■「内定への一言」バックナンバー編
「勝つのは大抵、勝てると思っている人間だ」(ジャック・ニクラウス)
雨の中、大濠公園を走って帰ってくると、「営業塾」の参加申込メールが。人数も定員を満たし、早速開催できることになりそうです。数日間様子を見て、改めてご連絡しますね。トップ営業マンは、社内ばかりでなく、社外からも憧れの的で、あちらからどんどん出会いを求めてきて、人脈が続々広がっていきますから、どうぞお楽しみに。
さて、先週から始まったワールドカップも、初戦の屈辱的な逆転負けで、一気にトーンダウンしてしまいましたね。日経によれば、キリンビールやファミマなどの「W杯関連銘柄」も軒並み、続落だったとか。僕がワールドカップに興味を持ったのは、高校時代に友達の家で見た「ドーハの悲劇」からですが、あれ以来、いつもワールドカップを見るたびにイライラすることがあります。
僕が高校の頃、日本代表はそれほど強くありませんでしたが、選手は「いい顔」をしていました。負けた時は、インタビューが怖いくらいの形相をしていて、悔しさが画面から伝わってきそうでした。国際試合に勝っても、まだ緊張が抜けていないような表情でした。でも、「ある言葉」を多用する最近の日本代表の試合は、見ていて全然、面白くありません。
それは何かと言えば、チャラチャラした代表選手が、キョロキョロしながら口にする「勝ち負けはともかく、楽しみたい」という、腑抜けた言葉です。「楽しみたい」。この言葉は、「絶対に勝てる!」という実績と自信がある選手以外が口にすると、とても虚しく響きます。そして、こういう言葉を吐いていた選手は、大抵見せ場もなく、チャンスを潰します。
さらに始末が悪いのは、負けた後でも、「とにかく、ワールドカップを楽しめたという点では良かった」と選手もマスコミも言うことで、僕もアメリカ大会以来、予選は楽しくても、本戦には期待しなくなりました。僕は「負けて何が楽しいんだ、この弱虫!頭丸めて出直せ!」と、インタビューのたびに腹が立ちますが、皆さんはいかがですか?
必死で応援した関係者、出られなかった選手、引退した選手、全国のサポーターの中に、「楽しめてよかった」という言葉で満足する人が、どれだけいるのでしょう。僕は怒りっぽくもなく、温厚で気長な性格の人間だと(自分では)思っていますが、それでも、「楽しみたい」という言葉を聞くと、「ふざけるな」と感じてしまいます。
楽しむというのは、簡単なことではないはずです。それは「勝ててこそ言える言葉」であって、「勝てなかった者は言ってはいけない言葉」です。近年の日本の多くのスポーツ選手は、この順序を履き違えているんじゃないでしょうか。
「結果を出せなかった奴は黙っておけ」というのが、勝負の世界の当然のルールであるはず。そのような真剣勝負だからこそ、ファンもお金を払って見るのだろうし、負けたとしても、誇り高く美しい負け方というものがあるはずです。
仕事でも経営でも、伸びるかどうかは「負け方」で分かります。ダメな営業マンは、契約が取れなくても「とりあえず、いい勉強になった」などとハードルを下げるし、ダメな社長は「創業期だから仕方ないさ」などと言うものです。
こういう人間は、しばらく後に会いに行けば、「転職か倒産」してしまっています。そんな人間に仕事を任せたい客など、いるはずもありません。
僕もFUNでは「顧問」という役割を、週に1回引き受けていますが、「結果はともかく、楽しもう」などとは、絶対に言いません。学生は放っておけば「楽な方に、楽な方に」と考え、そう動きたがる群集心理があるので、僕は嫌われてでも、その時理解されなくても、言うべきことは言うし、やるべきことはやります。
一番楽しいのは「本気の自分」であって、「現実逃避をして出会う臆病な自分」ではないからです。
ゴルフの世界で、かつて「帝王」と呼ばれた選手がいます。全米ツアーと世界のメジャー大会を総なめにした、ジャック・ニクラウスです。アーノルド・パーマーと並び、ゴルフの人気を世界的なものにまで押し広げた英雄です。
ニクラウスは現在65歳で、引退して後進の指導に当たっていますが、少年時代から異常な集中力を持つ子供だったそうです。
彼はパットにかける時間が長いことで有名で、別の選手から「なぜパットの前に、あんなに時間をかけるんだ?」と聞かれた際、「じゃあ、なぜおまえはいつもあんなに短い時間でパットを打つのか?」と答えたそうです。
「芝を読み、ラインを想像して、打つべき最高のパットを描く時間は、他の人には長く感じるかもしれないが、私にはほんの一瞬のことだ」。
他の選手や評論家は、ニクラウスがどんなに長いパットでも、不利な位置から打つパットでも、ことごとく決めたため、誰も反論できなかったそうです。彼の恐るべき集中力は、大舞台ほど高まり、世界中のギャラリーが固唾を呑んで見守る中でも、いささかも揺らぐことはなかったそうです。
ミスがあっても、予想と違う方向に飛んでも、天候が悪くても、彼の前には、全ては「集中力を高めるための条件」でしかなかったのでした。
ニクラウスがあまりに強すぎるため、その強さの源泉を知りたいと思ったある人が、「どんな人が勝つのか?」と尋ねた時は…
「勝つのは大抵、勝てると思っている人間だ」と答え、「それはつまり、私のことだ」と自信に溢れた表情をした、というエピソードが残っています。
ナポレオンも「人は誰でも、負けた時ではなく、負けると思った瞬間に負ける」と言っていますが、それと相通ずる言葉ですね。その、「勝てる」という思いが持続するからこそ、それにふさわしいプレーが繰り出され、そして、勝つ。その瞬間こそ、本当に「楽しい」と呼べるものでしょう。
ニクラウスは、「天才」と呼ばれるのを嫌っていました。
マラドーナも、ドリブルやシュートがあまりにすごいので、記者から「筋力増強剤でも使っているんじゃないか?」と冗談交じりに言われた際、こう答えています。
「俺がやったドーピングは、努力だけだ」。
やりすぎても反則にならないことは、反則と呼ばれるほどやったという意味で、彼らしいシンプルさと自信が溢れていて、本当にいい言葉です。
ニクラウスも、「勝つために必要なことは?」と聞かれた際、「努力だ」と答えています。
あまりに単純で、答えにならないと思われたのか、「その他には?」と聞かれ、また「努力だ」。呆れたのか、イライラしたのか、記者が表情を変えて「でも、ほら、他にテクニックとか練習方法とか、色々あるでしょう?」と聞きなおしてみると…。
「ああ、それならある」。
記者が歓喜の表情で、「一体何なんですか、それは?」と聞いてみると…。
「他の人には想像もできないような努力だ」と言い切ったとのこと。
このニクラウスの気迫に圧倒された結果、この言葉というか、やり取り自体が「名言」になってしまったのでした。スーパースターとは、「当たり前すぎる言葉」が、誰よりもカッコよく響く人なんですね。「言葉をカッコよくしよう」と思ってはいけませんね。
学生さんも、社会人や経営者に会うと、「成功するためには何が必要ですか?」とか、「今、何をしておけばいいですか?」とよく尋ねます。
すると、人生の先輩からは「努力」、「継続」、「集中」、「素直さ」、「謙虚さ」といった、当たり前すぎて「肩透かし」を食らうような答えが返ってくるものです。それが不満なのか、「他には?」とか「具体的には?」と、追加で質問をする学生さんも多くいます。
しかしそれは、そもそも「できれば、努力したくない」と思っているから、最初の答えで納得しないだけの「単なる怠慢」でしかないことを、知るべきでしょう。心の奥底には、「手軽で役立つ、手っ取り早い秘訣があるはずだ」と期待しているからこそ、ダラダラと聞くのです。
しかし、そういうのは「ない」と断言できます。あっても、学生のレベルでは応用できません。いつ聞いても「同じこと」しか言われないなら、相手が退屈な人間なのではなく、「自分が全く成長していない証拠だ」と思った方が賢明です。
だから僕は、質問が巧みな学生ほど、「こんなに頭だけで分かろうとしてちゃ、これはすぐに失敗するだろうな」と感じます。この読みは、ほとんど外れません。口達者な若者ほど、何も行動していないのは、僕の時代から全く変わりません。
やればやるほど、言葉は深みを増し、軽々しくしゃべる自分が嫌になるものです。よく調べ、よく考え、深く聞いているようで、さも「積極的な学生」に見えがちですが、要は「成功者の言葉」を疑っているだけに過ぎません。つまり「素直じゃない」ということで、そういうのは結局、消極的な学生です。
「本気なら、一つ目の言葉で納得し、あとは黙って継続しろ」ということですね。二つ目、三つ目を聞いたところで、一つ目の努力である継続、集中すらできない人間に、消化できるわけもないでしょう。カローラを買うお金もない人間が、ベンツやポルシェの値段を聞いても、意味がありません。
勝ちたいなら、「勝つ」と思える準備だけに集中することです。一人でできないなら、FUNに来れば良いでしょう。
■今日の一冊 「広告でブランドは作れない」(アル・ライズ/翔泳社)
この出版社の本を買うのは4冊目ですが、阪急コミュニケーションズの出版物と並び、外書の良質な翻訳が多く、大変勉強になりました。本書では、広告宣伝をほとんど行わずにトップブランドに成長したスターバックス、デル、マイクロソフト、インテル、ボディショップなどの企業の戦略を詳細に分析しています。
一応「広告」の本ではありますが、「広告はムダだ。できる限り減らせ」という視点で一貫した主張を展開しており、「PR」の重要性を説いています。最も紙面を割いているのは、表題の「広告ではブランドは作れない」というテーマで、ブランドの定義やPRの方法、広告との違い、良い広告の定義など、顧客と良質な関係を築き、客単価や利益率を上げるのに欠かせない「関係構築方法」を、豊富な事例で紹介しています。案外、FUNでやってきたことと似ていて、「こりゃ伸びるわけだ」と思いました。
■今日の質問 「フリーターの対処法は?」(久留米大学4年Mさん)
フリーターとどう向き合うか。まず、彼らは「会社は嫌いだが、仕事は好きだ」と知ることが重要だと思います。「気付いたら、なっていた」というのがフリーターの大半で、彼らは事の深刻さに気付いた時には、大抵が多額の借金か信用リスクを抱えています。あたかも「脂肪の重さに耐え切れなくなって、運動の大切さを知った」といった感じで、「仕事の大切さ」に対し、そういう知り方をしたという点では、僕はまだ救いがあると思って、日頃からお手伝いしています。
それから、現実を認め、受け入れることも大切です。これは「逃げたら本当の自分が見つかるのではなく、逃げるのが本当の自分だ」ということで、若者にはやりの「本当の自分」など、ここ以外に、どこにもいません。だからこそ、「一緒にここから頑張ろう」と言って応援すれば、相手は心を開いて、「遅れてしまったけど、やっと希望が出てきた」と、努力を忌避しなくなるでしょう。そういう風に気長に応援すれば、そこらへんの正社員よりも、よっぽど有能な青年に成長するものですよ。