■「内定への一言」バックナンバー編
「過去が未来を作るのではなく、未来が過去を作る」(テッド・ターナー)
皆さんは、CNN(Cable News Network)という会社を知っていますか?世界で初めて「ニュース専門の24時間放送」を成し遂げたアメリカのテレビ局ですよね。その創業者がテッド・ターナーです。
スポーツチームを任せれば、フットボール、野球で人気チームを育て、スポーツをやらせれば世界最高峰のヨットレース、「アメリカズ・カップ」で優勝し、プライベートでは女優のジェーン・フォンダと結婚し、「アメリカンドリーム」を最も完全な形で達成した20世紀アメリカのヒーローとして、世界中にその名を知られる実業家です。そのターナーは、どうやってCNNを作ったか。
それが、学生時代の僕の最も大きな関心事の一つで、僕も将来、日本にアジアを代表する通信社を作ろうと、彼の伝記(「テッド・ターナー~CNNを作った男~ ポーター・ビブ著/ASCII」)を読みふけりました。
正しい情報が伝わらないばかりに、先入観や怨嗟で相手を攻撃し、無用の争いを繰り広げるアフリカの悲劇を知った大学生のターナーは、ある日、新たな事業構想を着想しました。
「24時間ニュースが放送できるテレビ局を作れば、戦争を未然に防げるはずだ。それに、今のメディアは広告主の召使になっていて、論評も全く面白くない。自分が世界の指導者や各界のトップに会えば、もっと本格的なインタビューができる!」と。
そんな彼の話を聞いた友人や知人は、そろって「また変なこと言ってるね」とか、「悪いことは言わないからやめておけ」と相手にしません。大成功を収めたターナーが、この創業当初を振り返って何と言ったかは、メルマガのNo.66で紹介しましたよね。
ターナーはこのような強靭な精神力を持つ事業家ですが、その考え方の特徴として、多くの起業家や成功者がそうであるように、「逆算発想」を基調にして将来を考えています。「逆算発想」とは、「結果を先に考えて行動計画を作る」という考え方です。
例えば、今毎月5万円貯金できる人が、「毎月5万の貯金かぁ。じゃ、200万円貯めて車を買うのは、40ヵ月後だな」と考えるのは、逆算とは呼びません。逆算なら、「200万円を2年で貯めるには、どうしたらいいか?年100万なら1ヶ月に約8万円だ。ならば、あと3万円多く貯金するには、○○をしよう!」と考えます。
「成功する」とは、3年ほど前にFUNでも話しましたが、「決めたことが思い通りに進む」ということで、「思い通りに進む」とは、「思った」ということです。だから、「最初に何を思ったか」が、その後の全ての行動と結果を、最初から決めてしまうわけです。
よく、「口より行動が大事だ」とか、「考えるよりもまず実行」と言われますが、明確な成功のイメージがないのに行動しても、大した成長はないでしょう。ただ闇雲に行動を尊重するのは、馬鹿の一つ覚えとあまり変わりません。想像や計画は、がむしゃらな行動よりも、もっと大切です。人は「今の自分の環境や実力」を基準に将来を描いても、成長も成功もできない、ということです。
でも、ほとんどの人は、そういう考え方をしている自分を不思議にも思いません。「私は点数がこれくらいだから、この大学かな」とか、「自分の大学だと、これくらいの会社かな」とか、「自分の性格や経験を考えると、営業は向いていない」と考えて、本当にそうなります。場合によっては、それ以下にもなります。
このタイプの思考は、疑いなく「過去(今の自分)が未来を作る」と信じていることが前提になっています。というか、現代の青少年は物心ついた時から、「おまえの成績じゃ、○○高校には行けない」とか、「偏差値○○なら、○○大学だ」と、「今が未来を作る」という思想に洗脳されているので、若者も今の学力、知力、適性をもとに将来を描くのが当然だ、と考えています。
しかし、ターナーに代表される実業界、スポーツ界、芸術界の成功者たちの中で、「今が未来を作る」という考え方をした人は、1%もいません。つまり、「今が未来を作る」と考えた人は、99%の確率で失敗する、ということです。
ターナーは自分の事業人生を振り返って、「過去が未来を作るのではなく、未来が過去を作る」と言っており、「過去が未来を作る」という考え方を否定しています。つまり、「今のあんたの成績じゃ…」とか、「偏差値○○なら…」という考えは、「間違っている」と断言しているわけです。
では、ターナーはどう考えたのか?ターナーは無名大学に入ったから、無謀な着想を得たのではありません。ターナーは巨大な目標を描いたからこそ、大学に入ることができたのです。
彼は最初にボロテレビ局しか作れなかったから、巨大メディアと競合しない事業計画を描いたのではなく、巨大メディアにもできない大事業を描いたから、最初は斬新な局を作ったのです。
つまり、彼の描いた「未来」が、順番の近い計画から一つずつ消化され、「過去」になっていったわけです。一つ一つ取り組んでいって、そのたびに「これくらいか」と考えたのではありません。
例を挙げましょう。あなたは学生時代、絶対に「自分の力で100万円貯金して、世界旅行をしたい!」という夢(未来)を描いたとします。あなたはその決意に基づき…
1ヶ月目は、カラオケや宴会をやめ、無駄な出費を2万円、節約しました。
2ヶ月目は、バイトを増やし、毎月余計に2万円貯金できるようにしました。
3ヶ月目は、英会話を習うための時間を作ろうと、早起きするようになりました。
4ヶ月目は、さらに語学を学ぼうと、レポートを3日以内で仕上げるようになりました。
5ヶ月目は、この調子だと、どうやら150万円は貯金できそうだと思いました。
…という過程を考えてみると、「過去が未来を作る」、「今のおまえじゃ○○程度」という、世の中のメジャーな教えは、ターナーの言う通り、「全くの嘘っぱち」だということが、よく分かります。
最初に「100万円貯めて世界旅行」という「未来」を決めたからこそ、その決意に基づいて過ごした日々が、明確な手応えと結果を残した「過去」になっていますよね。しかも、得られたのは「お金」だけではありません。
「学生時代に何としても100万円作り、世界旅行を果たす」という「未来」にこだわった成果として、強い意志力や集中力、目標を上方修正する自信や余裕さえも、手に入っています。「自分の変化」が生まれています。まさしく、「未来が過去を作った」のです。
ということで、学生の皆さんも、ターナーのこの考え方を参考にしてみてはどうでしょうか?
僕の顧問としての3年足らずの見聞から考えても、学生の皆さんもやはり、「今が未来を作る」と思い込んでいるように見えます。
「私、実は受験に失敗したんです。だから、○○は諦めました」
「本当は○○大学に行くはずだったんです。でも、落ちました」
「本当は留学しようと思ったんです。でも、○○という事情で…」
「だから、○○くらいがちょうどいいんじゃないかと思うんです」
はいはい、そうですか。誰も「だから駄目」とか言っていないのに、人は自分で自分を邪魔し始めたら、もう誰もその人を応援できないものです。そういう答えは、「その人は、それくらいの結果で夢を投げ出す人間だ」ということを示すに過ぎません。
そして、「過去が未来を作る」という哲学を、これでもかと言わんばかりに、強烈に信じ込んでいるのでしょう。やはり、人間は「思った通り」になるんですね。
賢明な読者の皆さんは、「私の夢は、このたびの失敗や誤算に際して、どういう行動を求めるだろうか?」と考えましょう。そして、そういう逆境においてこそ、「未来が過去を作る」と念じ、乗り越えていきましょう。
「自分は絶対にやり抜くんだ!」と決意した瞬間、一つの「過去」が生まれます。それは、「屈せず、再起した」という過去です。ほら、やっぱり「未来が過去を作る」の通りになっていますよね。
さすがに大成功者だけあって、人生のあらゆる場面に当てはまる深い哲学を、見事に、かつシンプルに言い当てています。この心構え、真似するのにお金はかかるでしょうか?苦労は必要でしょうか?それより、「過去(今)が未来を作る」と考えて生きる方が、よっぽど大変ですよね。
就活でも、生き生きと未来の自分を描きましょう。そうすれば、いつでもどこでも、的確な判断が下せます。夢があなたを、行きたいところに導いてくれます。変えるべきは「目標」ではなく、「自分」です。大事なことって、いつもシンプルなんですね。