■「内定への一言」バックナンバー編


「その商品は、あればいいなと、ないと困るのどちらか」
その①



西南卒の隈本さんと言えば、社会人生活を経て「社会福祉学科」に編入したのに、卒業する時はなぜか「広告代理店」になっていた先輩として、FUNの中ではとても有名です。また、隈本さんと言えば、僕が海外勤務から帰国した際、某予備校で「生徒激例会」の講師を担当した時、実は「その中にいた生徒」でした。



それで、事あるごとに「逆らったら、予備校時代の感想文を拡大コピーして地下鉄に貼るぞ」とか言って遊んでいたら、この1週間、あまり遊んでもらえませんでした。その隈本さんから、今日はお仕事の近況を聞くことができました。



読者の皆さんは、「広告」について、日頃どのくらい考えていますか?現代社会は「広告の洪水」とも言える「情報使い捨て社会」で、全ての世代や属性のライフスタイル、要望、購買商品は「広告代理店」によって研究され、あらゆる時間、空間が「広告」で埋め尽くされています。


朝起きれば「缶コーヒー」のテレビCM
家を出れば「分譲マンション」の立て看板。
駅に着けば「学習塾」の看板。
電車に乗れば「週刊誌」や「求人誌」の中吊り広告。
雑誌を開けば「消費者金融」の広告。
駅に着けば「特売セール」の垂れ幕。
町を歩けば「ビラ配り」のお姉さん。
マックに入れば「トレイ広告」。
タクシーを見れば「テレビ番組」の広告塔。
ラジオを付ければ「パチンコ屋」のCM
家に帰れば「ポリデント」のテレビCM


このように、「広告を見ない日はない」というくらい、都会、田舎を問わず、人が見聞きする対象は、広告スペースとなりえます。


「イメージ・メーカーズ」(ウィリアム・メイヤーズ/講談社絶版)には、日本より20年ほど早く、「広告の洪水」が全土に巻き起こったアメリカで、消費者がどのような反応を見せたかが詳細に描かれています。


・人々があらゆる情報を「邪魔」と思うようになり、通販が発達した。
・消費者が疑り深くなり、虚偽広告を巡る裁判が頻発した。
・経営者は、虚飾と誇大広告スレスレの手法に慣れ切ってしまった。
・メジャーな商品の小売価格の816%が、「広告宣伝費」になった。

・マディソン街(全米の大手広告代理店が集まる街)は「ペテン師の街」と呼ばれるようになった。


業界一体となって消費者を煽りに煽った結果、意図に反し、広告は「邪魔な情報」の代表格になってしまったのでした。そして、多くの企業が「広告屋?帰ってくれ」と、広告マンに門前払いを食らわせるようになりました。



著者は、このような流れの巻き添えを食った広告マンとして、広告本来のあり方を問い、そこからある手法にたどり着くわけです。



それが、「商品をPRしない広告」である「イメージ広告」でした。「今すぐ買わなくてもいいから、知っておいて下さいね」という、丁寧で質素で、目立たない広告です。「イメージ創出」の手法は大変参考になるので、興味がある方は、古本屋さんで探してみてはいかがでしょうか。


さて、広告には、その手法と性質により、「おじゃまします型」と「行ってきます型」の2つが存在します。

は、情報を得る側が希望していない時でも、土足で心の中に入り込んでくる広告です。資金力にモノを言わせ、テレビやラジオという高額の媒体を使って、「視聴者の意識の中に情報を刷り込む手法」です。

は、広告がそこにあったとしても、広告の効果を発揮させる「資料請求」や「問い合わせ」などの次のステップに進むには、「情報を得る側の独自の判断が必要」という広告です。


アメリカでインターネットが生まれた頃、Yahoo!の副社長として、広告収入を収益源に育て上げたセス・ゴーディンさんは、「パーミッション・マーケティング」(翔泳社)という本を書いています。



彼はその中で、「土足広告」がいかに嫌われ、ムダで短期的な効果しかもたらさないかを説き、消費者の承諾(permission)を得る低コストのネット広告をいち早く作り、Yahooo!の独走に貢献しています。他にも、「マーケティングは嘘を語れ」(ダイヤモンド社)という過激なタイトルの著書で、「信じられる嘘」という奇妙な概念を展開し、「消費者に喜ばれる広告(喜ばれる「商品」ではない)」について語っています。



外見が宇宙人みたいなので、著書の過激なタイトルや斬新な内容も似合う、不思議な経営者です。



本題に入る前に、もう1冊。僕が、このFUNの広報・宣伝に関して、人集めを頑張っている学生さんにアドバイスを行った際は、「シチュエーション・マーケティング~ケータイ時代の消費を捉える新発想~」(関沢英彦・かんき出版)という本が、非常に役立ちました。



本メルマガの読者の中には、就職サークルや就職支援団体の方も多数おられるそうですから、参考にされてはいかがでしょうか?



インターネットや携帯電話といった、従来の概念を覆すような双方向性ツールに親しんだ若年消費者が、テレビや雑誌とは違う反応を取る性質を丹念に分析し、「時価」、「場価」、「私価」、「機価」などの新語を用いて、若いターゲットを集める手法を詳細に解説しています。



また、「コミュニケーションモデル」や「状況創出」についても詳しく書いており、僕は趣味というか、社会貢献の一環として、こうして学生サークルの顧問を3年間引き受けていますが、本書の内容はとても役立ちました。



焼き鳥屋さんや旅行代理店、中古車販売店などを手がけている高校時代の同級生に、「メルマガ読者?670人くらい」、「就職イベントの来場者?200人くらい」、「ビジネス講座の受講者?月50人くらい」といった話をすると

「どうやって集めたか、教えてくれ!」と皆が皆、言います。


「集めたんじゃない。集まったんだ」と答えると、「いいや、必ずノウハウがあるはずだから、教えてくれ」と迫られます。なので、しぶしぶ答えます。「半年以内に扱う商品は、広告するな。ただ、存在を覚えてもらえ」と。


すると、友人は「冗談じゃない。じゃあ、どうやって売れと言うんだ」と言います。しかし、僕に言わせれば、「明日の客にも困っているような状態」というのは、よっぽどお客を無視しなければ、招来しえないものです。そういう、いつもいつも「割引!」、「キャンペーン」と宣伝しないといけない商売自体が、おかしいのです。



売値を割り引いた分だけ、人件費か、仕入れ代か、その他の経費を割り引かないといけないし、それができなければ、営業時間か、営業日数か、営業面積を増やさなければなりません。「デフレ」や「為替差損」と全く同じ原理です。



激安店は、なぜ深夜まで営業しているのでしょうか。理由は単純で、「値段が安いから」です。「1時間に、1人のお客が1万円の化粧品を1つ買うお店」が扱っているその化粧品を、「半額」にしたとしましょう。来客数の予測などは除外し、同じ「1万円稼ぐ」ためには、「2時間」働かないといけません。