなら、ひとつ参加してやろうか」という方がおられたかもしれません。

でも終わってみれば、誰かの言葉やさりげない配慮、行動、準備が誰かを喜ばせ、感動させていた合宿でしたね。

僕は終了間際、営業塾の準備でこっそり抜けましたが、帰り道もただ感動に浸りつつ、一人一人の顔を思い出しました。

目つきや顔つきがまた一段と引き締まり、皆素晴らしい表情で、ここからやっとサークルらしくなるんだろうなというワクワクが、あれからずっと残っています。



大学に行かないよりも、行った方がいい。
せっかく4年過ごすなら、何もやらないよりも、何かやった方がいい。
何かやるなら、感動しないよりも感動した方がいい。

でも感動しても、一人だと投げ出したり忘れたりしてしまうこともある。だったら、感動するなら、仲間がいないよりもいた方がいい。仲間が喜んでくれるなら、もっと頑張ってもいい。

つまり、自分が感動することよりも、人が感動する方が嬉しい。ということは、友達の感動のためなら、いつも以上の力を出せる。いつも以上の自分になれるのが、本当の夢。

あんなに頭で考えて「遠くにあるもの」と決め付けてた夢は、実はこんなに近くにあった…。

と、一足早く自宅に着いて、さっさとパソコンにメモしました。



学生時代に色々「途切れた」と思っていたものは、実は何一つ、入学時から途切れたりはしていなかったんですね。1泊2日、ちょっと本気になるだけで、過去も未来も、最高の自分を思い出して描けるんですね。

本当に素晴らしい合宿でした。陰で細かい作業を笑顔で引き受け、後片付けや会場準備を頑張った皆様、本当にお疲れ様でした。企画段階から積極的に関わり、友達の感動のために努力した皆様、本当にお疲れ様でした。

一人が全員を盛り上げ、全員が一人を応援する、そんなサークル活動を、これからは誰にも遠慮せず、みんなの力で作り上げて、また冬に合宿で語り合いましょう。



「たった1日」を馬鹿にしてはいけません。『美を求める心』を借用すれば…



~「一日で何ができるか、と人は言う。だが、一日の長さや深さをよくよく味わってみるのは難しいことだ。諸君は試みに、一日の長さを本気で味わってみればいい。

一日の間にどれほど多くの感動が得られることか、どれほど多くの友達を感動させられるか、見えてくるでしょう。そして友達を勇気付けられる一日が、どんなに長いものか気が付くでしょう。

味わうことは知ったつもりで語ることではない。言葉は行動の邪魔になるものです。例えば、ある友達が取材に行こうと誘ってきたとする。聞けば、それは金融業界の取材だと分かる。

なんだ金融業界か、と思った瞬間、諸君はもう、金融業界の事実も可能性も描くのを止めるでしょう。諸君は心の中でおしゃべりをしたのです。金融業界という言葉が諸君の心のうちに入ってくれば、諸君はもう目を閉じるのです。

本気で一日を過ごすというのは、難しいことです。友達は一生の希望と大学生活の劇的変化を託して取材に行こうと言ったのです。そうして語られた取材という言葉は、その友達が語ったのと同じ思いで聞かなければ、その美しさが見えないのです。可能性を感じに行くのだから、平凡だと分かっている取材やゼミでも、飽きないのです」~

となるでしょう。(昨夜は「ベビースター」バージョンで語っていましたが…)



落ち込んだら、友達を励ましましょう。
悩んだら、後輩を勇気付けましょう。
困ったら、先輩を応援しましょう。

そうすれば、自分がどれだけ大切な人間か、たちどころに思い出すでしょう。FUNにはそういうソフトは全て揃っています。あとは今、ここで本気になるだけですね。

T君、運営スタッフの皆さん、学生の皆さん、過去と未来が同時に見えた素晴らしい時間を、本当にありがとうございました。今後、僕もより一層の覚悟で、サークル活動をお手伝いさせていただきます。