■「内定への一言」バックナンバー編
「自己管理できる指導者には、部下の管理は不要」(石坂泰三)
その②
赤ちゃんが5歳になっても、まともな日本語がしゃべれなければ、親が悪いに決まっています。「一番使えないのは、社長、あんたの頭じゃないの?」と、暗にメッセージを送りつつ、ここから僕の営業が始まるわけです。
ここで、法人営業3,000社以上の経験から導き出した「ナメられている社長・ワースト5」をご紹介しておきましょう。
1位…社員の顔が、出勤時は暗く、退出時は明るい。
2位…社員の自慢が「社長以外の話題」で占められているか、ない。
3位…若者のミスを、若者のせいだと信じて疑わない。
4位…自分だけを例外とし、休みの多さと理不尽さを特権と思っている。
5位…会社の危機を知った社員が、「ざまみろ社長」と喜ぶ。
「魚は頭から腐る」とも言うように、部下が愚かならまだ救いはありますが、トップが愚かだと全員の悲劇ですね。
そもそも、全ての間違いは「自分は動かずに、部下だけを動かそうとする」という傲慢な姿勢にあるのではないでしょうか。部下は上司の動きの奥に潜む「隠れた基準」を察して、自分の行動範囲や質を決めるものです。その基準は、「ここまでやれば、叱られないだろう」とか、「ここまでやっておけば、悪くないレベルだ」といった消極的なものもあるでしょう。
しかし、部下が基準になることは常識的にありえないので、会社で起こるモチベーション低下は、上司、ひいては社長に全責任があります。
ということで、結論。
「社員の働きが悪い会社は、社長の働きが悪い」。
こう言うと、「おまえに何が分かる!」と言う社長さんもいます。しかし、怒らせたら僕の勝ち。そもそも、当たってるから怒るわけで、感情的になった瞬間から「営業アリ地獄」に自ら遊びに来てくれます。
ここで、良い会社の社長の姿も併せて見てみましょう。「慕われる社長・ベスト5」は…
1位…社長が誰よりも熱心に夢を追って動いている
2位…社員が「社長に申し訳ない」と自発的に動いている
3位…命令なく上司が部下をかばい、部下が上司を手伝う
4位…社長が「失敗は自分のせい、成功は社員のおかげ」と思っている
5位…社長は社員を、社員は社長を「自慢の種」として語る
というものです。
お分かりですか?社長が誰よりも一番働いているのです。そこには、何の権力の誇示も命令も存在しません。なにせ、「夢」と「お客の笑顔」が命令なのですから。あるのはただ、「感謝」、「謙虚さ」、「情熱」のみ。
社長自らトイレ掃除をしたり、お茶を汲んだり、部下の雑用を手伝ったり、家族の安否を気遣ったりしている会社では、社員が信者のように働いています。
そんな会社にはもちろん、「疲労」や「愚痴」は存在せず、社員は「ここで働けて幸せ」と臆面もなく言います。どれだけ若くても。そういう会社の新人は、FUNの学生のように、目が違います。
第一生命の社長を務め、のち東芝の社長に転じて、その後は経団連の会長として「財界総理」と呼ばれた石坂泰三さんは、リーダーシップの本質を、以下のように語っています。
「自己管理できる指導者には、部下の管理は不要」。
上に立つ者が、職掌や責任に準じた行動を示していれば、幹部社員や部下も自然となびき、皆が自分の持ち場で情熱的に働く、ということですね。部下にあれこれ命令し、その出来具合を不満そうに批評する上司ほど、部下がいないところではサボっています。
見られていようがいまいが、その人間がどれほどできるか、あるいはどれほど本気かは、大学という「怠け者の海」で過ごしてきた新卒には、逆によく分かることです。
なにせ、あの大学とかいう場所は、「頑張っている人が目立ってしまう」という、社会主義国家顔負けの異常な環境なのですから。カネをもらって手を抜く教授に全責任があるのは、分かりきったことです。
若者は、「この人についていきたい!」と思ったら、早朝からでも自発的に起き、積極的に取り組むものです。別に社長に管理されているわけではないのです。だって、自分で自分を管理しているのですから。
FUNの発足時、リーダーの安田君は、どんなに平凡な作業や雑務でも、自ら率先して全てをやっていました。確認したことが1日以上放置されたことは、一度もありませんでした。また、後輩が何度質問してきても、嫌な顔一つせず、自分の睡眠時間を削ってまで、懇切丁寧に編集や取材方法を教えていました。
そんな安田君が「ビラ配りに行くぞ!」と呼びかけると、日焼けが嫌な年頃の女子大生が「私もついていきたいです!」と、何をするのか分かっていない学生も含めて、ゾロゾロとついてきたものです。
感動した安田君が「おまえたち…」とアイスクリームをごちそうしようとすると、「アイスクリームを買うお金があったら、ビラをコピーして下さい!」という、筑女の1年生からの声が。全部自費、ノウハウも分からない、経験もない…という状態から、FUNが不動のサークルになった原動力は、安田君の熱意以外に考えられません。
涙もろく、情に篤い安田君は、今でも会うたびにこのエピソードを語っては、幸せそうな顔をしています。こういう姿が、本物のリーダーですね。だって、一度も命令せずに、後輩たちの全力を出し切らせて、笑顔にさせたんですから。
だから、年々環境が充実していく中、毎年FUNの4年生には安田君以上の努力を期待したいところです。後輩たちの姿は、先輩の努力に比例します。言いたいことがあっても、年を弁えて我慢しましょう。そして、自分のやるべきことに、真っ先に集中しましょう。
そういう真剣な姿があれば、管理の言葉など不要ですよ。FUNも4年目。もう一度、原点に帰って芯を鍛え直す時期ですね。