■「内定への一言」バックナンバー編
「政治とは妥協の産物であり、可能性の芸術である」
(オットー・フォン・ビスマルク)
年末年始は家にこもり、一人で本を読んでいました。僕の誕生日には、毎年紅白歌合戦やレコード大賞の授賞式があっているそうですが、生まれてこのかた、一度も見たことがありません。
こんな日に生まれたためか、誕生日になると、毎年遠い遠い未来に思いを致し、これからの人生や社会を考える癖がついてしまったのかもしれません。終わりの日が始まりだと、どうも「総決算」、「水に流してさぁ新年」というふうにはいかないものです…。
さて、年末はヨーロッパの戦争の本を読んでいました。中でもドイツの近現代史を読み、一国の消長が近隣諸国に及ぼす影響や、軍事組織が企業経営に与えた影響を考えながら、僕がこれから作っていく「ミニ財閥」の構想を練っていました。
「ビスマルク」という政治家の名前は、世界史を取った人でなくても、聞いたことがありますよね?「フォン」が付いているから、貴族の出身です。「鉄血宰相」と呼ばれ、戦争の名人で、社会保険の制度を創設し、ドイツ帝国を強力に率いた首相です。見るからに怖そうな顔で、しかも身長が二メートル近くもあったそうですから、威圧感もあったんでしょう。
そんなビスマルクの言葉が「政治とは妥協の産物であり、可能性の芸術である」で、これはとても有名ですが、後半部分だけはよく経営の世界にも借用されており、よく「経営とは可能性の芸術である」と言われます。すごくいい言葉だと思いませんか?
普段我々は、「芸術」と聞くと、何らかの表現活動だと思い込んでいます。例えば音楽は、「音の芸術」です。絵画は「色と空間の芸術」で、ライブは「言葉と感動の芸術」、スポーツは「肉体と精神の芸術」とでも呼べるでしょう。
そんな中、「可能性の芸術」とは、言いえて妙だとは思いませんか?経営と聞くと「難しい」とか「関係ない」とただちに決め込む人もいますが、実はこれほど人間的な営みもなく、経営は一つのアートだと言うわけです。
では、「アート(芸術)の定義」とは何でしょうか。それは、
・使用できる道具に一定の制約がある
・適用されるルールに共通の基準がある
・結果の優劣をめぐって正しい競争がある
という条件を満たした表現活動と呼ぶことができるでしょう。
だから、「みんなが墨を使うのに色付きインクを使う書道」はアートではなく、「ピアノのコンテストでキーボードを使う」のはアートではなく、「肉声で歌うライブで録音された音源を使う」のはアートではなく、「練習で鍛えた走力を競う陸上競技で筋肉増強剤を使う」のは、アートではありません。
そして、経営も「アート」だと呼べる証拠として、経営には…
①投入できるお金の限界
②活用できる時間の限界
③動員できる人員の限界
④活動できる範囲の限界
⑤購入できる価格の範囲
があります。
①~③に「モノ」、「情報」、「哲学」を加えた要素は、よく「経営資源」と呼ばれ、どの程度持っているか、どの程度投じられるかは、各企業の事情や戦略によります。経営資源の細かい勉強については、一月以降の就活コースで懇切丁寧に説明していくので、ここでは省きます。
経営者(社長)とはつまり、「指揮者」の役割を担うリーダーです。どこでどの楽器が演奏するべきか、その演奏は何人で行うべきか、そして次のパートはどこで始まるべきか、その時の楽器の構成、人数はどうすべきか…そういうことを幅広く、深く考え、与えられた楽器と時間、人員の持つ可能性をフルに活用して、結果に到るプロセスの改善を目指す活動こそ、経営だと言うわけです。
だから、「経営とは、与えられた経営資源の可能性を引き出し、組み合わせ、目標達成へのプロセスの改善を競い合う芸術である」と言えるわけです。
よって、学生の皆さんは、このアートの世界に今から行こうとしているわけなんですね。それが書道か美術か、はたまた野球かサッカーか、それを「業界」と呼んでいるわけで、チームとしてより良い成果を求め、お客さんの喜びによって努力の手応えを味わう、という活動の本質は変わりません。
そして、大学生活もまた、「可能性の芸術」です。与えられた時間、お金、チャンス、エネルギーは、どの学生も大して変わりないものでしょう。それらをどう引き出し、どう組み合わせ、どう表現してきたかを社会が問うのが、「採用活動」であり、学生が「就職活動」と呼ぶプロセスです。
だから、就活もまたライブであり、スポーツ大会と見なせるわけですね。結果は決して偶然決まるものではなく、学生時代に手を抜いてきた人に対する成果は、それはそれは過酷なものです。
しかし、それこそ自由競争の本質。頑張ってきた人が報われる点では、就職もまた正しい競争で、正しい競争であるからには、勝つためのルール、やり方があります。だから、徹底的に勝ちましょう。
三年生の皆さんに与えられている時間は、あと約六ヶ月です。今から六月を振り返ってみて下さい。あの時、何を考え、何をしていましたか?今からまた、同じだけの時間が流れ去った頃には、皆さんがどこで何をするか、もう決まっていますよ。楽しみですね。
ということで、「就活(大学生活)とは、可能性の芸術である」と捉え、大胆に、積極果敢に挑戦していきましょう。