■「内定への一言」バックナンバー編


「ウチが安売りだと文句を言う奴は、経営努力が足りんのだ」

(藤田田)



最近買った本の中でも、最も入手が厳しく、ずっと読みたかったのに見つけることさえできなかった幻の本「ブックオフの真実」(坂本孝・日経BPを読み終えました。



なぜ入手が厳しいかと言えば、モノが「本」だけに書籍流通ルートを通じて流れるから。もし、総合商社や専門商社が本を扱うのなら話は別ですが、書籍は一般の商品と比べて、独自の流通経路を持っています。



そして、その流通経路を通じて流れる「本」が、あらゆる出版社・書店から最も忌み嫌われている会社「ブックオフ」を話題にしているとしたら?それはもちろん、書籍流通商社や他の商社に頼らないルート、つまり「お客による仕入れ」を待つほかありません。



2週間ほど前、大名のある古書店に行きました。そこはそこで、僕の好きな社会評論や近現代史の名著などが充実していましたが、お店に入るなり

「当店はブックオフ好みの若者向けの本は一切置いていません。入店の必要なし」
「ダラダラ暇潰し目的の入店は禁止」
100円コーナーは1冊だけの購入は禁止」

という貼り紙が。ブックオフを恨むのは明らかに筋違いだと思いましたが、それにしても、古書店の店長の気持ちは、大なり小なり、似たようなものでしょう。



だから、「こげん本屋で手に入れにくい本って、あるっちゃろーか?」と思いながら、読みたいなぁと思い続けていたら。あれは、美人女子大生3人と、「隠れ(なら書くな)ブックオフツアー」に行った、ある昼下がりのことでした。お目当ての本を探し、帰ろうとしていた僕の目に(こともあろうにそこは博多の「ブックオフ」)、この本が飛び込んできたのです。



僕は迷わず、またレジに向かい、その本を出しました。店員さんは「なんじゃ、こりゃ?」といった顔をしていましたが、無事に買うことができました。こうして、最も流通経路が不明・独特で、規制と再販制度に守られ、価格破壊が起こしにくい業界である「出版業界」に、革命的変化をもたらした創業社長の著書が、FUNにもたらされたわけです。



マクドナルド(藤田田)、ダイエー(中内功)、松井証券(松井道夫)、ダイソー(矢野博丈)、マツモトキヨシ(松本和那)、H.I.S沢田秀雄)、ブックオフ(坂本孝といった、価格破壊の旗手たちの著書は、目に付く限り入手し、読んできました。


皆、アイデアで勝負し、世論を味方につけるのがうまく、口だけでなく体ごと消費者の視点に立って事業を育てた、名経営者です。



そして、発言がことごとく人を食っていて、競合他社など「眼中にない」という傍若無人ぶりが、さらに共感を呼びます。群れず、媚びず、わが道を行くというスタイルが、僕のお気に入りです。



僕はバッシングが好きです。無料で宣伝してもらえるなんて、こんなに有り難い宣伝があるでしょうか。臆病者は群れないと反対意見すら言えないので

「あいつはむかつく」

「一度懲らしめてやらんといかん」
「いずれ気が付くさ」

と周りが言えば言うほど、お客はその本質を確かめたくなります。同業他社からバッシングを受けたら、その事業は成功すると見て間違いないと感じます。



広告、教育、出版、旅行、不動産僕がいずれ「価格破壊」を試みている業界の友達に事業計画を話すと、「おいおい、そんなことやったら、ウチの商売が終わる」と本気で怒ります。



なぜ怒るんでしょう。お客さんは「そうなったら嬉しい」と言ってくれるのに。だったら、マネすればいいのに。それに、そんな本気が余っているなら、商品開発に使えばいいのに。



嫌われるのが嫌な人間や、頭の使い方を知らない人間に、負ける気はしませんね。



先に挙げた先駆者の人々も、「あんたらと勝負してるんじゃない。お客さんと勝負してるんだ」という姿勢が、当初は強烈なバッシングを受け、何度も倒産の危機を迎えますが、お客はそのような会社を見捨てることができず、全力で応援します。



そして、「販売力のある会社の方が、メーカーより強い」という新たな事実をビジネスの世界に打ち立てたわけです。業界の他社よりも、お客さんを味方に付けた会社の方が、最終的には勝利者になるんですね。



その中でも、最も見つけにくかった「ブックオフの真実」は、マツキヨの松本会長と、ブックオフの坂本社長の奇妙な対談集です。

役人ってのは、「役に立たない人」の意味なんです。役に立たない人が多い業界は、宝の山です。
本に対する愛着より、お客さんに対する愛着を優先しました。
業界に気を使っていると、ロクなことはない。会議好きの人間にできる奴はいないんだから。
「そこで売れるか」より「そこで買えるか」が出店のポイントです。だって、お客さんが売りに来てくれないと成り立たないんだから。
「俺でなきゃ目利きはできない」なんて無意味ですね。ウチは大学生でも、2週間で全ての業務ができるようにしています。
航空便だと1冊あたり400円高くなるが、貨物船だと13円しかかからない。何を好き好んで都心に店を構え、利幅の少ない商売に必死にならんといかんのです。
クレーム?来たことないですね。そもそもウチの利益の100%は、出版社じゃなく、お客様が下さったものですから。


これは、藤田田さんとも通じる哲学に裏打ちされた言葉ですね。藤田さんも

「値引きはバカの商法だ」
「景気がいい時はバカでも儲かる」
「儲かるのは簡単だが、損するのは難しい」
「首吊り屋の足を引っ張れ」
「バカは俺にしかできないと威張る。頭のいい奴は誰でもできるシステムを作るのだ」
10メートルは10キロだ」
「ウチが安売りだと文句を言う奴は、経営努力が足りんのだ」

といった過激な発言を、絶版となった多くの著書の中で繰り返しています。


その昔、僕が記者時代から好きな「じゃぱねっと」の高田社長を、記者時代にインタビューして、僕はテープ起こしと記事の構成を担当したことがあります。当時は「土地が安い田舎のテレビ局が家電を売ったら、ウチが損するんだよ!」と、大手量販店から強烈なバッシングが佐世保に向けられていた時期でもありました。



しかし、高田社長は、「どうして家電製品の小売価格に、都心の地価や人件費を上乗せしないといけないんですか。お客さんの用途を広く提案し、心地良く、かつ安く買っていただき、買って良かったと心からご満足いただくことが、小売業の使命ではないのですか」と平然と答えていました。



アイデア社長とか、革命家とか、先駆者とか言われる人は、業界秩序から見れば非常識で、アウトローで、何を考えているか分からないと言われるものです。でも、業界や業種を問わず、彼らの考えに「なるほど!」と納得できる、一つの視点があります。それこそ、「お客の視点」



お客から見て何が一番便利で、何が一番必要で、どういう買い方をした時に、最も高い満足度が得られるかそれを妥協せずに考え抜いた経営者には、業界の反対など吹き飛ばしてしまうくらい、顧客から熱烈な支持が集まります。



マクドナルドも、隆盛期には「ミミズの肉だ」とか、「安すぎる肉を使っている」、「利益度外視の薄利多売だ」と噂を立てられ、強烈なバッシングを受けました。しかし藤田田さんは、「ウチが安売りだと文句を言う奴は、経営努力が足りんのだ」と一蹴し、「あんたらこそ、知恵を絞ってみたらどうだ」と挑発しました。



他人が「価格破壊」と言っても、本人たちは「価格正常化」と思っていたんですね。



藤田田さんの代表作にして、「300刷」という恐るべき増刷記録を持つ著書「ユダヤの商法」といえば先日、日本経営史上最大規模の企業買収を行った孫正義さんが、17歳の頃にむさぼり読み、あまりの感動に藤田田さんに6度も直接電話をかけ、最後は「僕は今、羽田に来ています。僕の事業計画を少しでも聞いていただけませんか?」と東京まで出向いたほどの本です。



そこで孫さんは、「君、石油はやめなさい。私が君の年齢なら、迷わずコンピュータを扱う。大きなものが小さくなっていく、この落差を利用して儲ければ、君は巨大なビジネスができるようになる」とアドバイスを受け、「よし、コンピュータをやろう!」と決意したのは、あまりにも有名な話です。



この、東京でも入手できない絶版書を、FUNの学生さんなら、もう半分は読みましたよね。なぜって、僕が極秘ルートから5冊くらい探して、サークル内でばらまいたからです。



「日本人が欧米人に勝つには、まずは肉体改造が必要だ。私は、ハンバーガーで日本人を金髪に改造してやる」
「これから1,000年くらいハンバーガーを食べ続ければ、日本人はどの民族にも負けない」
「日本人が世界一になるその日まで、私はせっせと、日本人の口の中にハンバーガーを詰め込むのだ」

と、本気で書いています。恐るべき使命感です。同業他社など、あまりに低い場所にいるので、目に入るわけがないでしょう。中でも圧巻は、アメリカの悪徳業者に騙され、ケネディ大統領に直訴したエピソードです。



神風特攻隊で友人を何百人も失い、日米友好のために善意の商取引を増やしていこうと励んでいた藤田さんは、大統領に手紙を書き、悪徳業者を摘発するわけですが、その時の気迫がすごい

「創業者、かくあるべし」と納得する哲学です。


そんな藤田さんが属していたのが、業種的に分類すれば「飲食業界」なわけですが、同業他社に「マックは安売りだ。業界の敵だ」と言われ、今日の一言をぶちかましたわけです。藤田さんは、総資産800億円を保有している時でも、身に着けている時計は「700円」だったそうです。



私財の運用には興味を示さず、月額1,000円で入所できる児童養護施設を日本各地に建設し、そこで小さな子供たちと語り合うのが何よりも好きだったそうです。



皆さんが目指している会社の社長さんは、どんな使命感を持っていますか?「志望動機は社長の夢」と言い切れる就活こそ、最高の成果をもたらしてくれるでしょう。面接で志望動機に迷っている方は、社長さんの生い立ち、ビジネス手法、夢を研究してみてはいかがでしょうか。