■「内定への一言」バックナンバー編
「まだ、あと二十kmは走れるよ」(ビキラ・アベベ)
ローマオリンピックのマラソンを「裸足」で走り抜き、見事世界新記録を樹立して金メダルを勝ち取ったアフリカの英雄・アベベの、レース終了後の有名な第一声です。
スポーツの勝利者に対する記者会見といえば、激しい戦いや孤独で長い忍耐を乗り越えた人に対して行うこともあり、「苦しい戦いでした」、「終盤は気力で耐え抜きました」などといった言葉が出てくるのが当然だと、聞き手も視聴者も思い込んでいるものですが、スポーツの中でも最も長時間の忍耐と集中を要するマラソン、しかも世界最高峰の大会であるオリンピックという大舞台で優勝したアベベは、笑顔で明るく「まだ二十キロは走れる」と口にしました。
体力や資質が勝っていたこともあるでしょうが、それ以上に驚くのは、彼の「当たり前のレベル」の高さです。「きつかった」、「大変だった」という言葉が出てくる背景には、「終わりそうで終わらない」、「終わりが見えているのになかなか来ない」という心理的な要因も多分に働いています。
この精神的重圧を回避、あるいは克服するには、一、諦める、二、目標のレベルを引き下げる、三、目標のレベルを引き上げる、といったものがありますが、アベベの考え方は三です。詳しくは分かりませんが、おそらく「マラソンは六十キロ走るものだ」とか、「四十キロで折り返しだ」といった「当たり前」を持っていたのでしょう。
つまり、「四十二キロの地点を迎えても苦しくない」という基準を持っていなければ、冒頭のような名言は出てくる前提を失います。
このことから分かるのは、「現実が辛い」、「今やっていることが大変」と思うのは、作業量や難易度がそう思わせるのではなく、「夢が小さい」ことが現実を必要以上に大きく困難に見せ、自身のやる気を挫いてしまう、ということです。これは、就職活動にも大いに応用できる考え方ですね。
皆さんは、何をもって就活を「達成」としていますか?活動が大変などということはなく、景気が厳しいということもありません。エントリーシートが難しいのではなく、面接が大変なのでもありません。そう勘違いしてしまうのは、ハードルが低くなってしまった時です。
つまり、あなたの器が小さいから、しょうもないことが苦しいのではないでしょうか。発揮できる力は、目指している目標に比例します。
第一志望の会社に内定をもらった時に、「まだまだ就活したい!」と思えるような心境になったら、どんな夢も叶いますよ。未来をより大きく、より先を、より楽しく考えましょう。