■「内定への一言」バックナンバー編


「土俵の真ん中で相撲を取れ」(稲盛和夫)




京セラKDDIの創業者、稲盛和夫さんの言葉です。創業時、僕の会社も社内サークルのような組織を活性化させて、内外に有機的なネットワークを作っていこうと、稲盛さんのPASSION~成功への情熱~」(PHP文庫)を参考にしました。参考になることはたくさんあったのですが、中でもうまい言い方だと思ったのが、今日の言葉。



相撲は狭い土俵の中で、一瞬で優劣が決まってしまう格闘技ですが、勝敗を分けるのは「立ち合いの気迫」です。理由は、「そこは、まだギリギリの場所ではない」から。



寄り切り寸前に追い詰められてから本気を出しても、勢いを変えるのは至難の業。仕事も勉強も、就職もテストも、全ての結果は、万事準備で決まってしまうのが世の中のクールな現実です。相撲が立ち合いで決まるように、経営や仕事も「平時の努力」が成否を分けます。




つまり、「ハプニング」は実力ではないということで、土壇場の努力やピンチの粘りなどは、ないよりはあった方がいいというだけの話で、「名将に赫々たる武勲なし」と言われるように、大敗や戦略ミス、エピソードがない司令官が名指揮官であるのと同様、スポーツでも、「ファインプレーのない選手」が名選手です。



もちろん学生でも、これは同じですね。珍しいエピソードや土壇場の踏ん張りは、繰り返せるものではありません。全部ダメにならなかった、という点では完全な失敗よりはマシと一瞬は思えますが、それは「集中力」や「気迫」をアピールしていると言うよりは、「準備不足」、「考えの甘さ」、「貧困な想像力」が相手に伝わっていると考えた方が適切です。



土壇場の大逆転でクリアしてしまうと、怠け心が生じて現実をなめてかかるようになるので、やはり「徹底的な失敗」を味わう方が、長期的に考えると生産的だと言えます。素直さや基本は無敵です。 月末の融資取り付けや倒産寸前の事業再建なども、社長の武勇伝のエピソードとしては面白いネタですが、そんな取引先とは仕事をしたくないものです。また、そういう会社で働きたいと思う学生もいないでしょう



「土俵際の踏ん張り」は本来の目的を忘れ、つまらないことに気を奪われている瞬間に迫ってきます。あなたは今、土俵のどの位置にいますか?出している力は、今のままで十分ですか?「崖は、来るものではなく、自ら招くもの」と心掛け、慌しい春のこの時期、全ての行動に余裕を持って取り掛かりましょう。