■「内定への一言」バックナンバー編
「失意の中にある人ほど、大事にしてあげなさい」(藤田田)
日本マクドナルドとトイザらスという、二つの世界的巨大ブランドを日本に根付かせ、「勝てば官軍」、「ユダヤの商法」、「頭の悪い奴は損をする」、「天下取りの商法」など、挑発的な多くのベストセラーを世に送り出し、二年前に逝去した名経営者・藤田田(ふじたでん)さん。
世間では「カネの亡者」、「金儲けの教祖」のような間違ったイメージで見られがちですが、どんな場合でも、評論や評価よりも、本人の著書や発言録を直接確かめなければ、本当の事実は分かりません。これほど祖国を愛し、私利私欲を超越して国家経済の未来を思い、大胆な発想で時代の試練に挑戦した経営者は、世界にも稀だと僕は感じています。
藤田さんの生い立ちや天才的な経営センスは、上記の著書に譲るとして、毒舌の中にも、この人一流のさりげない思いやりが隠されている数々のエピソードに、僕はいつも感動します。とにかく、スケールが大きく、最初は「何を言っているんだ?」、「世の中をバカにしているのか?」と思ってしまうほど破天荒な発言が目立ちますが、誰にも真似できない思考や論理プロセスは、死後も多くの経営者を惹き付けてやみません。
藤田さんが繰り返し繰り返し主張している「儲けの極意」は、「大衆と逆のことをする」ということ。字面で見れば、簡単に分かるような気がするかもしれません。しかし、本当にそうできる人は稀です。だから、本当に裕福な人も、人口の五%しかいないのでしょう。
「みんなが見放し、愛想を尽かして、もうあいつはダメだと言われているような人にこそ、心からの関心と愛情を寄せるべきである。彼は恩義を終生忘れず、あなたに報いようと、大きな力を発揮することになるだろう」(「大物たちの頭の使い方」竹村健一・太陽企画出版)
「恐慌だ、暴落だと大衆が騒いでいる時こそ、チャンスをタダ同然で手に入れるチャンスである」(上掲書)
「社員一○○人のうち九五人が反対したら、その計画は間違いなく成功する」(「ユダヤの商法」)
などなど、一九七○年に書かれた本とは思えないほど、先見性のある発言がポンポンと出てきます。
例えば、ある「まじめな友達」がいるとしましょう。彼はその特性と勤勉さを生かし、入社五年でトップ営業マンになりました。トップになったら、あっちから人々が付き合いを求めてやってきます。「トップだから」です。
しかし、彼は学生時代、うだつの上がらない青年でした。あなたはその彼に目をかけ、「君はトップ営業マンになれるぞ」と励ましたとしましょう。誰も相手にしない一学生を気にかけ、まだメリットもないうちから大切にし、丹念に育て上げた「恩人」として、五年後、トップ営業マンになった彼に会いに行く時、彼は誰よりもあなたを優先するでしょう。
つまり、人も会社も、「今の姿と付き合うな」、ということです。渋沢栄一や吉田松陰、福沢諭吉、が今もって「大人物」と尊敬されているのは、浅野総一郎や高杉晋作、松永安左エ門が大事業を起こし、成功してから知り合ったからでしょうか?
違いますよね。渋沢は事業に失敗し、多額の借金を抱えて「損一郎」と呼ばれていた若者だった浅野を大切にし、松陰は血の気の多い青年・晋作に古典を教え、福沢はバクチ好きで女遊びに熱中していた松永を引き立てました。
周囲の人が「あいつはバカだ」と相手にしなかった頃に、その可能性を見抜いて若者を大切にしたからこそ、その門下から輩出された数多くの大実業家が、その人脈と財産、政治力をフル稼働させて、「私が今あるのは、渋沢(松陰、福沢)先生のおかげである!」と宣伝しまくったのです。
偉大な実業家でもあった彼らは、教育者としても「先物買い」の超名人でした。
ところで、僕が「学生サークルのお手伝いを週に二回引き受けている」、それも謝礼は月額一人六○○円だと言うと…
友達一○○人のうち五十人は、「ふ~ん、頑張るね。でも、カネにならんやろ?」と言います。
三十人は、「立派なことだね」と言います。
十五人は、「学生とかガキやない?」と言います。
しかし五人は、「学生は素晴らしい!」と言います。
最後の五人は、僕が今、なぜFUNの顧問として頑張っているか、よく理解してくれます。サークルのことを詳しく話すのは、彼らだけです。僕は「未来の逸材」を見つけるため、せっせと週二時間の時間を投資しています。
今は何も知らず、感情の浮き沈みも激しく、就職活動で一喜一憂しているような若者でも、いつまでも学生ではありません。他の学生が寝ていたりカラオケに行っていたり、あるいは家でゴロゴロしている時間に、取材やビジネスの勉強などに月千円ほどを投資して、早朝から約束を入れることのできる学生は、はっきり行って、「仕事だから」とか「会社だから」と言って働く社会人より、よっぽどすごいです。
「東京三菱銀行の○○」とか、「慶應卒の○○」、「三井物産の○○」と、ラベルを見ないと人を判断できないのは、藤田さんの言葉を借りれば、「全てを高値で掴まされるだけの、救いがたいバカ」。
皆さんの周りにも、いちいち大学名を聞かないと、「頭いい」とか「頭悪い」と判断できない人がいるでしょう。そういう人の目は、節穴です。無視して差し支えありません。
本当に目利きができる人は、その人が「どうであるか」よりも、「どうなるか」を想像し、まだ他の人が相手にしない頃から、大切にするのです。
「高額納税者ランキング」を見て下さい。リストに載ると、高級車販売店の営業マンや結婚相談所、宝石店、旅行代理店、証券会社、銀行の営業マンが、ハイエナのようにその人に日参を始めます。
しかし彼は、「おまえら、儲けてから来るな」と一蹴します。そういう分かりやすいサービスは、既に「手遅れ」だということです。
本当に彼が伸びる人材だと見込んだ人は、彼がランクに入る何年も前に、しっかりと応援の土台を作っています。
同様に今、必死で先取りに力を入れる学生は、五年も経てば頭角を現し、十年も経てば業界でもかなり知名度の高い人間になっているでしょう。
僕は高校時代の同級生を見て、ミーハー&試験だけの優等生が、ほとんど全員「サラ金通い」をして見栄を張っているのに対し、コツコツ頑張ってきた人が頭角を表しているという現状を、今、三十歳を目の前にしてしっかりと確認できています。
同じことは、十歳ほど年下の現在の大学生にも、必ず起こります。僕は「未来の成長株」を、今、毎週育てているのです。謝礼が六○○円だろうが、そんなことはどうでもよく、本当の狙いは「将来の事業パートナーを採用する」こと。
ダイヤモンドを百貨店で買うと、数百万円します。
卸価格で買い付けると、数十万円で買えます。
原産地で原石を採掘すると、数万円で買えます。
重さ1トンのトヨタ車を買うと、三○○万円します。
重さ1トンの鋼板を韓国企業から買うと、三○万円します。
重さ1トンの鉄鉱石をオーストラリアの鉱山で買うと、三万円します。
人材も同じ。僕は「百貨店のダイヤ」はいりません。それは買うものではなく、売るものです。「原石」を発掘するのが、一番楽しいのです。
「学生」と聞いたら「カネがない」、「横着」、「無知」、「世間知らず」と軽視するのは、ダイヤの鉱山が目の前にあるのに、わざわざ百貨店に足を運ぶようなものです。
僕はそういう、「メジャーなのが好きで、みんなが使っていると安心して、今ウワサの…と言われたら迷わず買う」というような、賢い頭の使い方ができません。マイナーで誰も光を当てず、うさんくさくて、意味不明で、この先どうなるかも分からないような人、会社、ビジネスが好きです。
「小島さんのおかげ」という元フリーターが五十人、社会人が二百人、新卒が二十五人…。僕は「水面下で見落とされている人」ばかりを応援してきたおかげで、今、将来の計画を遂行するうえで何より貴重な「人材」と「人脈」を、確実に増殖させています。
そのネットワークは企業経営者や保護者にも広がり…。毎月、毎週、毎日、身に覚えがあったかもしれない情報、時間、お金が続々と振り込まれています。(振り込め詐欺ではありません。れっきとした報酬です。)同じ努力をあと五年も遅れて彼らに提供していたら、「あんた誰?」、「そんな知識はいらん」と言われたことでしょう。
しかし時間を遡ることで、情報や人脈に絶大な付加価値が生まれるのです。
皆さんも、今落ち込んでいる人、伸びそうな人、目立たないところでコツコツ頑張っている人と、寝る間を惜しんでしっかり仲良くなっておきましょう。将来、莫大な時間とお金を節約することができるでしょう。こんなに素晴らしい投資が、ほかにあるでしょうか。
僕が学生と一緒に毎週勉強しているのは、将来一緒に働くかもしれない一生の友人を、今のうちに作るためです。僕は不毛の人材争奪戦や、多額の広告料金に余計な時間・コストを割きたくありません。そんなのは想像力不足の手遅れ人間がやる壮大な無駄です。
だからこうして、誰もやらない「サークル顧問」をやっています。
目に見えるものを買うのは手遅れ。いつも人と会う時は、その人の可能性を見抜き、誠心誠意尽くし、一つの行動を全力で共有し、経験を思い出に変えていきましょう。
辛いときほど、友達を応援しましょう。うまくいかない時ほど、うまくいっている人を褒め称えましょう。
では、今日の最後に、FUNでも大人気の名著『人を動かす』(D・カーネギー、創元社)から、役立つエピソードをご紹介…
周辺国との戦争に国力を総動員し、あえなく敗戦したプロイセンのウィルヘルム二世は、全ドイツ国民から「退位しろ」、「死んで償え」、「国家の恥」と軽蔑、中傷されました。そんな中、ある少年が皇帝に手紙を書きました。
「親愛なるカイゼル(皇帝陛下)、僕のカイゼルに対する忠誠心は、今も少しも変わりません」。
皇帝は涙を流して感動し、後にこの少年の母と再婚し、余生を過ごしました。皇帝に気に入られた少年が、その後の人生でどう活躍したかは触れられていませんが、人を動かす極意として、よく引用される有名なエピソードです。
「あの時、まわりはみんな○○だったけど、あなただけは違っていた」と言われるために、失意の中にある人を大事にしましょう。空回りしている人の伴走者になりましょう。きっと、素晴らしい人間関係が生まれ、将来にわたって支え合う人脈になるでしょう。